2000年3月24日、鹿児島大学理学部地学科最後の卒業生を送り出しましたので、このホームページはこの日をもってフリーズしました。もう更新しません。悪しからず。
 なお、「かだいおうち」は日本における大学研究室ホームページの第1号です。歴史的遺産としてここにアーカイブしておきます。

フィールドマナー


地質調査のエチケット|フィールドでのマナー|村里での対人マナー|英国地質学者協会地質野外調査規範

1 地質調査のエチケット

 人間社会は相互依存で成り立っている。深山で行う一人ぽっちの地質調査でも,全く社会から隔絶した行為ではあり得ない。われわれの研究も,宿の人はもとより多くの方々の御好意に支えられて始めて行えるのであり,同時にわれわれの行動が周囲に何等かの影響を与えることは避けられない。そこに自ずからマナーが必要となる。要は他人に迷惑をかけない,不快の念を与えないことである。以下,気のついたことを列挙しておこう。

2 フィールドでのマナー

(1) 事前に入山許可を得る

 国立公園なら環境庁管理員事務所に,国有林なら営林署に入山(入林)申請書を提出しなければならない。石切場・砕石場・工事現場などに入るときも,現場事務所にまず行って許可を得てからにする。できれば昼休みか日曜・休日など,仕事の休み時間にするとよい。作業中の場合は指示に従い,作業の邪魔をしたり,事故に遭ったりしないように。とくに発破とダンプに注意。他人の家の裏を見せてもらうときも,事前に挨拶を忘れないように。無断で入って犬に噛まれた学生もいる。庭の場合は観察だけにして,石を欠かないように。

(2) 田畑を荒すな

 休耕期の水田以外,田畑には足を踏み入れないこと。畔道でも枝豆が植えてあったりするから,十分注意する。石を割るとき破片を田畑に飛ばさないように。耕すときに足をケガしたり,農機具を痛めたりする。まして,野菜や果物を失敬してはいけない。

(3) 岩石の破片は片付ける

 露頭で割った石は散らかさないように。人や動物にケガをさせたり,車のパンクの原因となる。道路の側溝に落としてしまった石は,必ず上げておくこと。水が溢れる原因となる。

(4) 沢を汚さない

 最近は簡易水道が普及し,部落の裏の沢は水源になっていることが多い。水源地より上流を歩くときは,水の中に入って汚さないこと。まして沢への放尿は厳禁。

(5) 必要以上に標本を採取しない

 どうしても肉眼観察だけでは不十分なときだけ,石を割る。化石などの採集も最小限にとどめる。大事な証拠となる褶曲や産状が問題となる化石・鉱物などは,他の研究者のために残しておこう。写真を撮れば十分なのだから。また,神社仏閣の境内や苔むした石そのものが景観の一部となっているところでは,岩石の採取はもとより傷つけるのもいけない。海水浴場のように裸足で歩くところの岩は欠くと危険である。

(6) 自然保護に努めよう

 山では珍しい野生生物や美しい高山植物に出会うことがある。これも地質調査の楽しみの一つだが,決して採ったり殺したりしないように。自然に対するインパクトを最小限にとどめるのが,ナチュラリストの務めである。焚き火や食事の後始末はキチンとやり,ゴミは必ず持ち帰ろう。キジを射つ(登山用語:大便をすること)ときは,道や沢から離れたところで,ハンマーで穴を掘ってから行い,事後土をかぶせておくこと。

(7) 山火事は絶対に出すな

 緊急ビバークや寒い日に水に濡れた場合など,やむを得ないとき以外は,なるべく焚き火はしない。タバコを吸う人は携帯用吸いがら入れを忘れずに。ポイ捨て厳禁。万一山火事を起こしたら,生命にかかわるし,地元に巨額の損害を与えることになる。焚き火のときは,周囲に枯草など燃えやすいもののないところを選んで,消火用水を用意してから行う。周囲の草木に燃え移ったら,葉のたくさん付いた生木の枝で叩き伏せて消す。

