コールドロン

 カルデラの下にあったマグマ溜まりはどうなっているのでしょうか。知りたいものです。火山‐深成複合岩体volcano-plutonic complexという概念があります。火山岩や深成岩、岩脈などの集合体で、共通のマグマ活動により形成されたと考えられる複合岩体です。火山を氷山の一角と見なせば、この複合岩体は氷山全体に当たります。地質時代を経て浸食が進むと深部の構造が見られます。このようなもう地形に残っていない火山性陥没構造をコールドロンcauldronと言います。リング状の断層に取り囲まれて、中に火山岩や花崗岩が分布します。山口県の田万川コールドロンや愛媛県の石鎚山コールドロンなどが典型例です。大崩山のように環状岩脈ring dikeが見られる場合もあります。カルデラの形成モデルもこのような複合岩体の観察から推論されたものです。
蛇足:
 Calderaの語源はスペイン語のCaldera(鍋)に由来しますが、さらに遡ると、後期ラテン語のCaldâriaにまでたどり着きます。これはCauldron(大釜、大湯わかし)と同じ語源です。
田万川コールドロン石鎚コールドロン
大崩山コールドロン設楽コールドロン


初出日:2015/06/21
更新日:2018/11/05