2000年3月24日、鹿児島大学理学部地学科最後の卒業生を送り出しましたので、このホームページはこの日をもってフリーズしました。もう更新しません。悪しからず。
なお、「かだいおうち」は日本における大学研究室ホームページの第1号です。歴史的遺産としてここにアーカイブしておきます。
地形図概説
地形図の基礎知識|
野外における地形図の読み方|
地形の図上計測|
地形断面図|
その他の図上作業|
地形図の入手法
地表面の形態(地形)や地物(自然物・人工物)を表現した平面図を地形図という。地図は使用目的によって,一般図・主題図・特殊図に分けられる。一般図は,いわゆる地形図で,地質調査にはなくてはならないものである。主題図は,土地利用図・土地条件図・土壌図・植生図・林相図・湖沼図・海図など特定の主題に応じて作られた地図をいう。もちろん,地質図もそのひとつ。これらの主題図は,本来の目的の他にも,地質屋の目で見ると,さまざまの地質情報を読み取ることができる。例えば,土壌・植生・林相などが,微妙な地質の違いを見事に反映している例も多い。地質調査に併用すると有益である。特殊図は写真地図などをいう。ここでは,一般図を中心に,地質調査に最低必要なことに限って解説する。
(1) 地形図の縮尺
地上の実距離に対する図上の縮小比率を縮尺という。普通は,1:50,000のような比の形か1/50,000のような分子を1とする分数の形で表す。分数の大きい もの,すなわち分母の小さいものを大縮尺図といい,逆に分数の小さいものを小縮尺図という。一般には,1/10,000以上を大縮尺,1/100,000以下を小縮尺,その中間を中縮尺と呼んでいる。国土地理院発行の地形図には以下のようなものがある。
1: 2,500 | 国土基本図及び骨格図 |
1: 5,000 | 〃 及び写真図・火山基本図 |
1: 10,000 | 地形図(大都市中心) |
1: 25,000 | 〃 (4426面…全国をカバー) |
1: 50,000 | 〃 (1249面…全国をカバー) |
1: 200,000 | 地勢図(129面…編集図) |
1: 500,000 | 地方図(8面…編集図) |
1:1,000,000 | 日本Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ |
1:1,000,000 | 国際図(3面) |
1:3,000,000 | 日本とその周辺(1面) |
なお,地形図には縮尺の値の他に,必ずスケール(距離尺)が添えられている。図上で距離を測るには,このスケールを用いたほうが,別の物差で測るよりも精度がよい。紙の伸縮の影響をキャンセルできるからである。
(2) 地図の投影法
地球は球体であるから,これを平面図に表現すれば,必然的にひずみを伴う。目的に合せてさまざまの投影法が考案されている。国土地理院の中縮尺地形図(新しい版の20万分の1地勢図も)では,ユニバーサル横メルカトル図法(UTM図法)を採用している。この図法は,まず,地球全体を6゜ごとの経度帯(座標帯)に分ける。180゜の経線を基準に,東回りに1~60の番号を付ける。例えば,日本附近の第53帯は東経132゜~138゜で,その中央子午線は135゜である。次に,中央子午線より約180km(1.62゜)離れたところの経線に接する横型の円筒に投影する。つまり,円筒図法である。ただし,緯度が80゜より大 きいところは使わない。したがって,中央子午線の部分は,円筒よりもはみ出すから,実際より縮小されることになり,その縮小率は0.9996(=cos1.62゜)となる。また,座標帯の両端の経線上での拡大率は1.00097となる。このように,座標帯の中では誤差が平均化されるように考えられている。1:50,000地形図の場合は,この座標帯内を緯度差10'経度差15'で区切った不等辺四辺形となる。同一座標帯内では多数の地形図をつなぐことができる。
(3) 地形の表現法
地表面の起伏は三次元的である。地形図では,これを二次元で表現しなければならない。そのためには,以下のようなさまざまの方法が工夫されてきた。
- 地貌図式(地性線図式)
- 谷線と尾根線だけで地形を表現したもの。昔の森林基本図によく使われていた。現在でも林班界を図示するのに用いられることがある。
- うんせん(ぼかし)式
- 土地の起伏に応じて陰影を付けたもの。北斜め上方から光線を当てたと仮定して,影が付けられている。直感的でわかりやすいが,正確さに欠けるため,等高線と併用されることが多い。20万分の1地勢図や5万分の1集成図に用いられている。
- うんのう(ケバ)式
- 斜面の最大傾斜の方向に短い線(ケバ)を付けて,緩急を表現したもの。やはり直感的にわかりやすい。観光地図などに用いられる。
- 鳥かん図
- 上空斜めから眺めた様子を描いたもの。陰になった部分は表現できない。観光案内図に用いられる。
- 段彩式
- 等高線に沿って,ある間隔ごとに別な色で彩色したもの。平野は緑系統,山岳部は茶系統を用いるのが一般的である。小中高校の地図帳などでお馴染みのはず。
- 等高線式
- 海抜高度の等しい点を連ねた等値線で表したもの。正確さでは優れているが,直感性では劣り,地形の読取りにはある程度の練習を要する。地質調査に用いる地形図は,すべてこの等高線図である。
(4) 地形図の図式
国土地理院の地形図には,さまざまの記号や約束が使われており,これを図式という。現行のものは,1:25,000地形図昭和61年式および1:50,000地形図平成元年図式である。大部分,地形図の凡例に示されている。ここでは,1:25,000地形図を例に,地質調査に必要なことに限って解説する。
参考文献:『地形図図式画報』, 日本地図センター編集発行, 1988, 63pp.
