2000年3月24日、鹿児島大学理学部地学科最後の卒業生を送り出しましたので、このホームページはこの日をもってフリーズしました。もう更新しません。悪しからず。
 なお、「かだいおうち」は日本における大学研究室ホームページの第1号です。歴史的遺産としてここにアーカイブしておきます。

工事現場露頭写真集


お願い|サボウランドパークあいら|第2白糸トンネル|鹿児島道路|中岳ダム|種子島牧場造成地

◆お願い

 建設工事に伴ってしばしば学問的に貴重な露頭が出現します。関係者以外の目に触れないままコンクリートで覆われてしまうのは大変残念です。せめて写真だけでも広く公開してはいかがでしょうか。工事関係者の皆さんからのご投稿をお願いいたします。地名・工事名などは、Aダム・B道路・○○県などと伏せてもかまいません。投稿者のお名前も匿名でも結構です。iwamatsu@sci.kagoshima-u.ac.jp宛てにメールをいただければ幸いです。

◆サボウランドパークあいら

 1993年鹿児島県姶良町の姶良ニュータウンで大規模なシラス災害がありましたが、今では砂防公園(サボウランドパークあいら)に生まれ変わりつつあります。法面工事の際、シラスの見事なサクセッションが現れました。典型的なシラスは下位から大隅降下軽石・妻屋火砕流・亀割角礫層・入戸火砕流の順に堆積していますが、ここでは大隅降下軽石は細粒でごく薄く、基盤の姶良層を直接サージ状の妻屋火砕流が覆っています。また、亀割角礫層は、層状に分布するのではなく途切れ途切れになり、堆積学でいう火炎状構造に似た形態を呈しています。これは写真右隅にある基盤の高まりに右方から火砕流がぶつかって乱流が生じたために出来たのでしょう。
 上の写真は日本大学地球システム科学科学生上野龍之さんの作品を縮小したものです。実物大(JPEG:274KB)のものはずっと見事です。ここをクリックしてご覧ください。

◆第2白糸トンネル

 1997年8月25日14時30分頃、北海道後志支庁島牧村にある国道229号第2白糸トンネル坑口付近で大規模な岩盤崩落が発生しました(左全景写真)。事故のあった豊浜トンネルよりもはるかに大規模で、高さ約70m幅約30m推定体積20,000m3と言われていますが、幸い人身事故はありませんでした。崩落した岩塊は中新世オコツナイ層の石英安山岩質水冷破砕岩です。この上位には火山円礫岩がほぼ水平に堆積しています(右写真)。写真は10月20日岩松撮影。
 また、8月28日にも残っていた巨大な不安定岩塊が崩落しました。現地にいた多数の専門家によって目撃されたので、崩落のメカニズムを知る貴重なデータが得られたそうです。上の組写真は建設省土木研究所吉松砂防部長(鹿大農学部OB)のご提供によるものです。同氏に厚く感謝します。
<参考文献>
神尾重雄・吉松弘行・綱木亮介・脇坂安彦(1997): 国道229号第2白糸トンネルにおける岩盤崩落. 土木技術資料, 39(11), 2-5.

◆南九州西回り自動車道鹿児島道路

 南九州西回り自動車道が鹿児島から伊集院のほうに延びています。シラス台地をぬって走るため、シラス(入戸火砕流堆積物)の露頭が至るところで出来ました。上の写真は二次シラスで埋められた浅い谷です。吹き抜けパイプがシラス本体から二次シラスまで突き抜いていますから(右から二つ目のポールのところ、右に拡大写真)、入戸火砕流噴出直後の火砕流本体がまだ熱かった頃、大雨時にラハールでも起きて火砕流堆積面上で布状洪水が発生したのでしょう。その後、余熱の残っていた火砕流が小規模なガス爆発を起こして吹き抜けパイプを作ったのです。この露頭からこんなストーリーが読みとれます。谷の中心部右寄りにロート状の陥没構造もありますが、これはどのように考えたらよいのでしょうか。
 なお、このすぐ左手の露頭には、比較的細粒の火砕流が2・3cmの砂層を挟んで入戸火砕流本体の上に載っていました。一種のflow unit boundaryですが、上のものは恐らく二次的な火砕流でしょう。

◆中岳ダム

 大淀川源流にある中岳ダムは四万十帯に造られたフィルダムです。現在岩盤掘削が進んでいますが、左岸側では見事なスランプ褶曲や巨大なオリストリスの露頭が出現しました。

◆種子島牧場造成地

 種子島西之表市平田の牧場造成地で古第三系熊毛層群が第四紀層に衝上している第四紀断層の見事な露頭が出ました(写真左)。その熊毛層群の砂岩泥岩互層はまた、見事な褶曲をしています(写真右)。第四紀断層熊毛層群の褶曲については、それぞれ下線のところをクリックすると拡大写真がご覧になれます。

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更新日:1999年5月21日