野外実習・臨海実習

1998年年度与論島野外・臨海実習

動物の自由テーマ研究一覧


与論島と吉野町(寺山)のチョウの出現種の比較

浅井淳也

目的:

与論島と本土の間の地理的な隔たりや、気温の差で、チョウの出現種にどういう違いがあるのか調べる

考察:

寺山では1個体しか採集できなかったアオスジアゲハが与論島では数多く採集できた。与論島ではアゲハチョウのような大きなチョウに目が向いたため、シジミチョウのような小さなチョウを逃がしたかも知れない。シジミチョウに関して、与論島では、南方のヤクシマルリシジミやアマミウラナミシジミが採れた。与論島はやはり暖かく、また、離島なので寺山ともけっこう種が異なる。しかし、共通の種も多くいる。これらのチョウは自力で海をわたったのだろうか。それとも人間の移動に伴ったものだろうか。


歯舌について

宇都久美子

目的:

グレイザーの歯舌の形状の観察。肉食性のイモガイ、その他の植物食の歯舌の比較。また、喜入の泥食者の歯舌との、役割および形態の違いを比較、考察する。

考察:

6/11に喜入干潟で取った、沈積物食者(ex.フトヘナタリ、ヘナタリ)の歯舌が丸みをおびていたのに対して、与論のグレイザーの歯舌は先が鋭くとがっていた。これから考えられることとして、沈積物食者がやわらかな干潟の砂泥を削り取るというよりもなめてかきとるという方法で、採餌するのに、グレイザーは(干潟の砂泥に比べて硬い岩の表面を削るという作業にそれぞれの歯舌の形態を適応させてきたのではないかということが挙げられる。ヒザラ貝の歯舌は、鉄をためこんで黒っぽい色をしている。これはよりいっそうの歯舌の硬化のためだと思う。肉食性のイモガイの歯舌は、他の歯舌と比べ、形態が大きく異なっている。イモガイの歯舌は、まるで捕鯨につかうモリのような形をしていた。

オオイカリナマコとイカリナマコの骨片はともにイカリ状の形をしていた。相違点としては、イカリナマコの骨片は、オオイカリナマコのものに比べ小型で、イカリの柄の部分に取って状の構造物がついていること、また半透明の円形の構造がイカリナマコの方で多数みられたことである。その円形構造は、イカリ状骨片に重なって存在することが多かった。


貝の歯舌・ナマコの骨片の観察

石坂由伊子

目的:

それぞれに種によって異なる貝の歯舌、および、ナマコの骨片を観察し、その特徴をとらえる。

考察:

グレイザーといわれる岩についた海藻や生物をけずるとって食べる種の貝の歯舌(アマガイ、ヒザラガイ、コンペイトウガイなど)は、削り取りやすように、ブラシのように細かいとげがたくさんついているようだった。また、ヒザラガイは特殊で、歯舌に黒〜褐色の部分には鉄がたまって磁石化しているという事だった。これは、どのような点において有効であるのかよく分からないが、何らかの利点があるのだろうと思われる。

またイモガイは、肉食であるという事で、キヌカツギイモガイの歯舌は、やりのように鋭いトゲが並んでいた。これは、一回ささったら抜けないように先端の方にカギ状になっていて、おそらく、これを一本ずつ使って、えさとなる相手を捕食するのではないかと思われる。

また、オオイカリナマコやイカリナマコの骨片は、本当にイカリのような形をしていた。ナマコの表面をさわると、手にくっついてチクチクする感じがしたが、それは、この骨片のためだと思われる。

同じ、イカリナマコの種類でも、骨片の形や大きさは、異なっていた。


シャコについて

石場留美

目的:

与論島には様々な生物が存在する。その中でシャコは、一体のみ見つけられた。節足動物門においてとても多かったのは、カニであったが、今回の実習では、シャコの生態と形態を中心に観察を行うことが今回の目的である。

考察:

シャコの各脚部には細かい毛が多く存在する。その毛は十字に交差している部分が多く見られた。フトエビシャコの生息地は主にサンゴ礁のため、エサは豊富である。そのエサを取り込むのにその細かい毛は必要であると考えられる。そた毛以外にも細かい脚部が存在する。そのため、エサを取り込みやすくなっていると考えられる。


イソクズガニの観察

戸坂芳朗

目的:

海中の動物の細かい構造を見るため。


与論島のトンボ相を調査する

豊永佳苗

目的:

