完新統

完新統分布図(産総研シームレス地質図基本版から抜粋)(凡例
 最終氷期が終わる約1万年前から現在までを完新世Holoceneと言います。かつて沖積世Alluviumと呼ばれていました。今でも土木地質分野では沖積層という言葉が使われることがあります。なお、完新統とは完新世の地層という意味です。地球46億年の歴史の中でたったの1万年ですから、時間的には無視できるような存在ですが、都市が立地しているところですから、よく調べられています。「鹿児島市の地盤」・「鹿児島の埋立地」および「縄文海進」をご覧ください。
 シームレス地質図基本版の「1 後期更新世-完新世(H)の海成または非海成堆積岩類」「162 後期更新世-完新世(H)の砂丘堆積物」「163 後期更新世-完新世(H)の湿地堆積物」および「190 完新世(H)の人工改変地」を抜き出したものが右図です(色は見やすいように変えてあります)。1のいわゆる沖積層は河川流域や沿岸低地に沿って分布しています。190の人工改変地は沿岸低地の干拓地や埋立地です。
鹿児島湾直下地震の液状化危険度分布
(鹿児島県,2014)
 沖積層・湿地・人工改変地はいずれも軟弱地盤で地震には弱く、液状化しやすい地層です。162の砂丘は、日本三大砂丘の一つ吹上砂丘ばかりではなく、薩摩川内市の寄田砂丘、志布志湾岸の志布志砂丘があります。種子島はじめ離島にも小規模な砂丘が発達しています。砂丘は意外と地震に強く、液状化しにくい地層です。鹿児島県地震等災害被害予測調査報告書(2014)を見ると、人工改変地が一番危険で、次は沖積層分布域だということが分かります。

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初出日:2016/09/17
更新日:2018/11/04