鹿児島大学大学院理工学研究科生命化学専攻

有機化学研究室 有機合成グループ(岡村研究室)


研究室集合写真(2012年度卒業式)
担当教員 教授  岡村 浩昭 (おかむら ひろあき)

研究概要
詳細はこちら(準備中)
  • 立体選択的な有機合成反応の開発と、生理活性化合物の合成

  • 抗白血病細胞活性を有するリグナン類の合成

  • 金属‐有機化合物ハイブリッドナノ材料の開発
担当科目 有機化学1、有機化学3、アドバンス有機化学、有機化学実験
生理活性化合物合成特論(博士前期)
天然有機化合物合成特論(博士後期)

ほか
住所 〒 890-0065
鹿児島市郡元1-21-35
鹿児島大学大学院理工学研究科
研究室所在 研究室: 理学部2号館2階 有機化学研究室
オフィス: 理学部2号館2階 209号室
メールアドレス okam@sci.kagoshima-u.ac.jp
オフィスアワー
月〜金、9:00〜17:00 (事前にメールでご連絡下さい)
共同研究
  • H22〜現在 九州大学先導物質化学研究所・物質・デバイス領域共同研究拠点
    • 高度に集積化した生理活性物質の創製
  • H23〜現在 鹿児島大学大学院医師学総合研究科難治ウイルス病態制御研究センター
    • 抗ATL細胞低分子化合物の構造決定と合成
  • H21〜現在 鹿児島大学大学院理工学研究科蔵脇研究室
    • 金ナノ粒子複合体の新しい調製法の開発
  • その他、民間企業など
出前講義
地域貢献
高大連携等
  • H24 南九州市R-ONEサイエンス教室 講師
  • H24 宮崎北高校 出前講義
  • H24 錦江湾高校 SSHサイエンスウィーク講師
  • 他多数
発表論文リスト 鹿児島大学研究者総覧に掲載

研究室案内

研究室への配属、他大学からの進学について

本学生命化学科3年生は、後期の「生命化学演習」を経て、毎年12月頃に研究室配属が決定されます。直前になって慌てずにすむよう、配属希望の研究室の見学などは早めにやっておくことをおすすめします。

他大学からの進学希望者(大学院生)も広く募集しています。
面接試問による入試(筆記試験なし)もあります。
進学を希望される場合は、まず研究室見学をお勧めします。随時受け付けていますので、お気軽にメールでご連絡ください。
研究内容等に関する質問も歓迎します。メールでお尋ねください。

メール:okam@sci.kagoshima-u.ac.jp

研究活動について

卒業研究の実験と学生実験の一番大きな違いは、「うまく行くかどうか、結果がどうなるか、誰もわからない」という点にあります。学生実験では、教科書に載っている有名な反応を体験しましたが、どれも結果がわかっています。ところが、卒業研究では今までに誰もやったことないテーマが与えられますので、実験の結果がどうなるか、やってみるまではわからないのです。

実際の研究は、おおよそ以下のように進めていきます。

  • 自分のテーマに関連する論文を読み、何がどこまでわかっているのか、何を明らかにしたいのかを理解すること。
  • どのような実験系が適切かを考えて実験を行い、結果を出すこと。
  • 得られた結果を解析し、必要であれば、再度実験する。もしくは、設定した目標に対する結論を出す。
もちろん、必要に応じて担当教官もしくは先輩が手助けします(というより、最初は「手取り足取り」になるでしょう)ので、心配はいりません。しかし、あくまでも「自分のテーマである」ということを忘れないで下さい。

こんな人を希望します

化学と実験が好きな人・健康で体力がある人(もちろん男女は問いません)

やる気がある人・自分で考えて、自分で動ける人

研究内容

1)金属-有機化合物ハイブリッドナノ材料の開発

金、銀などの金属と有機化合物からなるハイブリッドナノ材料の新しい合成法の開発と、機能性のハイブリッドナノ材料の開発を行います。本研究は分子機能化学講座蔵脇研究室との共同研究です。

具体的な研究テーマ

  • 新しい「還元性安定化剤」による金属ナノ粒子の合成
  • 糖および糖誘導体を結合させた安定化剤を用いた「シュガーボール」型金属ナノ材料の合成
  • 生理活性ナノ材料の生理活性測定

 

2)生物活性物質の合成

複雑な構造を持つ生物活性物質の効率的かつ立体選択的な合成は、有機合成化学の重要な研究テーマです。
当研究室では、塩基で触媒される新しいタイプのDiels-Alder反応を開発し、これを利用した有用化合物の合成を検討しています。
また、構造研究グループ(濱田研究室)および医歯学総合研究科難治ウィルス研究センターと協力して、本研究室で新たに見いだされた強力な抗白血病細胞活性化合物の合成も行っています。

具体的な研究テーマ

  • pseudo-sugarおよびpseudo-aminosugarの合成研究
  • 糖鎖類縁体の合成研究
  • 強力な抗白血病細胞活性を示すリグナン類の合成研究

 