与論島のトンボ相を調査する。与論島は水系が少ないため、水田や池といったところを中心に採集する。

考察:

ユンヌ楽園に個体数が多かったのは、1つの流れのない溜まった状態の水(池)があったということ、その他、植物が周囲に豊富にあり、食物となる昆虫が多いこと、池の上は開けており、天敵となる鳥などの捕食者が少ないということなどの理由があると考えられる。

日差しが強い時、止まっているトンボでは、腹部を上方に高かく持ち上げて、逆立ちをしているような姿勢をしていることがある。ベッコウチョウトンボではよく見られたが、これは腹部挙上といい、体に受ける日射量を少なくし、体温が上がるのを避ける行動であるとともに、自己顕示の役割を果たしていると考えられる。

イトトンボが行動していた場所は池のふちの辺りや、植物の下の影になっている部分に多かったのは見晴らしのよい場所に体の大きいトンボが占領しているからであろう。

採集した個体は非常に雄の割合が高かった。密度が高かくなると、エサとなる昆虫等への競争も高かくなるだろうし、縄張り領域も狭くなるし、縄張り争いも激しくなる。どうしてそのような場所を雄はなかなかはなれようとしないのかというと、それには、繁殖行動が大きくかかわってくるからである。

トンボの産卵にはいろいろな形態があるが、それらのほとんどは水が必要となってくる。(産卵の種類は、植物の組織の中に産卵管をのばし、細長い卵を産卵するものや、飛翔しながら尾端を水に打ちつけて水中に産卵する打水産卵、連続的に水面を打つように腹部で空を打って卵をばらまく打空産卵なぢがある。)したがって、交尾産卵時期には雌は水辺に集まってくる。雌が極端に池の近くに少なかったのは、羽化した後、エサを探しに行き、産卵時期に池に戻ればよいからだろう。一方、雄は羽化したあと池を離れてしまうと、雌に出会う確率は極端に低くなるであろう。雄にとってはエサよるも配偶行動(自分の遺伝子を残すこと)を優先させることが重要なのだろう。

ウスバキトンボは海岸や田畑、荒れ地などに集団でみられた。飛ぶ速度も速く、風をうまく利用して飛翔していた。水がほとんどないような所でも集団で飛んでいた。与論の人に聞いたが、実習の前はずっと雨が多かったそうだ。また、ウスバキトンボは世代交代の期間が約1カ月半くらいと非常に短い。

これらのことにより、水が少ない場所でもウスバキトンボが多く見られるのは、雨が断続的に降ることで水たまりなどができる。ウスバキトンボがその水たまりに産卵する。水たまりは干上がりそうになるが、再び雨が降る。ウスバキトンボは羽化する。このようにして、水が少ない場所でもウスバキトンボは繁殖することができると考えられる。

またこれからの時期、水田に水が張られるだろうから、ウスバキトンボはますます増えるだろうと考えられる。


与論島におけるチョウ類の分類と雌雄の違い

早田由紀

今回、ベニモンアゲハを採集することができなかったが、ベニモンアゲハの擬態型がみられるシロオビアゲハは20個体採集できた。♂が11個体、♀が9個体得られたが、♀でシロオビ型は5、ベニモン型が4個体とだいたい1:1で存在することがわかった。

与論ではベニモンアゲハが入る前から1:1で存在していたということであるが、今回調べた結果が1:1であったことから、ベニモンアゲハが入ってきてからも、ベニモンに擬態する個体が増えているわけではないと考えられる。しかし、採集した個体も20個体と少なく、採集した場所が1カ所にかたまっていたため、一概にはそうはいえない。

ツマムラサキマダラは、5、6年前までは数個体しかみられなかったらしいが、今回20個体が採集された。これは今回採集したチョウの約16%にあたり、またせまい範囲で採集したため、与論島でのツマムラサキマダラの数は確実に増加しているものと思われる。これほど多くの個体が採集されるということは、迷チョウではなく、温暖化によって北上してきた北上種ではないかと考えられる。

今回、与論ではこれまで記録のなかった、スジグロシロチョウが見られたが、これは、前回の寺山で採集したものが三角かんの中に残っていたものと思われる。


ナマコの骨片観察

考察:

オオイカリナマコは、さわると皮膚がくっちているような感じで、少し痛みを感じたが、骨片観察してみて納得した。非常に大きく、またたくさんの骨片が見られた。イカリナマコsp.のものと比較すると大きさは10倍ほどで、形はよりするどく先がとがっていた。骨片の大きさはナマコの体長と比例していると考えられる。これほど大きな骨片をもっていれば、魚などがオオイカリナマコを食べようとしても、痛くて食べられないんじゃないだろうか。


