富士山噴火首都圏被害想定
2020年3月31日、中央防災会議大規模噴火時の広域降灰対策検討ワーキンググループは富士山噴火により首都圏がどのような被害を受けるかシミュレーションを行い、報告書案を公表しました。鹿児島からは遠く離れていますが、桜島の麓に住むわれわれにとっても参考になりますので、簡単に紹介します。富士山噴火史
富士山噴火年表(小山,2007) | 産総研富士山火山地質図第2版 |
(宝永噴火)夜ルの景色 (個人所蔵:中央防災会議より引用) |
中央防災会議のシミュレーション
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想定される降灰の影響 | ○:噴石・火砕流被害,/:鉄道運行不能, /:2輪駆動自動車運行不能,/:停電 |
インフラへの影響も分析、右表のような事態が発生するだろうと予想しています。影響範囲も図示されており、右地図は西南西風のケースをトレースしたものです。
最後に、このような非常に多くの住民や経済活動に長期間影響を及ぼすので、国や自治体は広域降灰を見据えた防災計画を事前に定めておくことが重要と強調しています。また、被害軽減および社会的混乱の抑制のために具体的対策の検討を求めています。
蛇足: 新型コロナウイルスパンデミック
この富士山噴火シミュレーションが出されたのは、ちょうど世界中に新型コロナウイルスが蔓延し、パンデミックpandemicの最中でした。東京都でも感染爆発coronavirus explosion, outbreak寸前の危機的状況だとして、外出自粛要請が出されました。やがて新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく、もっと強い強制力を伴った対策が打ち出されるでしょう。しかし、長期にわたる外出禁止は、収入の道が断たれることを意味する人たちもたくさんいます。実効性のあるものにするためには、それに伴う収入の損失補填とセットでなければなりません。火山災害も長期にわたりますから、さまざまな社会的経済的損失を伴います。危機管理部署や土木部署だけに任せておくのではなく、総合的な対策が求められる政治マターなのです。防災計画にはそれらも視野に立案する必要があるでしょう。文献:
- 荒牧重雄・太田美代(2008), 日本一の火山 富士山. 山梨県環境科学研究所, Vol., No., p..
- 小山真人(2007), 富士山の歴史噴火総覧. 荒牧重雄・藤井敏嗣・中田節也・宮地直道編:富士火山,山梨県環境科学研究所,p.119-136.
- 日本火山学会編(2007), 富士火山. 山梨県環境科学研究所, 490pp.
- 下重 清(2007), 宝永4年(1707)富士山噴火. ぼうさい, No.37, p.18-19.
- 高田 亮・山元孝広・石塚吉浩・中野 俊(2016), 富士火山地質図第2版. 産総研, 1葉.
- (), . , Vol., No., p..
- (), . , Vol., No., p..
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参考サイト:
- ⼤規模噴⽕時の広域降灰対策について ―首都圏における降灰の影響と対策― ~ 富⼠⼭噴⽕をモデルケースに ~ ( 報 告/令和2年4月 ) (内閣府)
- 大規模噴火時の広域降灰対策検討ワーキンググループ > 第4回配布資料(内閣府)
- 富士山火山防災協議会(内閣府)
- 富士山の火山防災対策(内閣府)
- 災害教訓の継承に関する専門調査会報告書 1707 富士山宝永噴火(内閣府)
- 富士山大噴火 降灰シミュレーション 深刻な影響も(NHK 2019.04.08)
- 発見!富士山噴火で消えた村 300年の時を超えた教訓(NHK NEWS WEB)
- 富士山噴火による被害想定がこれまでと変わります(山梨県)
初出日:2020/04/01
更新日:2020/09/24