2000年3月24日、鹿児島大学理学部地学科最後の卒業生を送り出しましたので、このホームページはこの日をもってフリーズしました。もう更新しません。悪しからず。
 なお、「かだいおうち」は日本における大学研究室ホームページの第1号です。歴史的遺産としてここにアーカイブしておきます。

応用地質学とは


応用地質の定義|応用地質学と純粋地質学|応用地質学の内容

◆応用地質学の定義

 国際応用地質学会(IAEG)の規約では、応用地質学engineering geologyを次のように 定義しています。
 「地質と人間活動の相互作用の結果として生じるエンジニアリング上の問題や環境問題の調査・研究・解決に関する科学であり、地質災害の予知や防災・復旧方策の開発に資する科学である。」
 一方、『日本大百科全書』では応用地質学applied geologyを次のように定義しています(岩松,1985)。
「自然と人間との関わりの中で発生するさまざまの社会的な問題に対して、地質学の立から応える学問。したがって、その対象とする課題は、社会的ニーズの変化と共に常に変化していく。明治の富国強兵時代から戦後復興期までは鉱山地質学の代名詞であったし、高度成長期の列島改造時代には土木地質学と同義語であった。これからの地球環境時代には環境地質学的な側面が強くなり、地質工学と共に二大潮流として発展していくであろう。」

◆応用地質学と純粋地質学

 理学部の先生の中には、「応用など学問ではない。基礎科学の知識を応用する技術に過ぎない。自分たちはその土台をやっているのだ。」と、知識の切り売りで済むと考えている人がいます。しかし、実際は全く逆で、生きている現実社会こそ新しいテーマの汲めど尽きない泉なのです。この実社会にしっかりと根を下ろして養分を吸収しているのが応用地質学です。例えば、古生物学や堆積学も石油産業と共に発展しましたし、岩石学や鉱物学も鉱山業と共に発展しました。学生実習で行う化石や鉱物・岩石の鑑定も、資源産業に就職するためのかつての職業技術教育でした。このように社会的要請に具体的に応える中で地質学のパラダイムシフトがはかられてきたのです。今後も同様に応用地質学から地質学の革新がなされていくでしょう。現在の日本の地質学は、根が貧弱で萎れている樹に例えられるのではないでしょうか。だからこそ純粋地質学もまた活気を失っているのです。今日では地質学を支えているインフラは資源産業から土木建設業へ移行しています。これに応じて地質学も物理科学的な側面がもっと強化される必要があるでしょう。

◆現在の応用地質学の内容


ページ先頭|応用地質の定義|応用地質学と純粋地質学|応用地質学の内容
鹿大応用地質学講座ホームページ
鹿大応用地質学講座WWWもくじ
地学関係WWWリスト

連絡先:iwamatsu@sci.kagoshima-u.ac.jp

更新日:1995年12月27日