2000年3月24日、鹿児島大学理学部地学科最後の卒業生を送り出しましたので、このホームページはこの日をもってフリーズしました。もう更新しません。悪しからず。
 なお、「かだいおうち」は日本における大学研究室ホームページの第1号です。歴史的遺産としてここにアーカイブしておきます。

石油地質


根源岩|貯留岩|トラップ構造

根源岩

 石油や天然ガスはプランクトンなど古生物の遺骸から生成されます。ですから、石油の母岩は、黒色泥岩のような有機質に富んだ岩石が一般的です。プーンと油臭のする油母頁岩(oil shale)もあります。
 生物遺骸はまず表層付近でメタンを生成した後、ケロジェンという高分子化合物に変質します。このケロジェンが地熱で熟成して石油や天然ガスになるのです。写真はいろいろなタイプのケロジェンです(帝国石油技術研究所パンフより)。

貯留岩

 母岩で生成された石油は、移動してきて空隙の多い岩石に溜まります。粗粒砂岩の砂粒と砂粒の隙間(写真の青く着色した部分:石油資源開発技術研究所パンフより)などが好都合です。しかし、最近では火山岩や火成岩の割れ目などにも溜まっていることがわかりました(写真は火山岩コア中の割れ目:帝国石油技術研究所パンフより)。北海道では花崗岩の割れ目(冷却節理)から石油が出ています。本講座で岩石力学をやっているのも、石油地質と関係があるのです。
 なお、下図のような絵を見せられるものですから、石油は地下の大空洞に溜まっていると思っている人がいますが、実際はごく小さな隙間に溜まっているのです。

トラップ構造

 空隙があるだけでは石油やガスは溜まりません。石油やガスは水より比重が軽いですから、空隙に折角溜まっても、その空隙が割れ目などで地表まで通じていたら、蒸発してしまいます。貯留層の上に石油やガスを通さない不透水層がなければなりません。緻密な泥岩などが最適です。帽岩(cap rock)と言います。さらに図(帝国石油パンフより)のように、お椀を伏せたような構造(背斜構造)があると好都合です。水より軽い石油やガスは高いところに溜まるからです。こうした石油を溜めるのに適した地質構造をトラップと言います。背斜トラップの他、断層トラップや層序トラップなど、いろいろな種類があります。

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更新日:1998年4月29日