2000年3月24日、鹿児島大学理学部地学科最後の卒業生を送り出しましたので、このホームページはこの日をもってフリーズしました。もう更新しません。悪しからず。
 なお、「かだいおうち」は日本における大学研究室ホームページの第1号です。歴史的遺産としてここにアーカイブしておきます。

岩盤分類


土木工事と岩盤|電研式岩盤分類|RQD

◆土木工事と岩盤

 ダムやトンネルなどの構造物を作る場合、何よりも対象となる岩盤の力学的性状が問題となります。だからと言って、すべての岩石試料(intact rock)を研究室に持ち帰り、いちいち力学試験をする訳にいきません。たとえ全試料試験を行ったとしても、それで得た値が現場の岩盤(rock mass)で適用できるかというと、必ずしも単純には言えません。とくに強度などは潜在割れ目の存在確率に影響されますから、当然、体積が大きくなると、割れ目の数も多くなり、強度が低下します。寸法効果(scale effect)と言います。もちろん、こうした難点を補うために大がかりな現位置試験も行われますが、費用がかかってそう簡単ではありません。
 そこで、現場で岩盤の等級区分をする簡便な方法が考えられました。作ろうとする構造物の種類によって、同じ岩盤でも良好と見なされる場合と不良と見なされる場合とあるはずです。したがって、岩盤分類は対象ごとに異なる方法が提案されています。ダムを対象とした電研式(田中,1964)や土研式(岡本・安江,1966)などが有名です。

◆電研式岩盤分類

 電力中央研究所の故田中治雄氏が考案した方法で、新鮮硬質な岩盤が劣化して風化岩盤に至る過程を次のように6区分表示したものです(左図は横田,1995による)。基本的には風化の程度・岩塊の硬さ・節理の性状の三要素からなっています。風化の程度は、鉱物の変色・変質で判断し、岩石の硬さは、ハンマー打撃音と破壊の程度で判断します。節理の性状は、ハンマー打撃や肉眼観察で、開口性、節理間粘着力、剥離面沿いの粘土物質の有無などで判断します。このように地質学上の主要要素を定性的に表現したものですが、今でも一番よく使われています。
A …極めて新鮮、節理は密着、澄んだハンマー打撃音
B …堅硬、節理密着、造岩鉱物多少風化、澄んだ打撃音
H…比較的堅硬、褐鉄鉱で汚染、節理間粘着力多少減少し強打すると剥離、剥離面に粘土薄層、少し濁った打撃音
M…多少軟質化、普通の打撃で節理剥脱、剥離面に粘土、多少濁った打撃音
L…著しく軟質化、節理間粘着力減少し軽打で節理剥脱、剥離面に粘土、濁った打撃音
D …著しく軟質化、節理間粘着力なし、僅かな打撃で崩れる、剥脱面には粘土、著しく濁った打撃音

◆RQD

 土木工事ではボーリングコアによって地下の岩盤状態を判断しなければならないことがしばしばあります。その際によく使われるのがRQD(Rock Quality Designation)値です。コア長100cmのうち、長さ10cm以上で棒状コアになっているものの合計をcmで表したものです。


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更新日:1996年7月7日