地形図番号
例えば,『東京首部』の1:25,000地形図では,左上にNI-54-25-2-4と記入されている。Nは北半球を示し,Iは赤道から緯度4゜ごとにA,B,C ・・・・と付けてきたI番目(9番目)に当たることを示す。54は第54座標帯,つまり,NI-54は緯度差4゜,経度差6゜の1:1,000,000国際図の番号である。次の25は,国際図を36等分して(1区画は1゜×40'),右上から下に一連番号を付けた(海の部分も含む)ときの25番目であることを示す。これが1:200,000地勢図『東京』の番号である。次の2は,この地勢図を16区画したときの右上から2番目を意味する。NI-54-25-2は1:50,000地形図『東京東北部』の番号である。最後の4は,この1:50,000地形図を4等分したときの4番目(左下)を示している。また,番号の下に表示されている「東京2号-4」は1:200,000地勢図の番号を図幅名で示したものである。地形図番号は,地形図を注文したり,整理したりするのに用いると便利である。
道路等
道路のうち,図上で幅1.0mm(1:25,000の場合は25m)以上のものは,実際の道幅に応じて正しく表示されており,真幅道路という。これ以下の道路は記号道路といい,大きく誇張されているので注意を要する。
三角点・水準点・各種建物目標物記号
一般には,記号の中心点が真位置を示す。記念碑・煙突など側面形を示したものは,下辺中央が真位置である。ただし,建物記号は家屋の種類を示す記号であって,家屋の印(これが真位置)のそばに添えてある。
植生記号
原則として図上3×3mm以上のものは表示される。植生は位置決定の目安になると共に,微妙な地質の違いを反映していることもあるので,地質調査の参考になる。
河川
水流の幅が1.5m,図上の長さが1cm以上のものを原則として表示する。川幅が図上0.3mm(実幅7.5m)以上のときは両岸の水涯線を描き,それ以下の場合は,一条線で示す。
海岸線
海岸線は,満潮時の海陸の境界線で示されており,平均海水面のときの海岸線ではないから,地質調査に際しては十分な注意を要する。
等高線
1:25,000地形図では,高度10mごとに等高線が描かれており,これを主曲線と呼ぶ。見やすくするために,5本目ごと,つまり50m間隔ごとに線が太くしてある。これを計曲線という。緩傾斜地や細かな起伏のところでは,補助曲線を挿入して表現している。主曲線の間隔の1/2(つまり5m間隔)の等高線を間曲線といい,そのさらに1/2(2.5m)を助曲線という。
他の縮尺の場合も同様である。傾斜が50゜を超すと,等高線だけで表現しにくくなるので,崖などの変形地記号を用いる。原則として,壁状の崖は高さ3m,長さ75m(図上で3mm)以上のものについて表示してある。
方位
地形図の方位は,北半球では北を上にしてある。地図の北には,方眼北・真北・磁北の3種類あるので,注意しなければならない。これらは図郭の外に記載されている。方眼北(座標北・原点方位の北)は,平面直角座標の縦軸の線で,国土基本図など大縮尺図の左右の図郭線の方向がこの方眼北である。真北は地理学上の子午線の方向で,国土地理院の1:10,000以下の小縮尺図では,左右の図郭線が真北である。真北は,国土地理院では星印(☆),地質調査所では米印(※)で表している。文字を添える場合には,tNとするか,単にNとする。真北と方眼北との角度差は極く僅かで,クリノメーターの誤差より小さいから,地質調査では無視して差し支えない。これらに対し,磁北は文字通り磁石の指す方向であるから,地質調査で通常使う方位である。磁北は,日本付近では真北より西へ数度偏っており(西偏という),毎年約2'ずつ西寄りに増加している。地形図には必ず角度と測定年が記入されている。とくに北日本では偏角が大きいから,地質調査では補正するのを忘れてはならない。この補正のとき,勘違いして逆にする学生が毎年出る。要注意。なお,磁北は,国土地理院は黒く塗りつぶした片矢印,地質調査所は白抜き片矢印で示している。文字を添える場合にはmNとする。また,矢印の矢羽根は偏角の方向に付ける約束になっている。すなわち,アメリカ大陸西側・ヨーロッパ大陸主部・オーストラリアなど東偏角地域の地図には,矢印が日本と逆向きに付いている。これらの記号を単なる飾りと勘違いしている学生が多く,真北に片矢羽根を付けたり,磁北にNの字を記入したり,片矢羽根の向きを逆にしたりする者が跡を絶たない。
その他表現の約束(転位・総描・省略)
例えば,記号道路のように,誇張表示がなされていると,道路に面した家屋の位置は移動せざるをえない。これを転位といい,図上で最大1.2mmまで認められている。川と道路が接するような場合には,自然物を優先して真位置を示し,人工物のほうを転位する。
図式に記号が決められているものでも,それぞれ採用基準があって,省略されていることも多い。例えば,20m未満の橋は表示されない。また,市街地の密集家屋のように,いちいち描きわけることができない場合には,まとめて斜線で表示したりする。これを総描という。