ソメンヤドカリとベニヒモイソギンチャクの観察

久保剛史

与論島には、陸生・水棲ともにさあざまな生物がおり、実習期間だけで100種近い種を採集することができた。その中からソメンヤドカリの観察結果についてレポートする。実習初日の夜、赤碕海岸で私はヤシガニを捕獲し、レポートには是非こいつをと考えていたが、扱いづらいということで持ち帰ることができなかった。大変残念である。

夜、水の中を照明をあびながら歩くソメンヤドカリの姿にはexcellentとしか、いいようのないほどであった。夜といえば、ヤシガニを捕まえたのも夜である。ハサミのあの強さにはカニのハサミには危険なものもあるということを十分に教えられた。夜といえば、アシヒダマナメクジを思い出す。いったいどこから湧いてくるのか不思議であった。今思えば、出現する地点を、出現する時間あたりからじっくり見張っていたらなどと考えたりもする。


与論島で採集されたヒトデ

古城祐樹

与論島で採集したヒトデ類を列挙し、解説をした。

考察:

前浜にたくさんいたクモヒトデの仲間は、一見しただけでは、種類が判別できなかったので、図鑑で調べたところ、クモヒトデはどの種も似たような外見だったので、できるだけ近いと思われるものを3種あげてみた。個人的には岩の隙間から足をだいしているウデフリクモヒトデが一番近いように思われる。


ヒバシヨウジ(Doryrhamphus excius excius)とDoryrhamphus melanopleuraの比較・生態について

野間口 元

考察:

与論島前浜で観察できたものは、Doryrhamphus melanopleuraであった。2種とも分布域では与論にも生息していると考えられるが、見た印象では尾びれに黒い斑点があった。それを考えると、形態的にDoryrhamphus melanopleuraと考えてよい。

タツノオトシゴと似た性質をもっており、♂の腹側には育児嚢があり、そこで受精卵を保護し、稚魚の状態になってから、放出するという特徴をもつ。これは魚類においては特異的である。しかし、卵の保護は、子孫を残すためには有効であると考えられる。実際、一般的な魚の卵は孵化するおしに他の魚などに食べられてしまうことがよくある。また、ヒバヨウジ、Doryrhamphus melanopleuraなどの仲間は、小型甲殻類を主食とし、管状の吻で吸引捕食するというのも独特である。

次に、ヨウジウオ科の育児嚢について、

ヨウジウオ科は種類が多いが、多くは♂に育児嚢(種類によっては育児装置)があり、♀から受けた卵を嚢中で保護し、孵化させる。したがって、♀から卵を受けるころになると、♂の育児嚢がふくれあがり、血管が増加し、ふっくらした外観を呈してくる。

ヨウジウオ類では、雌雄は体をS字形に曲げて互いに相手を抱き、♀は突出した輸卵管を育児嚢の前端の開口部に差し込んで産卵する。

卵は、しだいに後口へ移され嚢中にみたされる。卵の受精は嚢中でおこなわれるらしい。また卵の発生の進行状態は、嚢中における卵の位置によって異なることがあることから、卵の受精は何回か繰り返し行われるものと推定される。


与論の中の失楽

杉本将史

与論島で採集したチョウについて調べた。


与論島のクモ類

高瀬 明

与論島で採集したクモ類を同定し、解説を加えた。


与論島で観察できた魚

井上 大

与論島で観察できた魚について解説した。


貝類の歯舌の観察

岩松慎一郎

今回は5種の貝の歯舌を観察することができたが、それだけでもそれぞれの生活場所や捕食するもので歯舌の形状が大きく異なっていたことがわかる。たとえば、ヒザラガイは、岩の表面を移動しながら表面のコケや藻類をけずりとるグレイザーとしての生活に適したような歯舌を持っていたし、イモガイの歯舌は肉食という特性を象徴するかのような矢舌型の歯舌であった。また、イシダタミアマオブネガイとキバアマガイの歯舌が似ていたのは、やはり両種が近縁であり、その食物とするものも似ているからであろう。

今回、あまり多くは観察できなかったが、もっと多くの種をもって時間をかけて観察できれば歯舌をその対象となる食物との関係がより深く学べるだろう。


貝の歯舌の観察

下田宜司

考察;

