風水害

 台風による風害

枕崎台風の経路(気象庁)
 台風は暖かな南の海で発生し、太平洋高気圧の周囲を回るので、鹿児島はちょうどその通り道に当たります。台風銀座と呼ばれる所以です。理科年表に載っている主な被害台風は鹿児島に上陸しているものが多いですが、鹿児島に上陸した場合が日本本土を縦断する距離が一番長いので、被害がたくさん出るからです。必ずしも上陸回数が一番というわけではありません。昭和の三大台風といわれるものは、1934年の室戸台風(死者2,702人)、1945年の枕崎台風(死者2,473人、行方不明者1,283人)、1959年の伊勢湾台風(死者4,697人)です。枕崎台風では枕崎で916.3hPa、最大風速40.0m/s(最大瞬間風速62.7m/s)を記録しています。この台風は雨台風というより風台風だったようです。1945年当時、枕崎は軍港の感がありましたから、1月以来繰り返し空襲に受け、徹底的に焼き尽くされましたが、終戦直後の9月17日、台風16号(枕崎台風)が襲来、追い打ちをかけられました。そのため、1956年枕崎市は財政再建団体になっています。右の枕崎台風の経路図は気象庁によります。
 なお、台風は台風の眼を中心に左回りの風が吹きますから、北上中の台風では東側(右側)が危険半円です。したがって、台風が東シナ海を北上する時には、とくに注意が肝要です。

 高潮

 被害を与える大型台風では暴風雨以外にも高潮の心配があります。鹿児島湾が上述の危険半円に入ったときには強い南風によって湾奥に運ばれた海水が行き場を失って湾奥部で潮位が高くなりますから要注意です。垂水フェリーが陸上に持ち上げられたこともありました。

 竜巻

 竜巻は関東平野で多いと考えられていますが、鹿児島でもあります。たとえば、2011年11月18日19時10分頃徳之島町轟木で発生、死者3名、全壊1棟の被害を出しています。

 洪水

 鹿児島県にある一級河川は九州で2番目に長い川内川と、大隅半島の肝属川です(その他、大淀川の最上流部が曽於市にあります)。川内川は溶結凝灰岩に起因する袋谷(狭隘部に隔てられた盆地)が発達するため、各所で水害が発生しやすい地形条件を持っています。肝属川も水害で有名でしたが、鹿屋の分水路トンネルが完成してからは、あまり水害は発生していません。
 鹿児島の水害と言えば、何と言っても1993年の甲突川の水害、いわゆる8・6水害でしょう。「平成5年8月豪雨」と気象庁が命名した豪雨が鹿児島を中心に降り、8月6日の鹿児島市の日雨量は259mmに達しました。午後6時頃時間雨量が50mmを超え、岩崎橋の水位が5mを超えて測定不能になりました。市内中心部が浸水し、繁華街の天文館も水没しました。浸水深は最大で2mを超したところもありました(右図:横田修一郞当時鹿大助教授らによる)。この8・6水害については、「1993年鹿児島豪雨災害」と「甲突川の水害」をご覧ください。


初出日:2015/5/30
更新日:2019/03/22