2020年薩摩半島西方の地震
地震の概要
![]() | |
震度分布(気象庁) | 震央・M・深さ(![]() ![]() 青線:鹿児島中央構造線、緑線:伊作断層 |
![]() |
発震機構(CMT解) |
この地域は鹿児島県地震被害予測でも想定地震域に挙げてあるところですし、地震本部でも市来断層帯として検討対象に挙げている地域ですので、気になります。少しレビューして見ましょう。
なお、2020年5月3日20時54分21秒にも西方沖でM6.2の地震がありましたが、震央は宇治群島のはるか西方(31°18.2′N:128°43.0′E)でした。この時には薩摩川内市や南さつま市の軟弱地盤帯で震度3を観測しています。
<注> 5月2日、気象庁より発震機構解が発表されました。余震を考慮すると東西走向の左横ずれのようです。なお、この時、震源位置も修正されましたので、それに伴いGISの図も修正しました。震央は西方沖ではなく、日置市日吉町の大川河口に当たります。
鹿児島県地震等災害被害予測調査
![]() | ![]() |
予測想定震源モデル(鹿児島県) | 県西部直下地震想定震度(鹿児島県) |
<注> 鹿児島県が想定している地震は、地震本部の五反田川断層の地震であって、吹上浜西方沖断層ではないことに留意してください。
市来断層帯
![]() | ![]() |
市来断層帯(地震本部) | 予想震度(地震本部) |
伊作断層と南九州のサイスミシティ
![]() | ![]() |
鹿児島市北東-南西方向の地質断面図(大木ほか,1990) | |
![]() | |
鹿児島県地質図(鹿児島県,1990) | 左横ずれ内陸地震(角田・後藤,2002) |
一方、角田・後藤(2002)は、南九州の内陸地震をまとめ(図は1989/06~1994/12の地震)、E-W走向高角左横ずれの地震列群を認めました。このうちのa列がまさに伊作断層と一致します。ここでは1913年日置地震(M5.9, 5.7)や1997年薩摩半島中部沿岸の群発地震(Mmax3.2)が発生しています。
鹿児島中央構造線
![]() | ![]() |
鹿児島中央構造線(Arita,1954) | 基盤標高(小林・矢野,2007) |
文献:
- Arita, T.(1954), The Geological Structure of Kagosima Prefecture, Kyusyu District, Japan. Sci. Rep. Kanazawa Univ., Vol.2, No.2, p.121 - 131.
- 鹿児島県地質図編集委員会(1990), 10万分の1鹿児島県地質図5葉 付「鹿児島県の地質」, 117pp.
- 角田寿喜・宮町宏樹・久保田裕史・高木章雄(1992), 九州の内陸地震活動. 地震 2輯, Vol.45, No.2, p.229-237.
- 角田寿喜・後藤和彦(2002), 九州-南西諸島北部域の地震活動とテクトニクス. 地震2輯, Vol.55, No.3, p.317-336.
- 小林哲夫・矢野 徹(2007), 南九州の地質・地質構造と温泉. 温泉科学, Vol.57, No., p.11-29.
- 久保田喜裕(1986), 南九州北薩地域における金銀鉱脈鉱床の生成とその造構史的背景. 鉱山地質, Vol.36, No.200, p.459-474.
- 大木公彦・舟津俊宏・早坂祥三(1990), 鹿児島市南部の地質・とくに伊作火砕流と照国火砕流との関係について. 浦島幸世教授退官記念論集, p.125-133.
- 大木公彦(2010), 鹿児島フィールドミュージアムへのお誘い. 鹿児島国際大学考古学ミュージアム主催講演会記録, p.1-7.
- (), . , Vol., No., p..
- (), . , Vol., No., p..
- (), . , Vol., No., p..
参考サイト:
- 鹿児島県地震等災害被害予測調査(鹿児島県)
- 市来断層帯(地震本部)
- 九州地域の活断層の地域評価(地震本部)
- 市来断層帯の長期評価(地震本部,2013)
- 2020年06月01日09時33分 薩摩半島西方沖 M 4.3(気象庁)
- 地震情報 令和2年6月1日09時38分発表(気象庁)

初出日:2020/06/01
更新日:2020/11/30