天下の絶景





地質的には24万年前の鳥浜火砕流堆積物(非溶結)の上に11万年前の阿多溶結凝灰岩が載っており、鳥浜火砕流堆積物が柔らかいため浸食し去られた結果、上位の阿多溶結凝灰岩が陥没してできた(高橋,1999)、と言われています(右図)。南九州市の海岸には同じような成因でできた湾がたくさんあり(下図)、江戸時代には天然の良港として栄えました。
★ 石碑裏面の碑文は下記の通りです。
伊能忠敬先生は千葉県佐原市の生れで全国を測量して最初の日本地図を完成した人であるが此の地には今から百六拾年前文化七年七月に來られて此所長手崎(番所)の雄大明媚なる風光に驚嘆し「蓋し天下の絶景なり」と稱讃されたと言うことである 後世先生の偉業を讃え此の碑を建てるものである
昭和三十一年二月 別府區観光委員会
★ 『三国名勝図会』(五代秀尭・橋口兼柄 共編,1843)には、下記のような記載があります。
往歳大府の測量官、伊能氏、諸國を巡歴して、此地を過きし時、景勝を賞して曰く、是名所の浦なり、列國の内にかくの如くなる景勝の處は、復得べからずとて、半日許り駐滞して、この所の畫圖を寫せしとかや、凡そ開聞嶽遠眺の勝地は、坊津耳取嶺と、此所なりといふ、此地西陲にあれば、其名天下に著はれず、實に惜むべきなり
文献:
- 五代秀尭・橋口兼柄 共編(1843) (山本盛秀, 1905), 三国名勝図会
- 高橋達郎(1999), 薩摩半島南縁の海岸地形. 地理学評論, Vol.45, No.4, p.267-282.
- 伊能忠敬記念館
- 伊能大図彩色図の閲覧(国土地理院)
- InoPedia(伊能忠敬e史料館)
- 伊能忠敬の地図と史料(伊能忠敬研究会資料室)
- 伊能忠敬図書館
- Map Collections of American Memory(合衆国議会図書館)

初出日:2016/08/16
更新日:2020/11/25