とくに,曲がりくねった道路の場合,先の誇張表示とあいまって,カーブをいくつか省略して総合描示されることがある。幾つ目のカーブなどと数えて位置を決めるなどは,極めて危険である。地質調査のとき十分注意が必要である。
なお,記号の採用基準以下であっても,高山の山小屋のように重要度が高い場合には,当然表示される。
地質調査では,常に現在位置を正しく地図上に見出していなければならない。図上で0.1mm程度の精度が要求される。この位置が誤っていては,折角プロットしたデータも役立たないばかりか,かえって誤った結論に導く恐れがある。位置を見失って遭難するようでは,地質屋の資格がない。調査結果も,以後信用してもらえなくなる。それ故,地図を標定する(図上の点と地上の点を一致させ,地図を正しい方向におく)ことは,地質調査の第一歩である。とはいえ,なかなか難しい。やはり,練習の積み重ねしかない。以下,位置決定の方法や注意点について簡単に解説する。
(1) 三角法(後方交会法)
平板測量において,既知の2ないし3方向により,位置を図解で求める方法を交会法という。見通しはよいが,距離を測定しにくい場合,例えば,尾根筋などでしばしば用いられる。前方・側方・後方交会法の3種ある。ここでは,1ヵ所で動かずに位置を決定できる後方交会法を紹介する。まずクリノメーターで,地形図の方位を正しく会わせる(標定する)。次に,クリノメーターを地図上に載せ,遠方の目標に向ってクリノメーターの長辺を合せる。この長辺が地図上の目標の位置を通るよう平行移動して,長辺に沿って鉛筆で線を引く。この方法は画板がないとできないから,ない場合には,目標の方向を測定して,プロトラクターで線を引く。今度は別の目標に対して同様の作業を行う。3点の目標を用いれば,3直線は1点で交わるはずである。これが求め
る現位置である。遠方の目標としては,山頂・川の合流点・道路の交差点・送電鉄塔・橋・独立家屋・神社・寺院など,地図上で明瞭にわかるものがよい。なお,最初の地図の標定が正確でないと,1点で交わらず三角形ができる。地図をどちらかに少し回転させて,三角形を消去すること。その他,尾根筋などでは,海抜高度が既知で,現在地とほぼ高さの同じ点をハンドレベルでねらって,大体の高度をつかんでおくと,より正確に位置を決定できる。
(2) 道線法
沢底や道路など見通しの悪いところでは交会法は使えない。この場合は,道路の交差点や川の合流点など既知の点からの距離を歩測によって求め,常に進行方向に注意しながら,現在地を追跡していく。方向もクリノメーターで常に測定して記入していけば,本格的な道線法になるが,これはどこの大学でも地質図学の実習で行われるはずである。地形図を用いる場合は,クリノメーターで時々方向をチェックする程度でよい。次の交差点や合流点など,場所が明確な地点まで来たら,今までの経路を点検確認し,必要に応じて補正する。
(3) 読図(マップリーディング)による
1:25,000地形図のような中縮尺の地形図を用いた調査では,距離をいちいち歩測しても,あまり意味がない。道線法において,既知の点から次の既知の点までは,付近の地形を読み取って位置を決定する。道路や沢の曲り工合,崖や露岩など変形地記号の付いた場所,植生,斜面の傾斜,あるいは枝沢とは言えない程度の谷型斜面や小さな尾根など,さまざまな指標や微地形を注意深く観察するとよい。ただし,地形図は省略と総描あるいは転位が行われていることを念頭においてないと,とんでもない誤りを犯すことがある。御用心。慣れると,1:50,000地形図でも正確に位置を決定できるようになる。このようなマップリーディングもまた,地質屋必須の技術と言えよう。なお,位置決定の手段として,図式に書かれている程度の事項を読み取ることに止まらず,地形そのものの研究のために,さらには背後にある地質情報までも読み取ることをマップインタープリテーションという。これについては後述する。
(4) 注意点
川や道路の細かな曲りは省略されていることが多い。交差点から何番目の曲り角といった数え方は誤りのもとである。小さな道や行止まりの道は省略されていることもある。同様に,図上1cm未満の川も省略される場合が多い。やはり何番目の分岐点(合流点)といった数え方は危険。川の記号よりも,等高線の形から谷筋を判断したほうが正確である。尾根筋の場合,等高線間隔よりも小さな比高の鞍部や小ピークは,図上に表示されないから,三点法の目標に用いたり,何番目のピークなどと数えたりするのはやめたほうがよい。また,尾根道から谷筋を同定するのは,相当熟練していても,大変難しい。稜線から僅かでもずれている場合は,どちら側の斜面にいるのか十分注意しないと,正反対の谷に下りてしまったり,隣の谷に下りたりすることがある。とくに尾根筋
