シラストンネル
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防空壕跡 | 新幹線薩摩田上トンネル工事 |
このようにシラスにトンネルを掘ることは、問題が多いとして避けられてきましたが、1970年代になって、NATM(New Austrian Tunneling Method)工法が導入されて以来、シラス地帯でもトンネルが掘られるようになりました。もちろん、この場合も地下水位低下工法が併用されました。
シラスの工学的特性
JSF分類 | し ら す | 溶結凝灰岩 | |||
極軟質しらす | 軟質しらす | 中硬質しらす | 硬質しらす | ||
指標硬度(mm) | 20以下 | 20~25 | 25~30 | 30~33 | 33以上 |
極軟質シラス | シラスが風化して粘性土化した風化シラスの中で特に軟らかいもので、含水比も高い。色は淡褐色あるいは淡紅色を呈し、シラス層の上層にあることが多い。 |
軟質シラス | 風化シラスの中で風化の程度が淡いもので、やや細粒分が多くて軟らかく、灰白色ないし淡褐色を呈す。 |
中硬質シラス | 普通シラスとも呼ばれ、一次シラスの代表的なもので、粗粒分に富み、やや硬く灰白色を呈す。植生の生育状況は劣る。 |
硬質シラス | 硬シラス又は固結シラスとも呼ばれ、硬く締って暗灰色を呈し、粗粒分を多く含む。 |


シラストンネルの切羽では、硬岩の山ハネのような脆性的な崩落をします。そこで多宝ら(2012)は破壊前の変形係数の変化に着目し、応力依存剛性変化モデルを提案しました。すなわち、拘束圧に応じて全体の変形係数を変化させ、それに応じて応力を修正するのです。
Dn = f(σminn-1) :D…変形係数,σmin…最小主応力(拘束圧)
シラストンネル工法―新武岡トンネルの場合―

文献:
- 五反田信幸、緒方秀敏、多宝 徹、日向哲朗(2012), シラス地盤に超大断面378㎡の地中分岐部を建設. トンネルと地下, Vol.43, No.3, p.15-25.
- 羽田忠彦・徳永康一(1987), 住宅団地直下のシラス層をNATM で掘る 指宿有料道路 西陵トンネル. トンネルと地下,Vol. 18,No.12,p.33-42.
- 花野 昭久(1960), 万江川地区シラス地帯のトンネル施行法 (I) . 農業土木研究 , Vol.27, No.8, p.430-532.
- 林 重徳・山内豊聡・亀江幸二・松雪清人(1990), しらす台地の地下水位下に貫通した「鹿屋分水路トンネル」. 土と基礎, Vol.38, No.8, p.13-18.
- 稲葉 秀雄, 鈴木 雅行, 多宝 徹(1999), シラス地山におけるトンネル掘削のための地下水低下工法の解析的検討. トンネル工学研究発表会論文・報告集, Vol.9, p.107-112.
- 北園 猛(), シラス台地における超大断面トンネルの設計と施工~鹿児島東西道路 新武岡トンネル~
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- 松本雄二・神笠自然・黒瀬信弘・井上 司(2000), シラス盛土を新しい先受け工法で克服―九州新幹線 薩摩田上トンネル―. トンネルと地下, Vol.31, No.12, p.7-15.
- 大島洋志・松本雄二・市橋 学・柿原 宏(2001), シラス地帯の新幹線路線計画とトンネル路盤の設計・施工. 応用地質, Vol., No., p..
- (社)日本トンネル技術協会(1988): シラス地盤トンネルの施工法に関する調査研究報告書(日本鉄道建設公団委託), 164pp.
- 瀬戸口忠臣・高木 勇・永倉彰夫(1998), 土かぶりの浅いシラス地帯を中壁式NATMで挑む―一般国道3号鹿児島バイパス武岡トンネル―. トンネルと地下, Vol.19, No.7, p.55-62.
- 多宝 徹, 鈴木 雅行, 菅原 健太郎, 北村 良介(2012), しらす地山の特性に着目したトンネルの力学的研究. 土木学会論文集C(地圏工学), Vol.68, No.2, p.321-340.
- 多寳 徹(2013), しらす地山における山岳トンネルの設計・施工法に関する研究. 鹿児島大学学位論文, 178pp.
- 髙木章次・田中秀之進・緒方秀敏(2011), 都市部のシラス台地におけるトンネル掘削. 九州技報, No.49, p..
- 武田 幸博, 西山 智夫, 藤本 孝晴, 小川 逸作, 松田 康治(1999), シラス地盤トンネルの設計・施工について. トンネル工学研究発表会論文・報告集, Vol.9, No., p.119-124.
- 鉄道・運輸機構九州新幹線建設局(2005), 九州新幹線工事誌(新八代・西鹿児島間), 294pp.
- 露木利貞・吉田三郎・羽田忠彦・松雪清人(1988), しらす地盤地帯における地下水下のトンネル工事. 土と基礎, Vol.32, No.3, p.43-48.
- 上田通夫(1984),シラスの力学的性状の解明と防災技術の研究. 上田通夫先生退官記念事業会, 302pp.
- 山内豊聡・歳田正夫・長野 実・高森彬文(1980), しらす地盤のトンネル工法. 土木学会誌, Vol.65, 増刊, p.28-35.
- 国土交通省(1999), シラス地帯の河川・道路土工指針(案)(改訂).
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初出日:2016/1/26
更新日:2017/03/30