姉妹都市パースの地質

 オーストラリアのパース(Perth)市は鹿児島市と昭和49(1974)年4月23日姉妹都市の盟約を結びました。その理由は、鹿児島市のホームページによると次の通りです。
 パース市は南緯32度に位置し「ひかりの街」と呼ばれるのに対し、北緯32度に位置し「太陽と緑の街」と呼ばれる鹿児島市とは地理的、気候的に共通点が多く、民間団体の親善訪問が盛んになりました。こうした交流が盛り上がる中、姉妹都市盟約が結ばれました。

Perthの東西断面図(文献1より)

 さて、地質的に見るとパースと鹿児島は全く異なります。そもそも日本列島は新しい島弧なのに対し、オーストラリアは先カンブリア紀の古い安定陸塊(Craton)です。パースは、その南西端に位置する西オーストラリアの州都です。
 地質的にはDarling断層を境に東の安定陸塊(Yilgarn Craton)と西のPerth盆地に大別されます。安定陸塊の大部分は先カンブリア紀の花崗質岩(赤)・片麻岩類(黄土色)・緑色岩帯(緑)などからなります。なお、この地帯には多くの鉱山が分布しています。
 Darling断層は南北1,000kmも続く巨大断層帯です。25億7000万年前に横ずれ断層として動き、三畳紀~ジュラ紀(2億5000万年~1億3500年前)に西側15km落ちの正断層として再活動したと考えられています。
 Perth盆地は二畳紀~白亜紀の地層で厚さ15kmあります。それを覆って、新第三紀~第四紀の砂丘群からなるSwan Coastal Plainが広がっています。Perth盆地の北部には豊富な油田が存在します。

オーストラリア地質図(Geoscience Australiaによる)(:Perth Town Hall)

文献:

  1. Harris, L. B. (1994), Structural and Tectonic Synthesis for the Perth Basin, Western Australia. Jour. Petroleum Geol., Vol.17, Issue 2, p.129-156.
  2. Moss, S. J. et. al.(1998), The Prider Field Trip – the rock cycle and geology of the Perth metropolitan area. Geological Society of Australia (W.A. Division), 47pp.
  3. Web Page of Geoscience Australia Applying geoscience to Australia's most important challenges - Perth Basin
  4. McPherson and Jones, A. (2005), Appendix D: Perth Basin Geology Review and Site Class Assessment. Natural hazard risk in Perth, Western Australia, p.313-344.


初出日:2015/06/23
更新日:2020/03/14