カルデラ概説―はじめに―

地質図は(C)産業技術総合研究所

 最近、カルデラを形成するような破局的噴火のことが話題になっています。カルデラはスペイン語のCaldera(鍋)に由来します。火山活動に起因する大きな凹地を言います。火口とは大きさで区別され、普通は2kmより大きいものを指すようです。三宅島2000年噴火では山頂部に径約800mの陥没火口ができましたが、これらもカルデラと呼ぶ人もいるようです。カルデラには次のようないろいろのタイプがあります。
  • 陥没カルデラ…火砕流など大量の火山噴出物を出したために陥没してできたもの、これが普通に言われるカルデラ
  • 爆発カルデラ…磐梯山1888年噴火やセントヘレンズ山1980年噴火のように、山体崩壊してU字型の凹地ができたもの
  • 侵食カルデラ…浸食により火口が大きくなったもの
 日本では巨大カルデラをつくるような破局的噴火が1万年に1回の割合であるそうです。宮崎県加久藤盆地から鹿児島湾口までほぼ南北に延びる火山性の地溝があります。露木(1969)は鹿児島地溝と呼びました。この地溝内には、北から加久藤カルデラ・姶良カルデラ・阿多カルデラ・鬼界カルデラと4つもカルデラが並んでいます。上のイラストは井村隆介鹿大准教授による約3万年前の姶良カルデラ噴火の想像図です。その他、阿多カルデラの活動に関連して小さな池田カルデラも形成されました。
文献:
  1. 露木利貞(1969), 九州地方における温泉の地質学的研究(第5報) 鹿児島地溝内の温泉-特に温泉貯留体について. 鹿児島大学理学部紀要(地学・生物学), No.2, p.85-101.


初出日:2015/11/06
更新日:2018/11/04