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Q&A

>>高校生向け

当研究室に興味を持ち、このHPにアクセスしてくださって誠にありがとうございます。このHPがみなさんの進路を決定する上でお役に立てれば幸いです。質問がありましたら、以下のアドレスにメールにてお願いします。随時掲示してお答えします。
E-mail:メールアドレス

Q.理学部ってどんな学部?

A.理学部で取り扱う分野は「自然科学全般」です。それは宇宙のようなマクロの分野から細胞や分子反応のようなミクロの分野までの幅広い領域です。
理学部の基本理念は「自然の本質を探究する」であり、みなさんの身の回りに存在するものすべてが自然であるとすれば、そのすべてが研究対象ということになります。みなさんの中にはどの学部に進学しようか迷っている人も多いかと思います。欧米の制度とは異なり、現在の日本の制度ではある程度の方向性を持って大学を選ばなければなりません。医者になりたければ医学部を卒業しなければなれないといった具合です。
 また、最近では研究分野の境界領域がぼやけてきたとはいうものの、例えば人について研究したければ医学部へ、植物や家畜などの動物を研究したければ農学部へ、さらにそれらの応用的なことを研究したければ工学部へ進学する必要があります。各学部にはそれぞれの売り(特徴)があり、基本的にそれを侵して研究することはできません。しかし、理学部では「自然の本質を探究する」ことが目的ですので、そこに人とか植物とか動物といった研究分野の制限はまったくありません。
 『興味の赴くままに、知りたいことを解明していく』それが理学部なのです。理学部での研究は多くの研究の中心にあると言っても過言ではありません。

Q.「科学」と「化学」はどう違う?

A.「科学」は英語で”Science”といい、基礎的な理系の学問の全てがこの中に含まれます。「化学」は英語で”Chemistry"といい、科学の中で、物質を形づくっている分子や原子の働きや反応を中心に研究を進める学問です。ですから「化学」は「科学」の中に含まれます。「科学」より「化学」の方がより具体的な研究分野と言えます。さらに当研究室では、化学の中でもさらに「生化学(Biochmiestry)」や「タンパク質化学(Protein Chemistry)」という分野に焦点を絞って研究を進めています。ですから、当研究室は「化学(Chemistry)」の研究室ということになります。

Q.どんな研究をしているの?

A.生体内では、生きるために必要な数多くの化学反応が起こっています。そこでは反応が効率よく進むように、様々な酵素が働いています。
酵素は主にタンパク質でできています。タンパク質は20種類のアミノ酸がペプチド結合という結合でつながったもので、生体内では水に次いで多く存在しています。タンパク質はこのアミノ酸のつながり方の違いにより、様々な異なった性質をもつようになります。
酵素も例外ではなく、アミノ酸のつながり方の違いでいろいろな反応を選択的に進める手助けをする能力が生まれます。私たちは、主に酵素のアミノ酸のつながり方の違いによって生まれる構造と機能を調べる研究をしています。私たちが研究で取り扱う生物は、動物、植物、細菌、ウィルスと多彩です。

具体的な研究内容
『メロンのタンパク質分解酵素cucumisin(ククミシン)の基質特異性に関する研究』

私たちの研究室では、メロン果実からセリン型*1のタンパク質分解酵素を世界に先駆けて発見し、精製して、ククミシン*2と命名*3しました。最近、別の植物からもククミシンと分子構造の類似したタンパク質分解酵素が見つかっています。トマトでは植物がウィルスに感染した際に出す防御物質*4として働くことがわかってきました。また、ある植物では微生物との共生時に現れます。私たちは、ククミシンファミリー*5の酵素の構造と基質特異性*6の解析を行い、ククミシンは負電荷をもつ基質を認識するという機構を新たに提唱しました。