が二股に分岐している場合には要注意。高い山や尾根から下を見下ろすと,遠くの山のほうが近くの山よりも視線が上向きになるから,実際は低いのに逆に高く見えることもある。さらに,樹高の高い針葉樹が生えている山は,実際よりも樹高の分だけ高く見える。
最後に,地形図の発行年にも注意する。地図にない道路・橋・家屋などが,新しく出来ていることがしばしばある。旧道は残っているから大抵気が付くが,とくに橋は,古い橋とは別の位置に建設され,古いほうは取り壊されているケースが多いから,警戒が必要である。
地形は,さまざまの営力が総合的に作用して形成されたものである。が,結局のところ,第一義的には地質と地殻変動に支配されている。したがって,地形の研究は,地質調査にとっても大切である。その手段の一つに,地形のいろいろな側面を定量的に捉える方法,すなわち地形計測がある。最近は優秀なGISソフトがあるから,パソコン上でいろいろな計測が可能になった。しかし、フィールドの現地で作業することも多いので,手作業の方法も知っておくほうがよい。
(1) 基本的計測
水平距離の測定
直線距離ならば,コンパスあるいはディバイダーで図上の2点間の距離を測り,地図下端に印刷してあるスケールに当てればよい。定規で2点間の距離を測り,これに縮尺の分母数を乗じてもよいが,紙の伸縮など誤差を伴う。
曲線距離の測定には,キルビメーターを用いるのが簡便である。最下部の歯車を指先で回して,ゼロ点を合せた後,曲線に沿って転がす。慣れないうちは,すぐルートから外れるので注意が肝心。2~3回測って平均値を採ればよい。上部の目盛は,片面は実距離(cm),他方の面は1:50,000および1:30,000の距離が読み取れるようになっている。もっとも最近はデジタルの使いやすいマップメーターも市販されている。
キルビメーターがない場合には,湿らせた糸を曲線に沿って這わせる方法がある。また,ゆるいカーブの場合には,直線と近似してよい程度の長さにディバイダーを開き,曲線に沿って交互に回転させながら,単位長さの何倍あるかを数える。
斜面距離
水平直線距離はディバイダーで測り,比高は等高線の数を数える。あとは作図で求めてもよいし,ピタゴラスの定理を用いてもよい。
面積の測定
透明フィルムに方眼網を描いておく。1:25,000の場合は4mm方眼にすると,1個の方眼の面積が1haになる。OHP用フィルムに方眼紙をコピーしてもよい。このようなフィルムを目的の地図にかぶせ,方眼数を数える。縁辺部については,方眼の何%くらいが範囲内に入っているか目測して集計する。したがって,あまり精度がよくない。かと言って,1mm方眼を用いれば,数える手間が大変である。
均質な厚紙に,地図を複写して切り取る。単位面積の同質の厚紙との重量比を精密天秤で測定して計算してもよい。比較的正確な値が求まる。なお,国土地理院発行の地形図は,柾版という均質な上質紙が用いられているから,そのまま切り取って利用してもよい。少しもったいないが。
図形を多角形で近似して,その頂点の座標から計算で求める方法もある。いま,頂点の座標を(xi,yi)とすると求める面積は縮尺の分母をMとして,

で与えられる。これをプログラムしておき,デジタイザーで座標を読み取れば,自動的に計測できる。
他にプラニメーター(面積計)という便利な器具も市販されている。
体積の測定
火山体の体積や非金属鉱床(石灰石・砕石)の鉱量あるいはダムの貯水量などの見積りに体積の測定が必要になることがある。基本的には,各等高線で囲まれた部分の面積に比高を乗じて,各高度ごとの体積を求め,それらを合計してやればよい。
(2) 接峰面図と接谷面図
現在見られる地形は,主として第四紀以降形成された。とくに山地地形は,第四紀の隆起運動と現河川による浸食作用との相互作用によって作られている。したがって,浸食された部分を埋め戻してやれば,浸食以前の原地形を復元できる。河川は,一度流路ができると,そこだけ選択的に浸食が進む。一斉に面的に浸食が進むことは,特殊な場合以外まずない。実例を挙げると,鹿児島県の屋久島は約6,300年前の幸屋火砕流に全島を覆われたが,現在火砕流堆積物が残っているのは,尾根筋の緩傾斜部だけで,山腹には存在しない。屋久杉と呼ばれる樹齢1,000年を超す古木も尾根筋にしか生えていない。それ故,山頂部や尾根部は浸食を免れた原地形の一部と考えてよい。このような仮定のもとに,山頂部に接するような仮想面を考えたものが,接峰面である。地形を波と考えれば,その長波成分をフィルタリングして取り出したものと言える。比喩的に言うと,山に大風呂敷を被せた状態を想像すればよい。
接峰面図の作り方には,大別して方眼法と谷埋法(埋谷法)とがある。前者は,第四紀地殻変動の解析に適している。とくに,平坦山頂を有する隆起準平原などでは,準平原が見事に復元され,隆起量を推定することができる。後者は,原斜面を開析した小谷を埋め戻すのであるから,浸食以前の斜面形を復元するのに適している。以下,具体的に解説する。
方眼法
