2000年3月24日、鹿児島大学理学部地学科最後の卒業生を送り出しましたので、このホームページはこの日をもってフリーズしました。もう更新しません。悪しからず。
 なお、「かだいおうち」は日本における大学研究室ホームページの第1号です。歴史的遺産としてここにアーカイブしておきます。

道路と地質


道路の地質条件|道路法面の安定|軟弱地盤の問題

◆道路の地質条件

 道路を設計するには、経済効果・用地買収など経済的側面や運転のし易さなど道路工学的側面なども考慮しなければなりませんが、地質学的には、山岳丘陵地帯での切り盛りに伴う斜面の安定と軟弱地盤地帯での地盤沈下や液状化対策が主として問題となります。とくに高速道路はカーブを緩くしなければならないので、一般道よりも切り盛りが多くなり、それだけ慎重な調査が行われています(写真は九州自動車道と一般道)。

◆道路法面の安定

 道路を付けたり拡幅するために山の斜面を切ると人工のがけが出現します。法面(のりめん)と言います。縦貫自動車道のうちは日本列島の海岸線を走っていましたからまだ良かったのですが、最近は横断道建設の時代になり、脊梁の山々を横切るため、古期岩類のすべりが問題になっています。頁岩や粘板岩・結晶片岩の片理面(ペラペラ剥げる面)が、山の斜面傾斜と同じ方向に傾斜している流れ盤の場合は要注意です。こうした片理面が、切土に伴う応力開放によってすべるか否か、判定する技術の開発が急務になっていると思います。

◆軟弱地盤の問題

 沖積平野では、盛土したり高架で通ったりすることがしばしばあります。阪神大震災では、縄文海進時の海岸線より海側のところに液状化災害が集中しています。橋脚が破壊したり側方流動によって落橋したりしました。砂丘の後背湿地に当たるところでは、ピート(泥炭)層や腐植質混じりシルト層などが存在することが多く、盛土により荷重を加えると、不等沈下する恐れがあります。いずれにせよ、沖積平野の成り立ちを地質学的に明らかにしておくことが先決です。


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更新日:1996年7月7日