御仮屋御殿
往時の御仮屋庭園(尚古集成館所蔵) | 御仮屋庭園図面(尚古集成館) |
仙巌園と共に「花倉御仮屋庭園」として国の名勝に指定されている花倉御仮屋は弘化3年(1846)島津
さて石塀ですが、御殿を囲む塀なら、周囲を全部囲うのが通例です。しかし、この石塀は庭園の北東側しかありません。しかも庭園外には、庭園内を貫通する花倉第3谷の流路を替えるために、導流堤が石で造られています。付け替えられた川は、石塀に沿う溝に流されています。現在自然遊歩道になっているところです(下は暗渠になっています)。平成5年(1993)8月豪雨の際、ここを流れた谷の水が崩壊を誘発して土石流化、
現在では花倉第3谷の下流にも住宅がありますので、砂防ダムを建設中です。しかし、史跡名勝の中に砂防ダムは造れません。敷地外の住宅裏に景観に配慮した小規模な砂防ダムを造り、不足分は庭園内の見えないところに土留め擁壁を造るなどして対処しようとしています。
御仮屋御殿正門 | 庭園石塀と側溝および自然遊歩道 | |
谷出口の導流堤(庭園外) | 1993災害(右が花倉病院、左の竹藪が庭園) | 花倉第3谷と集水域 |
文献:
- 原口虎雄(1966), 幕末の薩摩―悲劇の改革者、調所笑左衛門. 中公新書, 183pp.
- 文部省科学研究費突発災害調査研究成果自然災害総合研究班(研究代表者 岩松 暉)(1994), 平成5年8月豪雨による鹿児島災害の調査研究研究成果報告書. 文部省自然災害総合研究班, 190pp. 付浸水図A0判1葉.
- 1993年豪雨災害鹿児島大学調査研究会(研究代表者 下川悦郎)(1994), 「1993年鹿児島豪雨災害の総合的調査研究」報告書. 鹿児島大学, 229pp.
初出日:2016/01/26 更新日:2016/10/04