鉄建公団パンフより
難工事区間として事前着工が認められたところです。北薩四万十帯の緑色岩および砂岩頁岩互層中に掘られました。緑色岩類は枕状溶岩・ピローブレッチャ・ハイアロクラスタイトと岩相変化が激しく、節理等の亀裂が発達するため、湧水に悩まされたそうです。
日本地下石油備蓄(株)パンフより
横穴水封式地下備蓄基地です。水封式とは、地下水圧を貯蔵原油や蒸発ガスの圧力より高くすることにより、油漏れやガス漏れを防ぐ方法です。地質は新第三紀北薩安山岩類の自破砕状安山岩と礫岩からなっています。火山岩類は地表では亀裂が無数に発達するのが普通ですが、ここの地下では極めて良好な岩盤をなしていました。
喜界島地下ダム模式断面図(九州農政局パンフより)
喜界島は標高の低い小さな島ですから、大きな河川がなく慢性的な水不足に悩まされています。そこで、空隙の多い琉球石灰岩の中に雨水を貯留しておこうと、地下ダムが計画されました。琉球石灰岩堆積前の旧地形、つまり第三紀島尻層群の不整合面を洗面器に見立て、下流側に地中壁を作って水を溜めようという訳です。
露木・他(1988)より
シラスは崩れやすいとしてトンネルを掘るのは避けてられきました。本格的なシラストンネルは、鹿児島市の武岡トンネルなど九州自動車道や国道バイパスのトンネルとして建設されました。いずれも地下水位よりも高い位置に計画され、NATM工法で施工されました。もっとも困難な地下水面下のシラストンネルとしては、鹿屋分水路が有名です。大部分シラス(入戸火砕流)中を通りますが、一部に大隅降下軽石が存在するため、内部浸食が問題になりました。
志布志石油備蓄(株)パンフより
地上タンク式の国家石油備蓄基地です。わが国石油消費量の8日分を溜めることができるそうです。肝属川河口の沖合いに埋立地を造成して建設されました。地質は、シラス(入戸火砕流堆積物)を基盤とし、上部洪積層とされる志布志湾層と肝属川の埋没谷を埋める沖積層からなっています。埋土層の厚さは15m程度ですが、シラス地帯を後背地にもつことから、砂質土的で粘着力はほとんどゼロ、内部摩擦角が大きいという特徴があります。そのため、地盤改良としてプレロード工法(備蓄する油と同重量の土砂を事前に積み上げ、圧密を促進させる方法)が採用され、地震時の液状化対策としてサンドコンパクションによる締固め工法が採られました。