地磁気

 地磁気とは

 
 西偏の
磁北方
位記号
 地質屋さんの必携七つ道具にクリノメーターがあります。方位を計る方位磁石と傾斜を測る錘からなります。磁石で方位が計れるのは地球に磁場があるからです。この地球磁気(地磁気)geomagnetism, Earth's magnetic fieldの成因については、流体である外殻が流動するからだと一応説明されています(「野間エクスカーション」参照)。いわゆる地球ダイナモ理論ですが、詳細は今なお未解明です。方位磁石の指す北を磁北とい言います。この地磁気は長い間に変化しており、永年変化と呼ばれます。伊能忠敬が日本列島の測量をやった200年前は、たまたま運良く磁北はほぼ真北を指していました。現在は、鹿児島周辺で西偏6°40´、東京で西偏7°20´です。また、地磁気の強さは場所によって異なり、赤道付近では弱く、高緯度地域ほど強くなります。24,000~66,000 nT(0.24~0.66 G)だそうです(鹿児島付近で46,800 nT)。単位はテスラ tesla, T です。CGS単位系のガウス gauss, G とは次のような関係があります。1 nT = 10-9 T = 10-5 G = 1 γ
 なお、地磁気があるお蔭で大洋からの高エネルギー粒子から地球環境が守られていることはよく知られています。
蛇足: 地質調査で走向を記録する際、必ず偏角を補正しなければなりません。よく西偏と東偏を勘違いする人がいます。注意しましょう。また、磁北をそのまま使う場合には、方位記号に必ず磁北である旨明記しましょう。図は一例です。三角形は単なる飾りではなく、角の向きが偏角の方向を示します。
蛇足の蛇足: ブラントンコンパスBrunton compassのように調査地の偏角に合わせて文字盤が回転できるクリノメーターもあります。この調整を忘れると大変です。毎回確かめましょう。

 地磁気の三要素

 地磁気はベクトル量ですから、偏角magnetic declination, magnetic variation、伏角magnetic inclination、全磁力magnetic intensityで決定されます。これを地磁気の三要素と言います。なお、かなりの伏角があるのに方位磁石がほぼ水平なのは、片方を重くして中緯度でほぼ水平になるように工作してあるからです(グローバルなメーカーは輸出先の伏角に合わせてバランスを調整しているそうな)。下図は国土地理院の磁気図です。
磁気図 2015.0年値 偏角(白線:10分毎)磁気図 2015.0年値 伏角(白線:10分毎)磁気図 2015.0年値 全磁力(単位:nT)


文献:
  1. (), . , Vol., No., p..
  2. (), . , Vol., No., p..

参考サイト:



初出日:2020/04/08
更新日:2020/04/09