やはり歯舌は種によって異なっていて、歯舌は種の判別に重要そうである。観察の結果、ヒザラガイは紐舌型、他の種のものは矢舌型であることがわかる。しかし、他の種のものは何型か判別できなかった。肉食の貝の歯舌は鋭く、えさの異なる貝の殻をやぶれるようになっていると思われる。


オカヤドカリの殻の観察

鎌田育江

考察:

海産貝類でヤドカリの殻になっているものは、タテ:ヨコ=8:5程のやや縦長の巻き貝が多かった。これは、ヤドカリがこれ位のサイズを選択していると思われ、これ位のサイズが移動など生理的、生態的に適しているサイズなのだと思われる。


スナホリガニの観察

中西智子

目的:

赤碕で見たスナホリガニを見たとき、「カニ」とつきながらあまりにも形態が違うと思ったので、その形態がどのように違うのか見てみたいと思った。

おまけ:

今回図鑑を調べて思ったことは「けっこういいかげんだ」と思ったことである。与論の分種の種名属名などを調べてみるうちにA図鑑とB図鑑じゃ書いていることがちがう。というのもも見たし、そういう話もきいた。もっとも、科など日本語に訳したものを書いたり、ラテン語読みしたものや、分類学者自身の考えたかによって分類の仕方の示し方が違うのかも知れない。上のコピーは「原色甲殻類検索図鑑」の一部であり、スナホリガニとミナミスナホリガニの学名が逆ではないかと思われ矢ものだ。

さらに下はおまけのおまけだが、第8版までになっていながら誤植がみつかったものである。次に出るまでには訂正されているといいなと思った。2冊の本でした。


軟体動物の歯舌について・ナマコの骨片について

野崎佳代子

与論島で採集してきた、軟体動物の歯舌の形態を比較した。ナマコの骨片の形態を比較した。


与論島のチョウ

戸川和泉

目的:

与論島に生息している動物のうち、昆虫であるチョウに注目し、様々なチョウを採集し、どのようなチョウが生息しているのかを知る。さらに鹿児島の寺山で採集したチョウと比較し、県本土の寺山と最南端に位置する与論島とのチョウの分布の違いをみる。

考察:

寺山ではマダラチョウはとらえていないので、マダラチョウは主に南の方に多く生息しているのではないかと思われる。与論ではアゲハチョウやオオゴマダラなど大型のチョウが多く。シジミチョウやジャノメチョウといっ小さなチョウが少なかったことから、与論は大型のチョウが育ちやすい環境なのではないか。与論と寺山の両方で採れたチョウはわずか5種だったことから、両域の環境の差が大きいと思われる。


与論島の貝類

下大田智子

目的:

浜辺に打ち上げられた貝類はどのような種が多いのか。貝殻を拾い、それを図鑑を用いて調べる。

考察:

少し浜辺を歩いて、拾い集めただけの貝殻の半分がタカラガイだった。それらの分布をみても「房総半島以南、太平洋各地」となっており、かなりの広範囲にタカラガイが分布していることがわかる。しかし、鹿児島の海岸では、みることができないことから、サンゴ礁の海、石灰分に富んだ凹凸の多い岩からなる生息環境の海であいか生息できないのではないかと考えられる。

感想;

海岸を歩き、貝殻を拾っただけで鹿児島の海岸でみることのできない貝殻を見て。同じ鹿児島であってもすごく環境が違うんだなと、すごく感じさせられた。島に行ったのは初めてだが、すごくいい経験だったと思う。


環形動物多毛類綱ゴカイ類の観察

溝上拓郎

目的:

ゴカイ類の形態と特徴を観察を通して知り、他のなが虫型動物と区別できるようにする。

考察:

生殖型に体の下半分が変態していたこちょは驚きの一言につきるが、なぜ下半分しか生殖型に変態していないのか?変態の途中だったのかもしれないし、あるいは下半分しか変態しないのかも知れない。資料をみても詳しいことhq乗っていないとなると、どうしたものか。

それはさておき、このイソゴカイの仲間は美しいばかりではなく、ゴカイという生物を学ぶにあたり、とてもいいものであった。資料に書いてあるとおりのことが観察で実によくわかった。生物の楽しさが感じられた。

また、生殖型に変態している部分は、変態していない部分とくらべ、とても複雑で、同じ生物とは思えないほどである。ゴカイという生物の奇妙さ、華麗さ、たくましさ、そしてなにより美しさがわかった自由研究であった。