*1.セリン型・・・タンパク質分解酵素はその性質から大きく分けると、システイン型、セリン型、金属型、酸性型の4つのタイプに分類されます。植物の体の中で働いているタンパク質分解酵素の多くはシステイン型ですが、ククミシンは植物から世界で初めて見つかったセリン型の酵素なのです。
*2.ククミシン・・・現在ククミシンは、アメリカ、日本を始め世界で市販されています。
*3.命名・・・発見者は酵素に名前をつけることができます。
*4.防御物質・・・植物の生体防御物質を総称して「フィトアレキシン」といいます。
*5.ククミシンファミリー・・・ククミシンに類似した分子構造をもつプロテアーゼの総称です。この中でククミシンが最初に見つかったので、このような名前がつきました。
*6.基質特異性・・・基質とは酵素の標的になる物質のことです。例えばアミラーゼというデンプンを分解する酵素の基質はデンプン、プロテアーゼのようなタンパク質を分解する酵素の基質はタンパク質といった具合です。そして、酵素には反応する基質が必ず決まっています。さらに、その基質の中でも反応する箇所が厳密に決まっています。それを酵素の『基質特異性』といいます。


>>学部生向け

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研究室配属について

Q.私は生化学が好きですが、得意ではありません。それでも大丈夫でしょうか?

A.問題ありません。研究が好きであれば十分やっていけます。

Q.実験が下手でもいいんですか?

A.下手というよりも単に経験が少ないだけだと思います。先輩達も初めから上手かったわけではありません。回数をこなせば自然に上手になります。

Q.英語が苦手なんですが、大丈夫でしょうか?

A.学術論文の多くは英語で書かれていますから、英語ができないということは論文が読めないということになり、苦労することにはなるでしょう。しかし、専門用語をマスターすればある程度は慣れでできるようになります。

Q.土・日は休みたいんですが……

A.基本的にはお休みですが、実験の流れもあり、出て来なければならない場合もあります。先輩達の中には出てきている人もいるようですが、本人の計画次第です。

Q.アルバイトを続けたい(または,やりたい)のですが……

A.コアタイムが午前9時15分から午後5時までなので、その時間は特に用事がない限りは研究室にいなければなりませんが、それ以外の時間にアルバイトをすることは可能です。先輩達の中には研究とアルバイトを両立させている人もいます。

Q.大学院に進学しないと入れないんですか?

A.これは本人の意思次第ですね。4年生の1年間でも立派な研究はできますが,まとまった研究をしようとなると、4年生の1年間では不十分であることは事実です。まとまった研究がしたいと思っているなら大学院に残るのがベストでしょう。

Q.修得しておくべき単位はありますか?

A.必修以外では、有機化学系と生物化学系の講義を多く受講しておくことが望ましいです。タンパク質化学と酵素化学を受講していないと配属できません。

研究生活について

Q.朝弱いのですが、遅刻なんてありますか?

A.研究室の決まりで、9時30分には必ず研究室に来るようになっています。実験内容にもよりますが,基本的に前日に実験計画を立てて効率よく実験を行えば、夜は遅くまで残る必要はありません。決まった時間に登校することを心掛けることは、就職に向けての訓練にもなります。

Q.休みは取れないんですか?

A.就職活動や、やむを得ない事情の場合、休むことができます。ただし、その際は担当教員に事前に連絡し、教員の許可を取る必要があります。無断で休むことは厳禁です。学部3年生までのいわゆる春、夏、秋、冬休みは当研究室には存在しません。お盆と正月時期の帰省は、全員分の予定をまとめてWebカレンダーに記入することになっています。ネットにつながったパソコンがあれば、自宅や帰省先など、どこからでも記入することができます。

Q.研究室ってどんな雰囲気ですか?

A.研究室は堅苦しいというイメージを持たれがちですが、そういうわけではありません。もちろん集中するときには集中しますが、笑い声も常に飛び交っています。

Q.昼食はみんなと一緒じゃないといけないんですか?