地形図を適当な大きさの方眼で区切り,方眼内の最高点の高度を用いて,内挿法で等高線を描く方法である。しかし,この単位方眼の大きさを無限に小さくすれば,現地形と全く同一になってしまうし,無限に大きくとれば,日本列島も一平面になってしまう。それ故,方眼の大きさは,でたらめではダメで,地形学的に意味のある大きさを採用しなければならない。つまり,対象地域の起伏の状態や谷の発達程度を考慮する必要がある。そのために,起伏量生長曲線を描く。まず,地域内のいくつかの山頂を選び,山頂を中心に同心円を描く。各円内の最低点と山頂との高度差(起伏量)を求める。各円の面積(半径ではない!)を横軸に,起伏量を縦軸にとって,グラフを描けば,それが起伏量生長曲線である。円を大きくしていけば必ず海に達するから,それ以降の起伏量は山頂の海抜高度と等しくなり一定となる。したがって,曲線は上方に凸なカーブを描いて,一定値に漸近していく。その過程で必ず変曲点を通過する。地域内の代表的な山頂について描かれた生長曲線のうち,変曲点を与える半径で最大なものをとって,方眼の辺の長さとするのである。
次に,地形図にこの大きさの方眼線を引き,方眼内の最高点を拾い出す。事前に計曲線を彩色しておくと,作業の能率がよい。コンターを描くには,最高点の位置をそのままにしておく場合と,方眼の中央または一隅に移動させる場合とある。内挿法とは,近隣の点との間で比例配分によってコンターの位置を決めるやり方をいう。あまり厳密にするとコンターがぎこちなくなるから,適当に滑らかに引くとよい。天気図で,等圧線を引く方法と同じである。なお,地形図に直接記入するより,トレーシングペーパーをかぶせ,最高点の位置と高度の数値を写し取ってから,トレーシングペーパー上で作業したほうが能率がよい。コンターを引くには,地形図の等高線が示す大略の方向性も考慮して行う。出来上がったら,別のトレーシングペーパーにきれいに写し取っておくと,地質図と対照したりできて,いろいろと便利である。その際,計曲線は太くしたほうが見やすい。
谷埋法
埋め戻す谷幅をどのくらいにするかが,まず問題となる。対象地域にもっとも多く出現する谷幅を基準として,それ以下の谷をすべて埋めてしまうのが一般である。谷を埋めるときに直線を用いる場合と,円弧など滑らかな曲線を使うやり方がある。ここでは,前者の方法を説明する。まず透明定規に基準谷幅の印を付けたスケールを作る。このスケールを各等高線ごとに谷に当てていく。基準谷幅より小さな谷は,もちろん谷口のところで同一等高線を結んでしまう。基準より幅の広い大きな谷の場合は,逆に上流のほうからスケールを当て,基準の幅になったら,定規で同一等高線を結んでいく。当然,定規はなるべく谷線に直角に当てる。なお,主曲線のすべてについて上述の作業を行うのは大変だから,地域にもよるが,計曲線だけについて行っても差し支えない。大局はわかる。
その他の方法
地形図の中で,等高線が閉じたもの(閉曲線)をすべて取り出し,その位置と高度をもとに内挿法で描く方法もある。まず,閉曲線を選び出して彩色し,方眼法と同様にしてコンターを描くとよい。結果も大差ない。
なお,接峰面とは全く逆に,谷底に接する仮想の面を接谷面という。谷底の高度分布を概観するのに適している。作り方は接峰面と反対にすればよい。方眼法では,方眼内の最低点をとり,内挿法でコンターを引く。谷埋法に当たるものは尾根削り法である。基準幅以下の尾根を削り取ってしまうとよい。
(3) 傾斜区分図
地形の傾斜は構成岩石の硬度を忠実に反映してる場合が多い。また,土壌浸食や崩壊など斜面災害と密接に関わるし,農林業など土地利用にとっても重要な要素となる。また,後述の地形分類の基本的要素としても重要である。
傾斜の測定
いま,地形図の等高線間隔をΔh,隣りあう等高線の間の水平距離をΔxとすると,求める傾斜角はtan-1(Δh/ΔX)で与えられる。Δhは地形図によって定められているから,結局,Δxを測ればよい。しかし,2本の等高線で測定すると測定誤差が大きすぎるので,測定点を含む何本かの等高線について平均傾斜を求めるのが普通である。以下のようないくつかのやり方がある。
寺田法
寺田寅彦の考案になる。1:50,000地形図を縦横10等分して格子線を引く。各交点で半径2.5mm(実距離125m)の円を描き,円内に含まれる等高線の数nから平均傾斜を求める。すなわち,等高線間隔Δhは20mであるから,
tan-1(20n/250)=tan-1(0.08n)
で与えられる。なお,等高線数を数える際,閉曲線は1本と数え,同一等高線でも一旦外に出なければ,いかに複雑に屈曲していても1本と数える。
ホートン法
HORTON(1932)の考案した方法である。以下,平野(1980)による。いま,任意の直線と等高線が交わる角度をαとすると,αの平均は次式で与えれられる。

したがって,長さlの線分を横切る等高線の数をnとすると,

だから,求める平均傾斜は

