友好都市長沙の地質

 中国湖南省の省都・長沙(长沙 Changsha)市は鹿児島市と昭和57(1974)年10月30日友好都市の盟約を結びました。その理由は、鹿児島市のホームページによると次の通りです。
 鹿児島は中国大陸に近く、鑑真和上や遣唐使船など歴史的関係も深いことから、中国との交流を求める気運が高まりました。 1981年11月に各界代表が中国の各都市を訪問するなど、中国との友好を深めていきました。こうしたなか、長沙市から友好都市締結の申し入れがあり、先遣視察団が鹿児島市を訪れるなど交流が深まり、友好都市が締結されました。

郭ほか(1985)による原生代の江南変動帯地質図はOneGeology Portalより(:長沙市政府)
長沙産菊花石
 中国の地体構造に関してはいろいろな説があります。長沙は揚子卓状地(Yangzi platform)と南華褶曲帯(South China Fold Belt)のちょうど境界に位置すると考えられています。郭ほか(1985)によれば、この地域は原生代江南変動帯(Jiangnan Proterozoic mobile belt)と呼ばれます。原生代前半の東安変動(Dong'anian orogeny: ›1400Ma),落下崠変動(Laokedongian orogeny: 1000Ma),雪峰変動(Xuefengian orogeny: 800Ma)と呼ばれる3回の変動によって形成されたのだそうです。なお、長沙の北には有名な洞庭湖があります。
 湖南省には張家界世界地質公園や茛山国家地質公園・飛天山国家地質公園などのジオパークがありますが、市内にも韶山風景名勝区などがあり、自然も豊かなところです。また、銘石も産出します。右写真は友好都市締結20周年を祝って長沙市から鹿児島市に贈られた菊花石です。瀏陽永和大渓の河底から見つけ出されたのだそうです。鹿児島市役所正面玄関に飾ってあります。なお、菊花石の花は方解石calciteや玉髄chalcedonyが放射状に伸長したものですが、成因については諸説あります。日本では岐阜県根尾谷の菊花石が有名です。

文献:

  1. Guo Lingzhi, Sm Yangshen, Ma Ruishi, Lu Huafu, Ye Shangfu, Ding Yeuwen, Chen Shengzao & Xia Bin(1985), Plate Movement and Crustal Evolution of The Jiangnan Proterozoic Mobile Belt, Southeast China. AGGJ(地球科学), Vol.30, No.2, p.156-166.
  2. 中国科学院地質研究所大地構造編図組, 本島公司・岸本文男訳 (1977), 中国の地体構造の基本的特徴とその発展に関する初歩的検討. 地質調査所月報, 第28巻第6号, p.413-429.
  3. Liu Guanghua(), Geology. Website of 中国Crystalline Treasures.


初出日:2015/07/08
更新日:2018/12/17