白亜紀~古第三紀正常堆積物

天草諸島~甑島の地質概要
西南日本白亜系と堆積場模式図(堤ほか,2018)白亜紀~古第三紀正常堆積物分布図(産総研シームレス地質図基本版から抜粋)(凡例
姫浦層群(下甑島)
 鹿児島県本土は広義の四万十帯(白亜紀および古第三紀付加体)を基盤としていますが、県北部の長島町および甑島に白亜紀~古第三紀の正常堆積物が局部的に分布します。前期白亜紀の御所浦層群や後期白亜紀の姫浦層群を不整合に覆って、始新世の弥勒層群・本渡層群・逆瀬川層群などが載ります。なお、甑島の姫浦層群から恐竜化石も発見されています。これらは浅海成~非浅海成の堆積物で、堤ほか(2018)に示すように、西南日本に点々と帯状に分布しています。恐らく広義の四万十帯(白亜紀付加体・古第三紀付加体)が沈み込んでいるときの海溝斜面堆積物(前弧海盆堆積物)なのでしょう。泥質岩では海底地すべりも見られます。
 なお、斉藤ほか(2010)の最近の研究では、さつま町柊野や南九州市知覧など各地に正常堆積物が散在していることが分かり始めました。四国が付加体の標識地とされてきましたが、九州のほうが構成メンバーが揃った模式地なのかも知れません。

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初出日:2016/09/17
更新日:2018/11/04