で与えられる。辺の長さdの方眼に適用するには,l=4dとし,各辺と等高線の交点の合計をnとすればよい。この場合,たとえ同一等高線でも辺と交わるたびに1と数える。したがって,接する場合を除き,四辺とは最低2回以上交わることになる。もちろん,方眼内に含まれてしまう閉曲線は数に入れない。方眼の大きさはあまり大きくすると意味がないから,1:25,000地形図で4mm(実距離100m,面積にして1ha)くらいが適当であろう。方眼ごとの平均傾斜が求まったら,階級に応じて彩色すれば,傾斜区分図が出来上がる。
傾斜尺による方法
傾斜区分図の場合,10゜刻みくらいの階級に分けるのが普通であり,必ずしも2点間の正確な傾斜角を求める必要はない。また,50゜以上の急傾斜地が分布するのも稀である。そこで,最初から階級に応じて彩色していく方法がある。名刺ぐらいの厚紙かセルロイドに,目的の傾斜角に対応する等高線間隔と等しい切れ目を入れておく(傾斜尺という)。これを等高線と直交する方向(落水線の方向)に当てて動かし,切れ目の幅と等高線の間隔とを比較する。この単位幅より広いところと狭いところを塗り分けながら,傾斜尺を動かすのである。一般に地形断面では,傾斜角は単調減少ないし単調増加を示すから,このやり方でも考えるほどには難しくない。寺田法やホートン法などのように,等高線の数を数えたりする手間がないため,はるかに早くできる。完成した傾斜区分図も,滑らかな曲線で結ばれているから,上記の方法による格子縞模様に比べて,より自然に近く見やすい。
(4) 起伏量図
起伏の大小は地形の開析状態を示しており,地形発達のよい指標となる。起伏量は,一般に相隣り合う尾根(もしくは山頂)と谷底との高度差,あるいは接峰面と接谷面との高度差と定義されている。しかし,実用的には単位面積内の最高点と最低点との高度差と見なされている。以下,この第三の定義による起伏量図の作り方を説明する。
起伏量分布図の作成
接峰面図の方眼法と同様な手続で方眼の大きさを決める。次に,方眼内の最高点と最低点との高度差を求め,階級に応じた色を塗ればよいのである。
等起伏量線図の作成
上記の方法では,起伏を求めた2点間の距離は方眼によって異なる。そこで,最高点を中心として,方眼とほぼ等積の円を描く最高点(つまり円の中心)と円周上での最低点との高度差を求め,円の中心の起伏量とする。後は内挿法でコンターを描けばよい。
(5) 水系図(谷系図)・谷密度図
谷(水系)の発達状況は,地形の開析程度や岩石の浸食に対する抵抗力の程度を反映する。また,断層や節理など地質構造要素に支配された水系が形成されることも多い。したがって,地形図に記載された水系を写し取って水系図を作成しても,さまざまの地質情報を得ることができる。
谷系図
地形図に記入された水線だけを拾い出しても,大きなオーダーの水系図はできるが,細かな地質情報を読み取るには不十分である。水線の記入されていない谷筋を拾うとなると,個人差を排するためには,谷の定義が問題となる。一般には,等高線の入り込みが幅より大きいもの(三野,1936)をいうが,等高線の切れ込み部分の角度が90゜より狭いもの(平野,1969)という定義のほうが,実用的で作業しやすい。具体的には,地形図にトレーシングペーパーを当てて,上の定義に合う谷筋をすべて写し取ればよいのである。
谷密度図
谷の発達程度を示す指標の一つとして,谷密度がある。一般には,単位面積当りの谷の長さと定義されるが,実用的には方眼の四辺を切る谷の数で表す。谷の端(谷頭)が方眼の中央で終るときには0.5と数える(吉村法)。
地質調査の結果は,必ず地質断面図に表現しなければならない。地質断面図の作成には,地形断面図が不可欠である。もちろん,地形断面図は地質断面図を表示するための付けたりではなく,地形自体の情報を得るためにもしばしば作成される。
(1) 線に沿う断面図
一般には直線に沿う地形断面が描かれるが,河川の縦断面図のように曲線に沿って作成することもある。前者の場合,地質構造の平均的方位と直交する方向を採用するのが普通である。火山などでは,山頂火口を含む断面をとる。このように作業目的に応じて断面線を決めればよい。作り方は,まず地形図上に断面線を引き,これに1mm方眼のグラフ用紙を平行に置く。この時,グラフ用紙周縁の白紙の部分は折り畳んでおき,方眼部分が直接断面線と接するようにする。次に,等高線と断面線との交点から,断面線に垂線を引き,方眼上に交点の高さに応じた点をプロットする。各交点について同様の作業を繰り返し,プロットされた点を結び合わせれば地形断面が得られる。この際,高さの縮尺を水平距離の5倍程度にすると見やすい。こうした誇張断面図に地質断面図も記する場合には,地層の傾斜も誇張することを忘れてはならない。もちろん,たとえ1:1の断面図でも,描かれる斜面の傾斜は,必ずしも地表面の最大傾斜を示しているとは限らないから,錯覚しないよう注意を要する。
河川縦断面図を作る場合には,直接グラフ用紙を当てるわけにはいかないから,ディバイダーで水平距離を測りながらプロットするしかない。この時,10倍前後誇張すると,見やすい縦断面図ができる。
