防災道の駅

 道の駅

シンボルマーク
 駅というと当然鉄道の駅を思い浮かべます。しかし、モータリゼーションの発展と国鉄民営化の影響で、次々鉄道ローカル線は廃止になり、道路網が物流や移動の要になってきました。それに伴ってアチコチでドライブインが営業を始めましたが、これはレストラン利用客のもので、一般人が24時間利用できる無料の休憩施設はありませんでした。そこで1991年当時の建設省が実験的に道の駅を設置、1993年から正式に登録開始され、2020年1月1日現在1160駅に達しました。道の駅は、市町村単独か道路管理者と市町村や公的な団体によって整備されることになっており、24時間利用可能な休憩機能、道路状況の情報発信機能、地域活性化の発信機能を有することとされています。農産物など特産品の売り上げで注目される道の駅も出現しました。地域活性化の拠点を目指しているところから、2014年にはその地域活性化の担い手となる人材を育成・確保する観点から大学との連携を積極的に進めているようです。2017年現在北は北海道大学から南は宮崎大学まで67の国公私立大学と連携協定が結ばれています。なぜか鹿児島大学はまだのようです。

 防災道の駅制度創設

鹿児島県内道の駅(印:防災道の駅)
 2004年新潟県中越地震で、被災地の道の駅が被災者の避難所となったり、復旧支援車両の集合場所やボランティアの宿泊に使われたりするなど支援拠点として使われ、道の駅の防災機能が注目されました。そこで国交省は、道の駅に非常用電源や貯水槽など災害時に必要な設備を追加することを推進しはじめました。
 2020年国交省は、全国の道の駅の中から、広域的な防災拠点として機能する「防災道の駅」を認定する、新たな制度の創設を発表しました。そこでは耐震化、無停電対策の強化、BCP(事業継続計画)の策定などの施策を実施すると共に、防災訓練や外国人への情報提供も行うとしています。
 2021年6月、国交省は初めて「防災道の駅」として39 駅を選定しました。鹿児島県内では、垂水市の「道の駅たるみずはまびら」が選ばれました。なお、「奄美大島住用」は重点道の駅に認定されています。
 なお、道の駅は風光明媚なところに立地しているのが普通です。海岸線に位置していることもしばしばです。これらは津波に対して安全ではありません。背後に高い崖を控えているところもあります。九州自動車道桜島SAは1993年の鹿児島豪雨災害で被災しました。防災道の駅は当然それら立地条件も加味して認定されるものと思いますが、すべての道の駅が、即、防災施設ではないことに留意してください。

文献:
  1. 平岡 透・野中尋史・伊藤孝夫・熊野 稔(2018),九州地方における道の駅の集客数と土地利用の相関分析. 写真測量とリモートセンシング, Vol.57, No.1, p.29-33.
  2. 国土交通省道路局国道課・道路保全技術センター(2002),道の駅ハンドブック. ぎょうせい, 2冊.
  3. 松尾隆策(2018),道の駅の歴史・理論・実証・政策に関する研究―経済と防災に関する計量的分析―. ノンプロフィット・レビュー, Vol.18, No.1, p.25.
  4. 松尾隆策・山口三十四(2019),道の駅の経済学 : 地域社会の振興と経済活性化. 勁草書房, 282pp.
  5. 田中博之・高井浩司(2017),新たな取組み:大規模地震時医療活動訓練において, 道の駅を前線拠点型SCUとして活用した経験. 日本集団災害医学会学術集会, Vol.21, No.3, p..
  6. (),. , Vol., No., p..
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参考サイト:


初出日:2020/01/06
更新日:2021/06/11