仙台防災枠組 SFDRR 2015-2030
前史
人的被害の推移(ADRCによる) |
しかし、その後も1997年には阪神大震災がありましたし、世界的に見ても都市化(スラム化)が進行して災害に対する脆弱性が高まっています。ミレニアム以降も防災に取り組む必要があるとして、1999年国連総会で国際防災戦略(ISDR)が打ち出されました。これを受けて阪神大震災のあった神戸で2005年第2回国連防災世界会議が開かれ、「兵庫行動枠組The Hyogo Framework for Action(HFA)2005-2015」が採択されました。
第3回国連防災世界会議と仙台防災枠組
仙台防災協力イニシアティブ(内閣府) |
前文で、HFAが防災の重要な指針を提供したこと、Millennium Development Goals(MDGs)に貢献したことを認めつつ、災害リスクを減らすためには、「より良い復興(Build Back Better)」が必要であり、より広範かつ人間中心の予防的アプローチpeople-centred preventive approachを取らなければならない、と訴えています。
指導原則(基本的考え方)として次のような項目を挙げています。
- 各国は防災の一義的な責任を持つ
- 国の事情に応じ、中央政府、関連機関、各セクター、ステークホルダー間で責任を共有
- 人とその資産、健康、暮らし、生産的資産の保護、開発への権利を含む人権の尊重
- 社会全体の関与と連携。女性と若者のリーダーシップ促進
- 事前の防災投資は災害後の対応・復旧より費用対効果が高い
- 「より良い復興(Build Back Better)」による災害後の復旧・復興
- 途上国には財政支援、技術移転、能力構築を通じた支援が必要
- 災害のリスクを理解し、共有すること
- 災害リスク管理を強化すること
- 防災・減災への投資を 進め、レジリエンスを 高めること
- 災害に十分に備え、 復興時には ビルド・バック・ベター (より良い復興)を実現すること
国連ですから、国際協力を訴えるのは当然ですが、ステークホルダー(防災関係者)の役割について強調していることも特徴です。このステークホルダーは狭い意味での防災関連行政機関のみを意味しません。市民社会、ボランティア、地域団体等、学術界、企業・業界団体、メディアなども含みます。女性の役割も強調しています。
地球科学の役割
「Future Earth」でも、これからの学術はステークホルダーと共に、co-designしco-produceしなければならない、と述べましたが、SFDRRでもステークホルダーのことが強調されています。学術界に関して、次のように指摘しています。学術機関及び科学研究機関及びネットワークは、中長期的に、新規災害リスクも含む災害リスク要因とシナリオに焦点を当てて、地域、国家、地方での適用のための研究を増やし、地域コミュニティ及び地方行政機関による行動を支援し、意思決定のための政策と科学との連携を支援する。
今までの地球科学はグローバルなことを論じるのが地球科学だとの風潮が支配的でした。しかし、地域の地質地形的成り立ちは災害と密接不可分に関わっています。もっと地域の地質地形にも目を向けると共に、象牙の塔から一歩出て、地域コミュニティや地方行政機関との連携を強めましょう。
また、日本の災害科学は地震予知を前面に出してきた歴史があり、予知予測の研究に偏りがちでした。SFDRRはリスクガバナンスの観点を強調しています。より実践的な文理融合の災害科学が求められていると言えましょう。
文献
- 小野裕一(2016), 仙台防災枠組における目標設定までの 道のり、用語・指標設定の現状、および 災害統計グローバルセンターについて. 学術の動向, Vol.21, No.3, p.94-102.
- 依田照彦(2016), 東日本大震災後の学会連携と防災学術連携体の設立. 学術の動向, Vol.26, No.11, p.16-19.
- 廣瀬典昭(2016), 防災学術連携体のめざすもの. 学術の動向, Vol.26, No.11, p.20-23.
- 米田雅子(2016), 日本学術会議と学協会の新たな連携. 学術の動向, Vol.26, No.11, p.24-27.
- (), . , Vol., No., p..
- (), . , Vol., No., p..
参考サイト:
- UN World Conference on Disaster Risk Reduction 2015 Sendai Japan
- Sendai Framework for Disaster Risk Reduction 2015 - 2030(United Nations)
- 仙台防災枠組 2015-2030(仮訳)(外務省)
- 第3回国連防災世界会議(外務省)
- 第2回国連防災世界会議(内閣府)
- 第3回国連防災世界会議(内閣府)
- 市民のための仙台防災枠組 2015-2030(防災・減災日本CSOネットワーク)
- United Nations Office for Disaster Risk Reduction(UNISDR)
- アジア防災センターADRC
- 防災学術連携体
更新日:2018/03/25
更新日:2018/07/21