赤碕海岸で採集した貝殻

浪岡真希

目的:赤碕海岸に落ちている貝殻をランダムに拾い、赤碕海岸における貝の種、分布、優占度を調べる。

考察:

マガキガイが他の種と比べて圧倒的に個体数が多かった。その理由としてマガキガイは食用になるので、漁師などが船中で採集したものを食べ、殻が海に捨てられ、それが海岸にうちあげられたことが考えられる。

また、鹿児島の海岸に生息する貝と比較して、与論島の貝は全体的に大きくと色鮮やかなものが多い。


ナマコの骨片から種を同定する

野中佐紀

目的:ナマコの骨片かた種を同定する。

考察:

オオイカリナマコの触手には骨片がみられなかったのに対して、ウチワイカリナマコの触手には骨片が存在していた。この違いは、触手の硬さに関係すると考えられる。つまり触手によっって、認識するものが異なると考えられる。


亜熱帯性のチョウ

四ツ家昭

目的:

気候帯としては亜熱帯性機構に分類される与論島・沖縄には、質量ともに豊富なかつ特徴ある生物群が観察される。本土にはみられないこれらの生物相の中からあるテーマをきめてその生物群を観察し、特に本土の生物群と比較しながらその特徴・生態を分析する。

考察:

捕獲したチョウの雌雄・種・数からわかることはそれほど多くはない。与論島におけるチョウの生態的特徴を検証するにはより多くのデータやサンプルを必要とするであろう。

データからまず目につくのは、アゲハチョウ科の個体数が圧倒的に多いことである。実際に現地で採集しているときも、アオスジアゲハやシロオビアゲハなどがやけに目立っていた。亜熱帯ではこれら大型のチョウが幅をきかせているのに対して、北海道などの寒い地域では、モンシロチョウ、モンキチョウなどの小型のチョウばかりが目につく。このことからチョウにもラマルクの法則が当てはまるのかと単純に想像できるが、一概にはいえないと思う。シジミチョウ、タテハチョウ、など比較的小型のものも決して少なくないからである。

さらにアゲハのデータに着目すると、♂の個体数が♀に比べて多い。この原因はいろいろ考えられる。たとえば、アオスジアゲハの♂は地表での吸水性、吸汁性が強く、集中を形成することが多い。また♂は樹木のある山頂付近などで占有性を示す。このことから、一部の地域で集中的にアオスジアゲハを採集したばあい、♂である確率が高かくなることが考えられる。


ナガサキアゲハの有尾・無尾および地域による鱗色の相違について

ナガサキアゲハの有尾・無尾の二型と、色彩変異について解説した。


与論島で観察できたナマコ綱の動物

永栄大樹

目的:

与論島で実際に観察できたナマコは6種であった。その6種は見た目が大きく異なっており、また似ているこのでも皮膚の中にある非常に小さい骨片という骨の形でも分類することができる。それらをもとに特徴の違いを調べ確認する。その他にも、クロナマコの共生種にはそのようなものがいるのか調べてみる。

考察:

ナマコは外見は同じに見えても、実際は全く違う特徴をもっているものが多かった。特に骨片であるが、イカリナマコなどのトゲ状の骨片は別にしてもクロナマコ、クルマナマコなどの骨片の形が異なるのは何か意味があるのだろうか。骨片の役割というものも調べてみればおもしろそうだ。


与論島の貝類の観察

大浦地謙治

考察:

原始腹足目と新腹足目の数種において、歯舌を見たが、原始腹足目はあまりとがった歯舌をもっていなかったので、藻類などをけずりとって食べると考えられたが、新腹足目ではするどいものやまた骨板のような構造がでてきたことからすると何かかたいものをたべていると考えられる。それに対して、新腹足目はしら寝たことによると、ゴカイなどを食べたりする。つまり速くうごくものを食べているのだが、そのためには速い移動スピードが必要になると考えられる。歯舌の外側の細かい構造は新腹足目ではなくなっている。そのことは、草食と肉食の違いをしめすことと、進化の過程を示すであろうと考えられる。原始腹足目の方が名前からすると古くからいた種であると判断すると、貝は肉食に変わるあたり、歯舌の横がわの細い構造を退化させたと考えられる。


イソゴカイの一種とギボシイソメの一種の観察

若松あゆみ

考察:

