2000年3月24日、鹿児島大学理学部地学科最後の卒業生を送り出しましたので、このホームページはこの日をもってフリーズしました。もう更新しません。悪しからず。
 なお、「かだいおうち」は日本における大学研究室ホームページの第1号です。歴史的遺産としてここにアーカイブしておきます。

鹿児島地学観光案内


活火山|溶結凝灰岩|琉球石灰岩|北薩火山岩類|花崗岩|茎永層群|姫浦層群|四万十層群|写真集
 鹿児島県は全県観光地です。テーマパークのような人工のものと違って、豊かな自然が息づいているすばらしいところがたくさんあります。「鹿児島の地質」のページでも述べたように、鹿児島県は変成岩以外のほとんどすべての地質が分布していますから、地質学的に見てもバラエティーに富んでいます。以下、代表的な観光地の地質について解説します。単なる物見遊山とは違った視点で観光地を見直すと、また格別の興趣もわいてきます。海外観光もいいですが、ぜひ鹿児島県にもお出かけください。
 なお、普通の観光案内はAINETの観光鹿児島のページにあります。また、わが鹿大医学部写真部にもすばらしい写真があります。さすがにセミプロ?、ぜひそちらもご覧ください。

活火山(完新世)

桜島南岳
 言わずと知れた鹿児島の観光シンボル。安山岩質の溶岩や火砕岩からなる成層火山です。鹿児島湾奥部に位置する姶良カルデラの南端に後カルデラ火山として1.1万年前に誕生しました。天平(764)・文明(1471-76)・安永(1779-80)・大正(1914-15)と大規模な噴火活動がありました。昭和溶岩(1945)を出した活動は、上記のものに比べて小規模なので、仲間に入れないとすると、あと300年くらいは大丈夫ですが、さて今度の大爆発は何時でしょうか? ―霧島屋久国立公園―

霧島連山
 霧島山という名の一つの火山はありません。高千穂峰や韓国岳など多くの火山の総称です。高千穂峰の御鉢が活動して、霧島神宮が麓に移転した話は有名ですが、最近は新燃岳が時々小規模な活動を繰り返しています。 ―霧島屋久国立公園―

硫黄岳
 最近まで硫黄鉱山があったので有名です。この島の南方には海中に東西20km南北17kmの巨大な鬼界カルデラがあります。約6,000年前にここから噴出したアカホヤ火山灰は遠く関東までも飛び、考古学では縄文時代のよいタイムマーカーになっています。

溶結凝灰岩(更新~完新世)

曽木の滝
 高さは低いけれど幅の広い滝で、ミニナイアガラとも呼ばれます。加久藤盆地を噴出源とする加久藤火砕流(数万年前)が溶結したものです。高温の火砕流が流れると、上部は空気で冷やされてシラスになりますが、下部は熱がこもるため、自分自身の熱でくっついてしまいます。これを溶結と言います。 ―川内川流域県立自然公園―

花瀬川
 鹿児島湾の出口付近から噴出したと言われる阿多火砕流(約43,000年前)の溶結凝灰岩が川底に平らに分布しています。上部にあったはずの非溶結部が浸食し尽くされて、残った溶結部の上面が広く露出したのでしょう。水かさの少ない時には千畳敷のようになります。 ―大隅南部県立自然公園―

琉球石灰岩(更新世)

徳之島犬門蓋
 琉球石灰岩は奄美から沖縄にかけて広く分布する礁性の石灰岩です。ウニ・サンゴ・二枚貝などの化石がたくさん含まれています。地質時代が新しくまだ固結が不十分で浸食されやすいため、奇々怪々な形の岩が出来ます。 ―奄美群島国定公園―

北薩火山岩類(中新世~更新世)

串木野ゴールドパーク
 串木野鉱山は江戸時代から有名な金山でした。今でも操業は続けられていますが、かつての主坑道はゴールドパークとして観光地化され、一般の人でも気軽に鉱山の中を見学できるようになりました。

花崗岩(中新世)

屋久島千尋滝
 屋久島は島の周囲に基盤岩の熊毛層群が分布し、中心部に花崗岩(1,500万年前)が貫入しています。ちょうど金環食のような形の島です。花崗岩は大きな正長石の結晶を含むので有名です。登山道を探すと自形の結晶が見つかるかも知れません。花崗岩は互いに直交する節理が発達しますので(マグマが冷え固まるときの収縮割れ目です)、北東―南西系と北西―南東系の直線的な谷が発達しています。 ―霧島屋久国立公園―

猿ヶ城渓谷
 屋久島と同じ時期に高隈山と紫尾山にも花崗岩が貫入しました。貫入を受けた四万十層群の堆積岩は熱で焼かれてホルンフェルス(接触変成岩の一種)になりました。焼きが入った訳ですから、大変硬く浸食に強いため、高隈山山系の稜線はこのホルンフェルスから出来ています。猿ヶ城渓谷は花崗岩から出来ています。屋久島は花崗岩の山が標高が高く、高隈山は反対に低いのはなぜなのか考えてみましょう。 ―高隈山県立自然公園―

茎永層群(中新世)

種子島犬城海岸
 今から数千万年前、暖かな暖流が種子島・宮崎から遠く富山方面まで流れていました。富山でもマングローブの化石が見つかっています。茎永層群はそれらと一連の地層です。泥岩の部分をよく探すと、巻き貝や二枚貝の化石が見つかります。

姫浦層群(白亜紀)

鹿島断崖
 天草諸島に分布する地層の延長が甑島にもあります。整然とした砂岩泥岩互層が見事な海食崖を形成しています。白亜紀層と古第三紀層との不整合が見られるところもあります。また、良く探すと化石も見つかります。 ―甑島県立自然公園―

四万十層群(白亜紀~古第三紀)

佐多岬
 恐竜が大活躍した中生代白亜紀から新生代古第三紀にかけて、南九州は太平洋プレートのもぐり込む場でした。海溝に面した大陸斜面では海底地すべりが頻繁に発生していました。佐多岬には、こうした海底地すべり堆積物が分布しています。 ―霧島屋久国立公園―

坊津
 佐多岬と違って、整然とした砂岩頁岩互層が発達しており、浦尻などでは写真のような見事な褶曲(しゅう曲)が見られます。 ―坊・野間県立自然公園―

写真集発行

 鹿児島県地学会では『写真集 地球からのメッセージ 鹿児島』を発行しました(1997年7月30日)。27cm×25.5cm 144ページカラーの大作です。見事な写真が収められています。ぜひお買い求めください。1冊3,000円+消費税です。注文先は次の通りです。
 斯文堂(株)出版部 鹿児島市南栄3-1 Tel. 099-268-8211 Fax. 099-269-5198


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更新日:1997年8月25日