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研究
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ホイスラー合金は,ハーフメタル特性や熱電効果,強磁性形状記憶効果などの機能性材料として研究が進められている物質です。ホイスラー合金には,X2YZ構造をもつフルホイスラー合金と,XYZ構造をもつハーフホイスラー合金があります。XサイトとYサイトは遷移金属元素が,また,Zサイトはsp元素が占めるため,非常に多くの種類のホイスラー合金が存在します。
磁化や電気抵抗,比熱などの測定手法を用いて,合成したホイスラー合金の物性研究を行っています。例えば,遍歴磁性体の性質をもつホイスラー合金に関しては,スピン揺らぎの理論に基づいた遍歴電子系モデルの解析に取り組んでいます。また,超伝導性を示すホイスラー合金の超伝導転移温度は液体ヘリウムの沸点(4.2K)より低いものが多いですが,超伝導特性を示すホイスラー合金の合成と特性評価にも取り組んでいます。
私たちのグループの実験設備では得られない極低温・強磁場・高圧の複合極限環境下での実験に関しては,東京大学物性研究所や東北大学金属材料研究所との共同研究を積極的に進めています。
L21構造をもつフルホイスラー合金やC1b構造をもつハーフホイスラー合金を合成し,電気抵抗や磁化,比熱などの測定に取り組んでいます。また,学内外の研究グループとの共同研究を進めることによって,極低温・強磁場・高圧環境下での物性測定や,熱電能や熱伝導など,我々のグループではできない測定手法の研究にも取り組んでいます。 |
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第一原理バンド計算からハーフメタルであると予想されるホイスラー合金の合成と物性評価に取り組んでいます。
ホイスラー合金はL21構造の規則度をもちますが,原子サイトの乱れが生じるとB2構造やA2構造の規則度になります。第一原理バンド計算から,規則度が高いL21構造の場合に,多くのホイスラー合金が高いスピン分極率をもつ考えられています。しかし,原子サイトの乱れに耐性があると期待されるホイスラー合金も存在し,私たちはそのようなホイスラー合金に注目して研究を進めています。主にアーク溶解法により合成した多結晶試料の評価を行っていますが,今後は,単結晶試料の合成や特性評価にも取り組む予定です。
電気抵抗測定や磁化測定を行い,高いスピン分極率の観点から合成したハーフメタル型ホイスラー合金の評価を行っています。特に,ハーフメタル材料であることを評価するために,超伝導体とハーフメタル型強磁性体の接合界面で生じるアンドレーエフ反射という物理現象を利用したアンドレーエフ反射法という測定手法を用いて,ハーフメタル型ホイスラー合金のスピン分極率を直接決定できることが大きな特徴です。
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ハーフメタル型ホイスラー合金/超伝導体膜の超伝導ゆらぎ伝導度 |
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東北大学金属材料研究所との共同研究で,超高真空マルチスパッタを利用して,ハーフメタル型ホイスラー合金と超伝導体のフルエピタキシャル多層膜の成膜し,電子ビーム描画装置を用いてナノデバイス化を行っています。さらに,作製した多層膜の強磁場中での輸送特性の測定や,ナノデバイスの特性評にも取り組んでいます。
超伝導体接合界面では,アンドレーエフ反射と呼ばれる現象が生じるため,超伝導体とハーフメタル型ホイスラー合金の接合界面では非常に興味深い物理現象が観測されることが期待できます。
超伝導体NbNは20テスラを超える非常に大きな上部臨界磁場を有するため,東北大学金属材料研究所強磁場センターを利用して,作製したフルエピタキシャル多層膜やナノデバイスの磁場中輸送特性の評価も行っています。
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