世界最大のカルデラ=トバ湖
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北西端から望むトバ湖(Haranggaol Calderaの部分)。遠くにかすんでいるのがSamosir島(2006.10.28岩松暉撮影)。 | |
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世界最大のカルデラはスマトラ島のトバ湖と言われています。長さ100km、幅約30km、面積は1,000km2もありますから、確かに巨大です。しかし、これが単一のカルデラかどうかについてはいろいろな意見があるようです。右図はWark et al.(2000)の図ですが、約80万年前のOTT(Old Toba Tuff)を噴出したPorsea Caldera、約50万年前のMTT(Middle Toba Tuff)を出したHaranggaol Calderaおよび約74000年前のYTT(Young Toba Tuff)を出したSibadung Calderaの3つからなるとしています。鹿児島地溝が姶良カルデラと阿多カルデラの2つのカルデラを持つように、地溝あるいはpull-apart basinなのかも知れません。なお、地質図はOneGeology Portalを使っています。
とくにYTTは有名です。マグマ量2,800km3に及ぶ超巨大噴火でしたから、火山の冬を招き、人類は総人口1万人以下になり、絶滅寸前になったそうです。その結果、遺伝的多様性が損なわれたため、ヒト(Homo sapiens)に亜種がないのだろうと言われています。また、シラミがアタマジラミとコロモジラミに分化したのがこの時期で、人類が着物を着るようになったのはこの頃からだとか。 蛇足: トバ湖北西端から約35km北西のところにシナブン(Sinabung)火山があります。2010年8月29日、数百年ぶりに噴火を再開、火砕流も発生して、多くの犠牲者を出しました。現在も活動中です。2004年12月26日のスマトラ島沖地震(M9.1)により誘発されたのだろうと言われています。このシナブン火山はスマトラ富士とも呼ばれる円錐型の成層火山ですが、YTTの活動後誕生しました。→参照:東大地震研究所 東北地方太平洋沖地震(M9.0)が発生したのは2011年3月11日、日本列島でもまだまだ火山噴火に対して警戒しておく必要があると思います。 文献:
参考サイト
![]() 初出日:2015/01/22 更新日:2018/12/17 |