教育方針 「実学と理学の両立」

ここで言う実学とは、実生活に直接役に立つ技能、技術という意味です。この研究室では、セミナーでの発表、討論を通じて以下の三つの技能を修得します。

  1. 日本語作文:得られたデータや、結論をわかりやすくかつ誤解のないように文章にすることは研究の基本です。明解な文章を書くための技術を身に付けます。
  2. 英語:化学の世界では英語が共通語です。読む、聞く、書く、話すの四技能について、外国人研究者と基本的なコミニュケーションが出来る程度の能力を身に付けます。
  3. プレゼンテーション:セミナーやレクチャーなど、研究発表の場ではパソコンとプロジェクターを使ったプレゼンテーションが多くなってきました。パワーポイント(プレゼンテーションソフトウエア)の使い方と、より効果的なプレゼンテーションの技術を身に付けます。

 

これに対して理学とは、科学(化学)的なモノの見方、考え方という意味です。たとえば、「なぜ化学を専攻するのか」「なぜこの研究テーマを選ぶのか」という問いに応えるためには、その分野の知識に加えて、自分なりの意見、考えを持っておく必要があります。そういった知識と知見の体系を、我々は理学と定義しています。実学と違い、特定の訓練をすれば誰もが同じように身に付けられるという訳ではありません。いろいろな問題に直面し、それらに自分なりの答えを与えていくことで、理学を身に付け、磨いていくことができます。指導教官やラボメイトたちとの議論、毎日の 実験の積み重ねと論文の読み書きの繰り返しが一番の近道でしょう。

社会で直接役立つ技術と、深い学識に基づく見識。どちらもバランスよく身に付けて欲しいと願っています。

日常生活について

Working days 月曜日〜土曜日、正課の論文購読に加えて、週に一度自主セミナーが開催されます。

休日は、基本的にカレンダー通り。その他、夏休み、冬休み、および任意の日に「年次休暇」を取ることが出来ます。

Working hours 09:00〜夕方(もしくは夜)

朝は9時から開始。9時30分を過ぎると遅刻扱いです。実験は極力効率良く進めて、夜遅くならないようにしてほしいと思っています。特に4年生の最初のうちは必ず17〜18時で引き上げてもらうように指導しています。

自主セミナー

週に一回、主として金曜日にセミナーを行います。

論文紹介:特定のテーマに関する論文を読み、その分野の最新動向を紹介します。英語論文の多読、速読を通じて英文読解力を養います。また、結果をまとめて発表することで、プレゼンテーション能力を磨きます。

リサーチプロジェクトプロポーザル:現在自分が手がけているテーマ以外に、なにか「面白いこと」をみつけて、それを題材に研究計画を立てます。大学院学生が対象です。 

到達目標

以下の各項目を具体的な到達目標にしています。一見、厳しそうですが、多くの先輩諸君がクリアしてきた道です。一年間(もしくは数年間)努力を続ければあなたにもできる!

学部4年生

  • 科学(化学)的な知識を元に、一般社会における化学的話題に適切なコメントができること。例えば、「マイナスイオン」や「遺伝子組み換え食品」について訊ねられたとき、適切な答えを返せること。
  • 現在の有機合成化学では主にどのようなテーマの研究がなされているか、広い範囲の知識を得ること。
  • 英文の論文を読み、理解できること。また、専門分野の英語講演を理解できること。
  • できれば、3月の日本化学会春年会で発表すること、もしくは発表可能なレベルの研究成果を得ること。
  • TOEFL、TOEICなどの英語検定試験を受験することを強く勧めます。
修士
  • 自分の研究テーマについて、背景とその意義を適切に説明できること。
  • テーマに沿って独力で研究を進められること。
  • 研究成果をまとめ、発表、ディスカッションができること。
  • 簡単な研究内容紹介を英語でできること。
  • できれば、国際的な専門誌に実験項つきのフルペーパーとして論文を発表すること、もしくは発表可能なレベルの研究成果を得ること。
  • TOEFL、TOEICなどの英語検定試験を受験することを強く勧めます。
博士
  • 現在の研究テーマ以外の研究を立案、企画できること。
  • 研究費を得られるような申請書を書けること。
  • 英文で論文を書けること。また、海外の研究者と英文e-mailでディスカッションできること。
  • 研究成果を英語で発表し、ディスカッションできること。
  • できれば、国際学会等で研究成果の発表をすること。

卒業後の進路

参考までにこれまでの卒業生の進路を示します。

学部四年生:鹿児島大学大学院理学研究科(博士前期課程)、九州大学大学院理学研究科(博士前期課程)、九州大学大学院薬学研究科(博士前期課程)、九州大学先導物質科学研究所(博士前期課程)、大阪大学大学院理学研究科(博士前期課程)、長崎大学大学院薬学研究科(博士前期課程)、鹿児島県高校教諭(理科)、福岡予備校講師、サンケイ化学(株)、南日本コカコーラ(株)、愛媛飲料(株)、山野井(株)、スリーボンド(株)など

修士:九州大学大学院理学研究科(博士後期課程)、鹿児島大学理学部非常勤講師、鹿児島県高校教諭(理科)、福岡県高校教諭(理科)、日油(株)、新日本理化(株)、日本化薬(株)、サンメーケミカル(株)、横浜ゴム(株)、東洋紡(株)、メイテック(株)、レジストン(株)、パナファーム(株)、日ハム食品(株)、ハイテック(株)、など