2017年阿多カルデラ縁の地震
地震概況
2017年7月11日11時56分、鹿児島市喜入沖深さ10kmを震源とするM6.3の地震が発生しました。発震機構は、西北西-東南東方向に張力軸を持つ横ずれ断層型とのことです。鹿児島市喜入町で震度5強、指宿市十町、鹿児島市下福元町、南九州市頴娃町・知覧町で5弱を観測しました。鹿児島市街地では震度4でした。震源が近かったため、緊急地震速報は間に合わず、いきなりドンと来ました。この地震により、南九州市川辺町高田の市道ががけ崩れにより通行止めになりました。南九州市では一時停電もあったようです。指宿市では落下物によるけが人も出ました。![]() | ![]() | |
発震機構(鹿児島地方気象台) | 観測震度分布図(鹿児島地方気象台) | 震央位置とカルデラ |
阿多カルデラ
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Hi-netによる2016年9月4日以降の震源データ(石川,2017) |
追加:
• その後、2017年8月24日14:34にもM4.5の地震がありました。下図の通り震源域はほぼ同じところです。鹿児島市喜入町で震度4、市街地で震度3でした。
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観測震度分布図(鹿児島地方気象台) |
鹿児島にあるカルデラで、最新活動期は、姶良カルデラ(2.9万年前)、阿多カルデラ(10.5万年前)、鬼界カルデラ(7,300年前)で、阿多カルデラが一番古いのです。九州電力の原発審査報告書(下左図)によれば、鬼界カルデラを含まない鹿児島地溝における破局的噴火(カルデラ活動)の活動間隔は約9万年とされています。そろそろ阿多カルデラが活動を始めてもおかしくはないのでしょうか。もっとも、この九電の図に対して、小山(2015)は次のように批判しています。本来、噴出量と年代との階段図は、独立したマグマ溜まりから供給される個々の火山ごとに作成されるものであって、特定のカルデラを選んで合成するのは恣意的である。敢えて川内原発から160km圏内のカルデラを全部合成すると、下右図のようになり、周期性は認められない、としています。
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鹿児島地溝内カルデラの破局的噴火(九電,2014) | 川内原発160km圏内全カルデラ(VEI7以上の噴火)の合成階段図(小山,2015) |
• 2017年11月1日0:46にもM3.7の地震がありました。震源域はほぼ同じところです。鹿児島市喜入町で震度4でした。
文献:
- Suzuki, K. and Ui, T. (1983), Factors governing the flow lineation of a large-scale pyroclastic flow - An example in the Ata pyroclastic flow deposit, Japan. Bull.Volcanol., 46, p.71-81.
- 小山真人(2015), 原子力発電所の「新規制基準」とその適合性 審査における火山影響評価の問題点. 科学, Vol.85, No.2, p.182-193.
- (), . , Vol., No., p..
参考サイト:
- 平成29年7月11日11時56分頃の鹿児島湾の地震について(詳細版)(鹿児島地方気象台報道発表資料)
- 平成29年8月24日14時34分頃の鹿児島湾の地震について(詳細版) (鹿児島地方気象台報道発表資料)
- 最近の地震の解説(産総研石川有三氏)
- 川内原子力発電所 火山について(九州電力)(原子力規制委員会第107回原子力発電所の新規制基準適合性に係る審査会合配付資料)

更新日:2017/07/11
更新日:2017/12/04