(2) 帯に沿う断面図
山地の定向性など同じ地形要素をはっきり示すために,断面図をいくつか重ねて描くことがある。投射断面図という。また,断面線に沿う一定幅の帯について,断面線に平行な鉛直面に最高点を投影した投影断面図も作成される。山地を遠くから概観したときの様子がわかる。
さらに,断面線に平行な地形断面群を少しずつずらして重ね,立体的に地形を表現することも行われている。簡便なブロックダイヤグラムと言えよう。
地形図を十二分に活用し,さまざまな地形・地質情報を引き出す(地形図を読む)ためには,前述の地形計測の他に,まだ各種の手段がある。
(1) 等高線の読み取り
傾斜区分図・起伏量図なども等高線を読むことには違いないが,ある特定の要素だけを定量的に抽出する方法である。定性的ではあっても,等高線のパターンを認識し,地形の全体像を把握することは,劣らず重要である。その補助手段として,以下のような作業がある。
縮小コピー
最近は簡単に縮小コピーがとれるようになった。これを利用して地形図を縮小すると,等高線の混んだところはより黒っぽく強調され,地形表現が見やすくなる。断層や節理を反映した線状地形(いわゆるリニアメント)・段丘・隆起準平原・溶岩堤などが容易に発見できる。また,普通の地形図なら何枚にもわたるような広域の地形も,一目で見渡せる利点もある。なお,縮小比率はなるべく50%など,きりのよい数字でできる機械が望ましい。原図のほうを貼り合わせておけば,継ぎ目なしのコピーがとれ,段差がないので,彩色する際大変都合がよい。
等高線の彩色
先に説明した段彩法が代表的なものである。小縮尺の地形図で,低地は緑色系統,高地は茶系,中間は黄色系に着色する。広域の地形を概観するには向いているが,普通の地質調査で扱う1:25,000地形図1枚程度の範囲の場合,あまり意味がない。中縮尺ないし大縮尺の地形図では,相隣る計曲線の間を一つおきに彩色する方法(帯状彩色)がある(大久保,1966)。起伏の少ない地域では,主曲線間を一つおきに塗るとよい。平坦面や急崖を際立たせる効果がある。しかし,彩色することによって,新しく地形要素を発見できるほどには有効ではない。普通の読図によって見出した平坦面などの地形要素を見やすく表示するための,プレゼンテーションの手段と心得ておいたほうがよいと思う。あまり効果的でない場合に,やみくもに色を塗るのは時間の浪費に過ぎない。
(2) 地性線の摘出
性質の異なる地形面の境界を地性線という。傾斜変換線(遷急線と遷緩線)・山稜線(分水線・凸線)・谷底線(合水線・凹線)などである。傾斜変換線は,斜面の傾斜が急激に変化する点(傾斜変換点)の連なりである。尾根から谷に向って,傾斜が急になる点を遷急点,逆に緩くなる点を遷緩点という。前者では崩壊や地すべりが発生しやすく,これによって,遷急線は尾根側へ後退して行く。いわば浸食前線とも言えよう。むろん,岩質の差を反映していることもある。一方,後者は,崩土や崖錐堆積物と上部の平衡斜面との境界であるケースが多い。浸食と堆積の境界を示しているわけである。このように,傾斜変換線は,地質学的に重要な意味を持っていると共に,山地災害の予知とも密接な関係がある。地形図から明白に読み取ることができる場合もあるが,空中写真判読と併用したほうがより正確である。
山稜線・谷底線は。登山用語でいう稜線・谷線と異なり,細かな山襞の一つひとつを対象とするもので,等高線と常に直交する。
彩色する場合は,山稜線を茶色,谷底線を青色,傾斜変換線を緑色で示すとよい。
(3) 景観図の作成
景観図の配色 |
地類 | 色 | 色の英語 |
乾田 | 黄色 | lemon yellow |
水田 | 黄色 | cadmium yellow |
沼地 | 黄色 | canary yellow |
普通畑 | 緑色 | viridian |
桑畑 | 黄緑色 | emerald green |
茶畑 | 紫色 | mauve |
果樹園 | 橙色 | mandarin orange |
草地 | 萌黄色 | spring green |
広葉樹林 | 藍色 | light ultramarine |
針葉樹林 | 青色 | Prussian blue |
竹林 | 青緑色 | forest green |
荒地 | 褐色色 | burnt sienna |
湿地 | 灰色 | steel blue |
集落 | 朱色 | vermilion |
河・湖・海 | 空色 | sky gray |
地類記号やその他の諸記号を手がかりに土地利用の状態を知ることができる。土地利用は,単に人文地理学的な調査に役立つだけでなく,微地形を敏感に反映していることから,地質地形情報を読み取るのにも重要である。例えば,等高線では表現しきれない自然堤防も土地利用形態の相違から発見できる。棚田(千枚田)や桑畑の分布から,地すべり地を判読できるし,それが断層や褶曲を反映していることもある。
