組織地形

組織地形(中国地質調査業協会HPによる)
十三塚原(シラス台地)
獅子島より望む天草の屏風山-産島向斜(ケスタ地形)
屋久島地質図と水系(中心部は花崗岩、縁辺部は古第三系熊毛層群)
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 地形は火山活動や地殻変動など内因によって形成されるものと、浸食作用など外因によるものに分けられます。そのうち、地質に規制されて差別浸食を受けて形成されるものを組織地形sturctural landformと言います。最上図の模式図をご覧ください。メサmessaは、上位に硬い水平層(キャップロックcap rock)があり、下位に柔らかい地層がある場合に下位層が浸食されてできます。香川県の屋島や大分県の万年山(はねやま)が有名です。これらの場合、硬い上位層は溶岩です。天草上島の白嶽
蔵王岳火山岩頸
は、古第三紀白岳砂岩層(粗粒のアルコーズ砂岩)です。鹿児島のシラス台地は大規模火砕流の堆積面ですから、メサの定義から外れるかも知れませんが、地質に規制されている点は同じです。メサの浸食が進み、規模が小さくなるとビュートbutteと呼ばれます。大分県の伐株(きりかぶ)山がその例です。なお、姶良市の蔵王山は火山岩頸volcanic neckでビュートではありません。
天草上島千巌山のケスタ
 地層が傾斜しているとケスタcuestaになります。鹿児島ではあまり典型的なケスタ地形は見られませんが、獅子島から天草のケスタが遠望できます。宮崎市の加江田渓谷山系(鵜戸山塊)は、宮崎層群(中期中新世~前期更新世)が東に傾斜しており、かつ、基底礫岩の双石(ぼろいし)層が硬いため、典型的なケスタ地形をしています。
 花崗岩は等方均質の深成岩ですから、互いに直交する冷却節理cooling jointが発達します。
屋久島花崗岩の節理に規制された谷
つまり立方体状に割れます。屋久島花崗岩はこの冷却節理に規制されて、北東-南西方向と北西-南東方向の直線的なリニアメントが発達します。これに沿って谷も発達、直線的で切り立った直角に曲がる水系が見られます。地質図に国土基盤情報の水系を記入してみました。これも地質構造に支配されているので、組織地形に入れて良いのかも知れません。

文献:

  1. 磯 望(1984),小楊子川流域の地形. 屋久島原生自然環境保全地域調査報告書, p.41-62.
  2. 岩松 暉・小河内良人(1984),屋久島小楊子川流域の地質. 屋久島原生自然環境保全地域調査報告書, p.27-39.
  3. 太田陽子・小池一之・鎮西清高・野上道男・町田 洋・松田時彦(2010), 日本列島の地形学. 東大出版会, 204pp.
  4. 鈴木隆介(1997), 建設技術者のための地形図読図入門 第1巻 読図の基礎. 古今書院, 200pp.
  5. (),. , Vol., No., p..
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参考サイト:



初出日:2017/09/10
更新日:2020/11/25