国家石油備蓄基地
わが国のエネルギー自給率は極端に低く、ほとんどを中東の石油に依存しています。中東は政情不安ですので、万一のために、国家として石油を備蓄しておくことになりました。国家石油備蓄基地は、苫小牧東部・むつ小川原・秋田・久慈・福井・菊間・白島・上五島・串木野・志布志の10個所です。そのうちの2個所が鹿児島にあります。やはり南の玄関口だからでしょう。なお、赤字が地下備蓄、青字が洋上タンク式、黒字は普通の地上タンク式です。備蓄量は民間が国内消費量の83日分、国が94日分を備蓄していると言われています。串木野国家石油備蓄基地
水封式の原理 | 備蓄基地全景 | 地下空洞 |
地質断面図(上:東西断面,下:南北断面) | 地質断面をコアで表示(ちかび展示館展示) |
志布志国家石油備蓄基地
海底地質構造図(水路部,1982) | 志布志備蓄基地全景(志布志備蓄基地パンフレットより) |
なお、沖合に人工島を作ったのですから、必然的に沿岸の汀線変動が起きます。浸食域では養浜工などが行われたようです。
文献:
- 星野一男(1980), 石油地下貯蔵の適地調査. 応用地質, Vol.21, No.4, p.216-223.
- 星野一男(2007), 地下利用におけるROCK MECHANICSの課題, 石油備蓄を例として. 地學雜誌, Vol.116, No.2, p.287-293.
- 城代邦宏・植出和雄・本多 眞・長谷川誠・小島圭二・小川輝繁(2007), 地下石油岩盤タンクにおける水封機能の健全性評価手法に関する研究. 土木学会論文集C, Vol.63, No.2, p.624-634.
- 海上保安庁水路部(1982), 5万分の1沿岸の海の基本図 海底地形地質調査報告(志布志湾). 41pp.
- 建設省国土地理院地図部(1972), 志布志湾地域大規模開発調査報告書(土地条件調査). 国土地理院., 61pp.
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- 蒔田敏昭(1991), 岩盤タンクによる石油の地下備蓄について. 圧力技術, Vol.29, No.2, p.78-87.
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- 松村克之・ 蒔田敏昭・岡本明夫・中澤保延・小島圭二(1995), 石油地下備蓄基地建設における鉱業技術に基づく意思決定. 資源と素材, Vol.111, No.11, p.743-748.
- 西 隆一郎・佐藤道郎(1994), 砂丘一海浜系の侵食に関する現地観測と数値実験について. 海岸工学論文集, Vol.41, No., p.541-545.
- 西 隆一郎・宇多高明・佐藤道郎・脇田政一・大谷靖郎・堀口敬洋(1998), 沖合人工島建設に伴う海浜変形過程と侵食対策. 海岸工学論文集, Vol.45, p.561-565.
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- 山石 毅・小林 仁・谷 藤吉郎・岡本明夫・登坂博行・小島圭二(1998), 地下石油備蓄基地建設に伴う水文・水理挙動の数値シミュレーション. 地下水学会誌, Vol.40, No.2, p.167-183.
- 山本源一(1994), 志布志石油備蓄基地におけるタンク基礎の建設. 石油の備蓄と開発, '94, No.12, p.58-65.
初出日:2016/05/08
更新日:2016/10/05