池田カルデラ

産総研5万分の1地質図「開聞岳」(川辺・阪口, 2005)

柱状図(文献2による)池田湖テフラ分布図(文献3による)池田降下軽石の広域分布(文献2による)
 荒牧・宇井(1966)は、阿多カルデラはMatumoto(1943)の示した位置の北東にあるとし、宇井(1967)は、阿多火砕流とは別の池田湖起源の火砕流を認め、その噴出源を池田カルデラと呼びました。川邊・阪口(2002)は、池田湖から松ヶ窪・池底・鰻池・成川・山川へと北西-南東方向に並ぶマール群や鍋島岳溶岩ドーム・池田湖底溶岩ドームなどを池田火山と呼びました。これらは活火山です。なお、奥野(2002)は、池田湖テフラの年代を6.4 cal ka BPとしました。
鹿屋市吾平町の露頭(岩松 暉撮影)
 稲倉・他(2014)によれば、池田カルデラ活動時は海域に近かったらしく、先ず水蒸気爆発として始まりました(池崎サージ堆積物,Ik-Ikz)。次いで花崗岩岩片を含む尾下(おさがり)降下スコリア堆積物(Ik-Os)および水迫降下スコリア堆積物(Ik-Mz)を噴いた後、大規模な池田降下軽石堆積物(Ik-Pfa)を噴出しました。大隅半島にも厚く堆積しています(写真)。最後に火砕流が発生しました。池田火砕流堆積物(Ik-Pfl)です。

文献:

  1. 荒牧重雄・宇井忠英(1966),阿多火砕流と阿多カルデラ. 地質学雑誌, vol. 72,p.337‒349.
  2. 稲倉寛仁・成尾英仁・奥野 充・小林哲夫(2014), 南九州,池田火山の噴火史. 火山, Vol.59, No.4, p.235-268.
  3. 川辺禎久・阪口圭一(2005),開聞岳地域の地質 地域地質研究報告(5万分の1地質図幅).産総研地質調査総合センター,82pp.
  4. 奥野 充(2002),南九州に分布する最近約3万年間のテフラの年代学的研究.第四紀研究,vol.41,p.225‒236.
  5. Matumoto, T.(1943), The four gigantic caldera volcanoes of Kyushu. Japan, Jour.Geol.Geogr.,Vol.19, Spec. No., 57pp., Plates XXXIII.
  6. 宇井忠英(1967),鹿児島県指宿地方の地質.地質雑,vol.73,p.477-490.


初出日:2015/03/22
更新日:2018/12/20