災害時の避難避難所生活の心得避難所の立地感染症と避難所鹿児島の避難所(抄)

 災害時避難所

 災害時の避難

 災害は何時起きるか分かりません。先ず身の安全を確保し、その後、周辺にいる方の救援や火災予防に当たります。簡単に自宅に帰れるようなところにいたら、自宅に帰り、不幸にして自宅が被災していたら、自宅付近の指定避難所に行きます。しかし、帰宅困難の場合もあります。頑丈な会社社屋にいるのなら、そこに留まるのも一法です。そうでない場合には、下のマップを見て、近くの避難所に行きましょう。そこには情報と、水・食糧・夜具・医薬品などが用意され、役場職員や学校の先生などがいます。その指示に従いましょう。なお、避難所の環境については別項「災害と避難」をご覧ください。

 避難所生活の心得

東日本大震災の仮設住宅(大槌町吉里吉里)熊本地震の軒先避難(益城町)
 避難所は見知らぬ人が集団で生活するところです。皆、被災して神経が参っていますし、まして家族を失った方の悲しみは想像を絶します。思いやりと寛容が第一です。熊本地震では「軒先避難」なる新語が登場しました。地縁社会があった三陸と違って、都会化した熊本では、集団生活のストレスに耐えられなかったのでしょう。最初は車中泊でしたが、エコノミー症候群の恐れがありますから、危険を承知で崩れた自宅の軒先でテント暮らしをはじめたのです。とくに火山災害はもっと長期の避難を余儀なくされます。快適で和やかな避難所生活にしたいものです。
 避難所に到着すると先ず我がちに場所取りを始める人がいます。何よりも受付で、住所や氏名、連絡先、その他家族構成などを登録することが第一歩です。安否確認の基本だからです。その後、スタッフの指示に従いましょう。アチコチの避難所で聞いた迷惑行為の代表的なものを列挙してみましょう。  赤ん坊が泣いたり、子供が騒ぐのは当たり前のこと、自分も経てきた道です。ほほ笑ましいと暖かく見てあげましょう。生物多様性という言葉がありますが、人間も多様なのです。お互いの立場を尊重し合いましょう。

 避難所の立地

南三陸町防災庁舎石巻市雄勝公民館
 東日本大震災では、指定避難所が被災した例が多々ありました。地震で破損して使用不能になったところもありましたし、地震には耐えたため、避難所として実際に使用され、そこが津波に襲われて、避難者が犠牲になってしまったところもありました。救援救助の司令塔となる役場庁舎や防災庁舎、実働部隊の拠点である消防署が被災したところもあります。沿岸低湿地に立地していたため、液状化被害を受けたり、津波にのみ込まれたりしました。内陸部にあっても、河川沿いにあったため、津波が遡上した例もあります。
 避難所は、一般に収容人員や設備などを考えて学校の体育館や公民館などを一律に指定している例がほとんどですが、立地場所の地形地質によって、ある種の災害には避難所として不適な場合があります。たとえば水害には大丈夫だが、土砂災害には危険なところ、埋立地に立地し、液状化災害には弱いところ、といった具合です。建物の耐震診断だけでなく、防災診断もしておく必要があるでしょう。志布志市では、東日本大震災の教訓に鑑み、低地の避難所は津波の際には使用しないと決めています。

 感染症と避難所

北海道版避難所マニュアル
 2020年春、世界は新型コロナウイルスパンデミックに陥りました(「コロナウイルスパンデミック」参照)。わが国でも4月7日全土に非常事態宣言が出される事態を招きました。5月25日非常事態宣言は全面解除されたものの、第2波・第3波の感染爆発に備えておかなければなりません。日本列島は梅雨に入り、災害多発期になります。感染症対策では3密(密閉・密集・密接)の回避が決め手と言われてきましたが、従来の災害時避難所では、この回避はなかなか難しいものがあります。第1波の感染爆発で比較的被害の大きかった北海道では、率先して避難所マニュアルを改訂しました。避難所以外の避難先も検討に加えることや避難所における衛生管理など、感染症に対する配慮が謳われています。
 なお、3密を恐れ、感染症に対する心配から避難所への避難に躊躇する方もおられるようです。避難所以外に選択肢のない場合、目前の危険回避が先決ですから、迷わず避難所へ向かってください。

 鹿児島の避難所(抄)

 各市町村のホームページに掲載されている避難所一覧をプロットしました(鹿児島市は2020年4月現在)。避難所は日常不断に更新されています。最新情報は各市町村のホームページで確認してください。参考のために、沿岸部には標高データを示しました。国土地理院の5mメッシュDEMから作成したものです。また、桜島大正噴火の軽石・火山灰の等層厚線図も載せました(赤線)。これを東西反転したものも参考までに追加してあります(青線)。万一、東風の時に大正噴火クラスの噴火があった場合をイメージする参考にしてください。また、鹿児島市の水瓶である甲突川水系を水色で示しました。もしも青線のように軽石が積もったとしたら、鹿児島市は水の供給が心配です。
 上述のように避難所は全ての災害に対して安全とは限りません。2020年3月鹿児島市では、避難所を災害種別ごとに点検評価して、鹿児島市指定緊急避難場所一覧を公表しました。災害種別ごとに○×△で示しています。下図では、鹿児島市についてはこのデータも表示します。
凡 例

 指定避難所
 消防署

鹿児島市
 桜島爆発避難場所

垂水市
 予備避難所
 桜島爆発集結地

志布志市
 津波時は除外

原子力災害
 PAZ避難所(鹿児島市内)
 避難退域検査場所

 マークをクリックすると施設名がポップアップします。鹿児島市については災害種別の○×△も表示します。
 赤線は桜島大正噴火で降った軽石・火山灰の厚さです。青線はその東西反転図です(単位:m)。もしも東風が吹いていた時に、大正級の噴火があった場合にどうなるか、参考にしてください。
 なお、緑線は標高5m、黄線は標高3m、橙線は標高1mです。津波災害の目安にしてください。
水色は甲突川と甲突川水系です。

<注>
 避難所の位置はジオコーディングで調べました。学校等は正確ですが、地域公民館や休校中の学校などいくつか違っているところがありました。ストリートビューでチェックしましたが、まだ誤りがあるかも知れません。ご容赦ください。

お知らせ: 上記、桜島大正噴火軽石火山灰等層厚線のデジタルデータは鹿児島大学地域防災教育研究センターのサイトからダウンロードできます。

文献
  1. 福和伸夫(2020), 新型コロナ禍の先の時代を見据えて. 消防防災の科学, No.141, p.4-6.
  2. (), . , Vol., No., p..
  3. (), . , Vol., No., p..

参考サイト:



初出日:2018/01/18
更新日:2020/09/14