(8) 事故を起こすな

 遭難その他,事故は絶対に起こさないよう,十分気をつけよう。自分が痛い目にあうだけでなく,家族や大学あるいは地元関係者など多くの人々に迷惑をかける。自分が事故に遭うのを避けるだけでなく,加害者にならないよう気をつける。複数で調査するときは,落石やハンマー,自分の割った石などで相手にケガをさせないように。登山道の道標や三角点などには決して悪戯をしてはいけない。

3 村里での対人マナー

(1) 最初は紹介状を持参する

 宿探しなど,初めて現地に行くときには,教室主任か指導教官の紹介状を持参したほうがよい。少なくとも学生証は提示して,礼儀正しくお願いする。

(2) 地元に熔け込む

 朝夕の挨拶は怠らず,なるべく好感を持っていただけるよう,学生らしく爽やかに振る舞う。宿泊費を払っているからといって主人顔しない。ラジカセをガンガン鳴らして隣近所からヒンシュクを買った学生がいた。放火高吟もダメ。静かな山里の闖入者であることを忘れては困る。都会でも同じだが,傍若無人に振る舞うのはもっともいけない。

(3) 質問には丁寧に答える

 珍しさも手伝って,何をしているのかと尋ねる人がいる。面倒くさがらずに丁寧に答えよう。その際,専門語を振り回す衒学的態度は不可。やさしい言葉だけで説明できないようでは,その人の学問は生半可な証拠である。

(4) 感謝の気持をいつまでも忘れない

 調査終了後も,お世話になった人々には,礼状や年賀状・暑中見舞を忘れずに出そう。学生だから高価な贈物などは不要だが,感謝の気持を伝えることを怠ってはならない。2度目に行くときに,下宿の子供さんにガム一つ,キャラメル一つ買って行く心遣いが大切なのである。

4 英国地質学者協会地質野外調査規範

A Code for Geological Fieldwork of the Geologists' Association

  1. Obey the Country Code, and observe local bye-laws. Remember to shut gates and leave no litter.
  2. Always seek prior permission before entering private land.
  3. Don't interfere with machinery.
  4. Don't litter fields or roads with rock fragments which might cause injury to livestock, or be a hazard to pedestrians or vehicles.
  5. Avoid undue disturbance to wildlife. Plants and animals may inadvertently be displaced or destroyed by careless actions.
  6. On coastal sections, be sure you know the local tide conditions.
  7. When working in mountainous or remote areas, follow the advice given in the pamphlet "Mountain Safety", issued by the Central Council for Physical Education, and, in particular, inform someone of your intended route.
  8. When exploring underground, be sure you have the proper equipment, and the necessary experience. Never go alone. Report to someone your departure, location, estimated time underground, and your actual return.
  9. Don't take risks on insecure cliffs or rock faces. Take care not to dislodge rock, since other people may be below.
  10. Be considerate. By your actions in collecting, do not render an exposure untidy or dangerous for those who follow you.
  11. Students should be encouraged to observe and record but not to hammer indiscriminately.
  12. Keep collecting to a minimum. Avoid removing in situ fossils, rocks or minerals unless they are genuinely needed for serious study.
  13. The collecting of actual specimens should be restricted to those localities where there is a plentiful supply, or to screen, fallen blocks and waste tips.
  14. Never collect from walls or buildings. Take care not to undermine fences, walls, bridges or other structures.
  15. An individual, or the leader of a party, should have obtained prior permission to visit a quarry.
  16. The leader of a party should have made himself familiar with the current state of the quarry. He should have consulted with the Manager as to where visitors may go, and what local hazards should be avoided.
  17. On each visit, both arrival and departure must be reported.
  18. In the quarry, the wearing of safety hats and stout boots is recommended.
  19. Keep clear of quarry vehicles and machinery.
  20. Be sure that blast warning procedures are understood.
  21. Beware of rock falls. Quarry faces may be highly dangerous and liable to collapse without warning.
  22. Beware of sludge lagoons.

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更新日:1999年5月8日