2021年トカラ近海地震
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2021/04/10 07:07 M5.3 発震機構(気象庁) | トカラギャップの左横ずれ断層 (松本ほか,1996) |
2021年4月9日23時30分、十島村小宝島近海で、M2.5の地震が発生、以後15日16時まで最大震度1を超す地震が248回に上っています。中でも悪石島では震度4を5回観測しました。折悪しく13日には雨も降りましたので、土砂災害を警戒して、3世帯の方が避難所に避難したそうです。発震機構は左横ずれで、トカラギャップの動きと調和的とのことです。それでは、トカラギャップについて見てみましょう。
小西(1965)は、琉球列島(南西諸島)を先中新世基盤岩類の研究に基づき、西南琉球・中部琉球・東北琉球に3区分しました。それらを境するものは、それぞれ宮古凹地(現在ではケラマギャップと言われることが多い)と吐噶喇海峡(トカラギャップ)で、left lateralのtranscurrent faultsと解される構造線(つまり左横ずれ断層)としました。このトカラギャップは生物地理区を分かつ有名な渡瀬線に相当します(「ハブの分布と地史」参照)。その後、松本ほか(1996)は精密音響測深を行い、トカラ鞍部が実際に左横ずれしていることを明らかにしました。
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2021/12/05 11:14 M4.9 発震機構(気象庁) |
2021年12月4日正午頃から同一海域で地震が群発しています。4月の地震と若干異なり、発震機構はやや正断層型に近いようです。参考までに、12月4~9日に発生したM2以上の地震を右図に示します。9日午前11時5分、M6.1の地震も発生しました。悪石島で震度5強、子宝島で震度4だったそうです。幸い被害は軽微でしたが、まだ地震が続いていますので、島外に避難する人もいるようです。
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2023/09/09 03:08 M5.1 発震機構(気象庁) |
文献
- Komaki, S. & Igawa, T.(), The widespread misconception about the Japanese major biogeographic boundary, the Watase line (Tokara gap), revealed by bibliographic and beta diversity analyses. , Vol., No., p..
- 小西健二(1965), 琉球列島(南西諸島)の構造区分. 地質学雑誌, Vol.71, No.840., p.437-457.
- 松本 剛・木村政昭・仲村明子・青木美澄(1996), 琉球弧のトカラギ ャップおよびケラマギ ャップにおけ る精密地形形態. 地学雑誌, Vol.105, No.3, p.286-296.
- 及川光弘・藤岡ゆかり・西澤あずさ・金田謙太郎(2013), 奄美大島・トカラ列島周辺海域における地質構造. 海上保安庁平成25年度海洋情報部研究成果発表会, ポスター展示, P-3.
- (), . , Vol., No., p..
- (), . , Vol., No., p..

初出日:2021/04/17
更新日:2023/09/11