『地すべり学入門』
岩松 暉 著
第3章 日本の地すべり
1.地すべり地の分布
地すべりは特定の地質のところに偏在している。図から一見してわかるように日本海側のいわゆるグリーンタフ地帯と中央構造線に沿う四国三波川帯に集中して見られる。前者は主として新第三紀の泥岩が広く分布しているところである。軟岩の地すべりである。後者は結晶片岩の地すべりで、片理面のような異方性の面に支配されてすべる構造性地すべりが多い。九州は比較的少ないほうだが、長崎・佐賀両県の北松型地すべりが有名である。
なお、図は縮小してあり見にくいが、図をクリックすれば、大型の鮮明な画像が得られる。
2.各地の特徴
各地の特徴を建設省地方建設局ごとに箇条書きで示す。数字は管轄面積の中に占める地すべり地面積の割合である。
- 北海道 0.01%
- 道央増毛山地に群発
- 融雪期と秋雨期に多い
- 東北 0.48%
- 圧倒的に日本海側に集中
- 関東 0.92%
- 長野・姫川・富士川・嶺岡
- 関東山地・赤石山地
- 北陸 5.18%
- 新潟県南部・富山周辺・奥能登
- 融雪期に多い
- 東海・近畿 0.25%
- 但馬・丹後・北神戸・淡路島・紀ノ川・十津川
- 中国・四国 2.32%
- 山陰・津山・和泉層群
- 三波川帯・秩父北帯
- 九州 0.54%
- 北松地域・天草・日南
- 臼杵八代線・仏像線
- 霧島温泉地すべり
- 沖縄は島尻層群
- 梅雨期・台風期に多い
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更新日:1997年1月1日