2011年新燃岳噴火2018年新燃岳噴火被害状況YouTubeライブ映像YouTubeメディア報道ほか

 2018年新燃岳噴火

 2011年新燃岳噴火

新燃岳2011年噴火の經緯(気象庁:2018/3/13火山噴火予知連資料)
2011年1月27日鹿児島空港より遠望新燃岳降灰分布図(宮崎県県土整備部)噴火記念碑
(狭野神社)
 2011年1月26-27日、霧島山新燃岳では凖プリニー式噴火が発生、折からの偏西風に乗り、降灰は日南市にまで達しました。300年ぶりの噴火でした。新燃岳から約10kmの都城市御池では軽石が8cmも積もり、車のリアガラスが割れるなどの被害も出ました。鹿児島県側でも霧島市霧島支所や温泉旅館の窓ガラスが空振で割れるなどの被害が出ました。
 その後も断続的に噴火を繰り返し、火口底に少し水を湛えていた火口は溶岩で完全に蓋をされた状態になり、浅いフライパン状になって、活動は終息しました。
 右の写真は27日朝の鹿児島空港から見た新燃岳です。噴火当日でも鹿児島空港には実害がなく、航空機は離発着していました。このように鹿児島県の被害は軽微でしたので、このウェブサイトは鹿児島を対象としている建前上、この時の噴火は取り上げませんでしたが、2018年3月の噴火は鹿児島県側でも若干の被害が出ましたので、ここに取り上げることとします。
<注> 2018年になって、宮崎県高原町狭野神社境内に2011年の噴火記念碑が建立されました。

 2018年新燃岳噴火

2018年3月3日高千穂牧場からの遠望(霧島ジオパーク提供)
SARが捉えた溶岩ドーム(国土地理院2018/3/7 13:00)赤:同左トレース,緑:3/9,青:3/15(国土地理院)
3月4日の火山灰粒子(産総研)
Gは黒色火山ガラス
3月6日の降灰予測(気象庁)
 2018年3月6日、7年ぶりに新燃岳は爆発的噴火をしました。産総研によれば、火山灰中にマグマ由来の粒子が存在するそうですので、本格的なマグマ噴火をしたと思われます。普段は偏西風が吹いている時期ですが、たまたま北東の風でしたので、霧島市霧島地区および牧園地区で降灰がありました。鳴動音も聞こえ、硫黄臭もしているそうです。鹿児島空港でも78便の運休が出ました。
 天候が悪く目視観測は難しいですが、国土地理院の合成開口レーダーSARによる観測では円盤状の溶岩ドームが形成されたようです。
溶岩流(赤)と火砕流(黄)・新火口(緑)
(2018/3/26気象庁)
 9日になって火口北西隅から溶岩が流出し始めたとのことです。いわばお鍋からお粥があふれ出した状態です。ただし、ハワイや伊豆大島のような流動性の高い玄武岩と違いますから、極めてゆっくり流れますので(数m/日)、慌てる必要はありません。
 3月10日、噴煙高度4,500mに達するような活動もありましたので、気象庁では噴火警戒レベル3(入山規制)のまま、警戒が必要な範囲をおおむね3kmから4kmに拡大しました。
 3月15日、気象台は噴火活動は低下傾向にあるとして、警戒レベルは3のまま、警戒範囲を3kmに縮小しました。しかし、その後も爆発的噴火をしており、火口から流れ出した溶岩は15日現在42m流下しています。
 3月25日08時45分、今回の噴火でははじめて小規模な火砕流が発生、火口西側へおよそ800m流下しました。
 4月5日噴煙を8,000mまで上げる少々規模の大きな噴火をしました。これによりJR吉都線が信号トラブルで一時運行に支障が出たそうです。

 被害状況

用水路を埋めた火山灰
(霧島市提供2017/11/06撮影)
 霧島市牧園では、川から流れてきた火山灰が灌漑用水路を埋め尽くし、水稲の作付けに影響が出そうとのことです。特産の原木椎茸も被害を受けました。お茶や葉物野菜の被害が心配されます。2018年3月15日付南日本新聞によれば、椎茸の被害額は14日現在1,689万円に上るそうです。
 また、龍馬ハネムーンウォークの中止などイベントにも影響が出ていますし、温泉ホテルの宿泊キャンセルなど観光業にも打撃を与えています。

 ライブ映像

KYT鹿児島読売テレビ(霧島市) MBC南日本放送(気象庁提供) MRT宮崎放送(都城市) UMKテレビ宮崎(高原町) weathernews()

 メディア報道ほか

ANNnewsCH 2018/03/24 朝日新聞 2018/03/10 TN 2018/03/09 MBC空撮ライブ 2018/03/09 ANNnewsCH 2018/03/08
ANNnewsCH 2018/03/06 KyodoNews 2018/03/06 Volcano Watch 2018/03/06 Yukio Hayakawa 2017/10/11 早川由紀夫 2018/03/10

文献

  1. 入山 宙・寅丸敦志(2015), 霧島火山新燃岳2011年準プリニー式噴火における降下火砕堆積物の粒度変化. 火山, Vol.60, No.3, p.399-410.
  2. 都城市総務部危機管理課(2013), 新燃岳噴火災害記録(第3版). 都城市, 88pp.
  3. 霧島市(2013), 2011新燃岳噴火記録誌~霧島山と共に生きる~. 霧島市, 35pp.
  4. 及川輝樹・筒井正明・田島靖久・芝原暁彦・古川竜太・斎藤元治・池辺伸一郎・佐藤公・小林知勝・下司信夫・西来邦章・東宮昭彦・宮城磯治・中野俊・渡辺真人(2013), 第3回火山巡回展霧島火山-ボラ(軽石)が降ってきた!新燃岳の噴火とその恵み-. 地質調査総合センター研究資料集,No.578,40pp.
  5. 井村隆介・小林哲夫(2001), 霧島火山地質図. 産総研地質調査総合センター. 1葉.
  6. 地質調査総合センター(2018), 霧島山新燃岳2018年噴火に関する調査結果[2018年3月]. GSJ地質ニュース, Vol.7, No.4, p.87-90.
  7. (), . Vol., No., p..
  8. (), . Vol., No., p..
  9. (), . Vol., No., p..
  10. (), . Vol., No., p..

参考サイト:



初出日:2018/03/06
更新日:2020/11/30