A.みんな研究で忙しくて時間が合わないことも多いので、普通はそれぞれで食べに行くことが多いです。でも週に一度、セミナーの後にみんなで学食に食べに行くことにしています。その時に、研究の話や実験で困っていることなどの話ができ、楽しい雰囲気で食べています。月に一度程度で、オススメのお店に行ったりもします。みんな、それを楽しみにしています。

Q.「論文講読」や「中間報告」はどんなことをするのですか?

A.「論文講読」は講義です。単位が取れないと卒業できません。週に一度、全員参加で行われます。英語で書かれている学術雑誌から最新のトピックスを選んで、A4用紙4枚程度にまとめて発表します。毎回2人ずつ発表してもらい、発表時間は1人当たり30分〜1時間です。当然、大学院生にも発表の義務があります。発表内容について質問が出ますので、それに対し回答します。これは英語力の向上はもちろん、卒論発表や学会発表、就職してから人前で話をする際の大変よい訓練になります。回答が不十分だと宿題という形で来週に持ち越されますので、準備にはかなりの時間を割くことになります。
 「中間報告」は、1ヶ月に一度程度、同じく全員参加で行われます。1ヶ月分の研究成果をまとめて、ひとり15〜30分で全員が発表し、今後の研究の方針を検討します。大学院生と学部4年生の義務です。
 また、それとは別に英文セミナーというのがあり、ここでは自分の研究を英語で書く指導がなされます。なかなかハードな内容ですが、慣れてくればそれが普通になります。そして、卒業するときには英語の読む力と書く力が他の研究室の学生以上に身についていることを保証します。近いうちに、ネイティブスピーカーによる英会話セミナーも始める予定です。社会に出ると、英語力はきわめて重要となります。

進路に関して

Q.そんなに忙しそうなのに就職活動の時間なんてあるんですか?

A.本人の将来がかかっています。就職活動の時間は十分にとることができます。しかしそうだからと言って、実験の量が減るわけではありません。就職が決まっても卒業ができなければ何にもなりません。効率よく計画を立てて、実験、就職活動、試験勉強(大学院生の場合実験と受験勉強)を両立させてください。

Q.教職単位を取ってるのですが、教員になりたい人はここを希望しない方がいいですか?

A.このところの全国的な教員採用状況を見ても、それが厳しい状況であることは否めません。しかしそれは別のこととして、理学部は教員の養成学部でもあります。毎年多くの学生が教職免許を取るために、必要単位を収得しています。そして2週間の教育実習で母校に帰って、そこで多くの経験をしてきます。それは今後の研究活動、ひいては本人の人生にとって大きなプラスになると当研究室では捉えています。

Q.大学院には行くべきですか?

A.「就職に有利になるから」という理由で大学院進学を希望する学生がいますが、これは大きな誤りです。職種によっては専門的な知識や技術を要求されることもあります。その際は大学院を出ていた方が有利になる場合もありますが、それは人生の旺盛な研究意欲とか将来の目的意識とかをしっかり持っている学生に限られることです。目的意識を持たずして大学院に進学しても、機械的に就職がよくなるという保証はどこにもありません。よって大学院に進学するかどうかを決めるのは、本人の判断です。将来的に「企業や大学等の研究室で研究をやっていきたい」とか、「研究で留学したい」という目的意識のはっきりしている学生は、ぜひ大学院に進学して、大いに勉強し、夢が実現するように努力してもらいたいと思います。

Q.大学院に入りやすい講座なんてあるのですか?

A.そのようなことはまったくありません。配属された講座の分野からの出題に対して、多少強くなるといった程度のことです。当大学院の入試は、6月の筆答試験、8月の記述試験、2月の二次募集(定員に満たない場合)の3回行われます。どれかひとつに合格すれば、あなたも晴れて大学院生です。受験料は最初の1回だけ支払えば後の試験は無料で受けられます。大学院は博士前期課程(修士課程)2年間と博士後期課程(博士課程)3年間の計5年間がありますが、前期課程の2年間で修了する学生がほとんどです。前期課程に進む学生は他の大学の大学院も含めると50%程度、後期課程にはさらにその10%程度の学生が進学しています。

回答日:2012/02/22

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