地類記号を一定の規則によって彩色したものを景観図という。一種の土地利用図である。彩色には,色をスペクトル順に並べ,土地利用度の高いものを暖色,低いものを寒色にする。また,広い面積を占めるものには淡色,狭い分布のものには濃色を用いる。一般には,表のような配色を用いる。秋に上空から見た景観に似せてある。
(1) 国土地理院発行の地図
地形図・地勢図・主題図
国土地理院発行の地図類は各地の地図センターや大手地図発売元には全種類揃えてある。大学が存在するような大都会,とくに県庁所在地には,必ず特定販売店があり,一応全国の地図が揃っている。また,大きな書店・スポーツ用品店・文具店などでも,その都市周辺の地形図なら売っている。ただし,売れ残りの旧版をつかませられることがある。御用心。フィールド先の小さな本屋さんでは入手できないことが多いので,出発前に購入しておいたほうがよい。なお,地図取扱店には,「建設省国土地理院 地図」と書かれた赤白の看板が掲げてあるから,目印になる。
どうしても入手できないときには,通信販売元に,地図の種類・図名・枚数および地図を送るときに折ってもよいか否かなどを書いて申込めばよい。地図の代金と送料は前払いである。
<販売元>
(財)日本地図センター
〒153-8522 東京都目黒区青葉台4-9-6
TEL. 03-3485-8120-1
FAX. 03-3465-7591
E-mail:
hansoku@jmc.or.jp
国土基本図・写真図・骨格図・湖沼図
上記の地図は受注生産方式をとっている。普通は藍焼図である。まだ全国完成していないので,作成区域一覧図を見て,出版されていることを確かめてから,購入申込書を作り,代金を添えて申し込む。取次店を経由するか,直接日本地図センター空中写真部へ郵送してもよい。
(財)日本地図センター 空中写真部
〒153-8522 東京都目黒区青葉台4-9-6
TEL. 03-3485-5415~6
(財)日本地図センター 筑波支所
〒305-0821 茨城県つくば市春日3-1-8
TEL. 0298-51-6657~8
国土地理院発行旧版地形図のコピー
地形の改変状況を知るために,旧版地形図が必要になることがある。明治以降作製された旧版地形図は,国土地理院,同関東地方測量部(目黒庁舎)および国会図書館に保管されていて閲覧できる。必要ならコピーも実費販売してくれる。
建設省国土地理院地図部
〒305-0811 茨城県つくば市北郷1番
TEL. 0298-64-1111
(2) 海図
海上保安庁水路部の作成した海図(水深図・等深線図)は,以下で取り扱っており,購入できる。大きな港のある町の船舶用品店で,売っているところもある。
(財)日本水路協会
海図販売所
〒104-0045 東京都中央区築地5-3-1
海上保安庁水路部庁舎内
TEL. 03-3543-0689
FAX. 03-3543-0142
E-mail:
jha3sale@oak.ocn.ne.jp
(3) 1:5,000森林基本図
森林調査計画用に作成されたもので,国土基本図作成区域を除く森林地帯を対象としている。国有林は林野庁,民有林は各県庁(林務部・林政部)が作成している。一般には市販されていないが,大学から公文書(教室主任名でも可)を作成機関に提出すれば,藍焼図を配布してくれる。ただし,実費を取られることがある。県によっては個人で行っても分けてくれるところもある。国有林は,最寄りの営林署で分けてくれるところもあるが,公式には管轄の営林局の許可が必要である。なお,各県作成の森林基本図の中には,国有林の部分を白抜きにしているものもあるから,注意を要する。
林野庁撮影の山地部空中写真
山地部の空中写真は国土地理院ではなく、林野庁が撮影している。下記の航測部に申し込む。
(社)日本林業技術協会航測部
〒102-0085 東京都千代田区六番町7
TEL. 03-3261-5281
FAX. 03-3261-5393
(4) 市町村管内図
各市町村で,1:5,000~1:10,000の管内図を作成している。国土地理院の地形図より,新しい情報が盛り込まれているケースが多い。新しくできた林道や細かい道,あるいは細かな地名(字名)・沢の名前などが記入されていて,大変便利である。ただし,隣接市町村の部分は白抜きになっている。1:25,000の管内図がある場合もあるが,大抵,国土地理院発行地形図の複製である。フィールドがいくつかの地形図にまたがっている場合には,1枚にまとめてある管内図は,データ整理用に使いやすい。
これらの管内図は,役場の建設課・土木課あるいは企画室などに行けば,もらえることが多い(大抵,無料)。受付で担当課を尋ねるとよい。
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地形図の入手法
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連絡先:iwamatsu@sci.kagoshima-u.ac.jp
更新日:1999年8月22日