イソゴカイの一種の前方の疣足は、短複剛毛と長複剛毛を持ち、扇状の突起をもっていなかったのに対して、後方の疣足は生殖型の剛毛をもち、扇状の突起をもっていたことから後方だに生殖型の疣足に変化したものと思われる。イソゴカイの一種を2個体観察したが、もう1個体も同じようになっていた。このことから、疣足の生殖型への変化は、後方からおこる。または、後方のみにおこると考えられる。生殖型の疣足に扇状の突起ができるのが泳ぎやすくするためだろう。


貝の歯舌

久保哲男

目的:

貝の歯舌を観察することによって、その貝がどのようなものを食べているかが推測でき、またそれを本などで調べて、確認する。

考察:

草食性の貝と肉食性の貝の歯舌は、明らかに違うと思った。草食性は、複雑でしかも立体的なので、スケッチするのは難しかった。草食性は、幅があり、そして同じ形の繰り返し構造で岩についている藻類を食べるには地期している形になっている。その中でもヒザラガイは、けずりとって食べるのでとがっていた。また、肉食性のイモガイは、さすがに肉食性だけあって、エサい刺さるような形になっていた。また、毒があるので人間も注意しないと死ぬこともあると聞き、貝でもあなどれないと思った。それぞれの貝の歯舌は、それぞれのエサに最も適した形になっていると思った。


与論島の多毛類について

久保 監

目的:

与論島でみられた多毛類数種の形態を観察する。


ナマコ類の骨片形態の比較観察

堀 義仁

目的:

与論島に生息していたナマコを調べ、またムラサキクルマナマコについて与論島のものと本土、桜島のものと比較してみる。

考察:

図鑑で調べて読んでみて与論島ならではのものも多かったように感じた。佐藤先生がオオイカリナマコを手で持ち上げた時、骨片が指に鉤着し、指から多少血がでていたように記憶している。オオイカリナマコの骨片は外敵から身を守るためにも役だっているのかも知れない。

ニセクロナマコが刺激を受けると内蔵の一部を出していたが、ニセクロナマコは自分でまた内蔵を修復できるということである。それぞれのナマコの種によって骨片も様々であった。骨片によって種が分かられているとしう考え方もできるが、また、イカリナマコの体表と触手でも骨片の大きさがことなっていた。ムラサキクルマナマコの全身と骨片を与論島のものと桜島のものとを比較してみたが、ほぼ同じであったように見える。どちらもアルコールで固定した時に縮んでしまい、触手の本数などがわからなかったろ、桜島のものを手に入れた時には、与論島のものはカビが生えていてスケッチした比較できなかったりと正確な比較はできなかったが、与論島のもののほうが何だか生き生きしていたように思える。(自分が生き生きしていたので、そう見えたのかもしれない)


与論島のチョウ

目的:

与論島にいるチョウを知り、またその中でどのようなものが今回採集されたのかを調べる。

考察:

今回採集されたものは与論島に土着しているものばかりであった。やはり迷チョウをみつけるのは難しいのであろう。アオスジアゲハなど本土(鹿児島市内)では、あまり見られないこのが多く見られた。これは、与論島には多くの自然が残っているという証明であろう。シロチョウ科(ツマベニチョウは除く)のものが思ったよりも少なかったのは、たくさん飛びすぎて皆がねらわなかったためだと思われる。


褐虫藻をもつ生物

菊池尚美

褐虫藻を共生させているサンゴ類やシャコガイ類を観察した。

考察:

褐虫藻との共生

サンゴは褐色をしたものが多い。それは体内の褐虫藻の色で、普通サンゴ本体は白色である。褐虫藻は、サンゴがプラヌラの状態でただよっているときに出会い、サンゴの中で数を増やしていく。サンゴは褐虫藻の光合成能力をほとんどじぶんの成長や粘液の分泌に使っている。サンゴのみの力で石灰の骨格をつくるとき、その成長速度は、褐虫藻と共生しているサンゴにくらべて1/10くらいである。サンゴ礁の造形にとって、いかに褐虫藻の存在が大きいかわかる。

褐虫藻をもつ生物

サンゴのほかにも褐虫藻と共生している生物がいる。・・・ヒメジャコとの出会い・・・サンゴの根元にうまっていた。なにかゆらゆらしたものを出したので、ピンセットでつつくとピンセットを挟み込んで口を閉じた。両手で持ち上げようとしても石灰岩に埋まっていてびくともしなかった。いったんその場所を離れると見失ってしまった。シャコガイは、大きくふくらんだ水管の中に褐虫藻をもっている。水管には数千個もの目かあり、褐虫藻のために光をあつめてたり、光の波長を調節して、紫外線から褐虫藻を守っている。もちろん眼としての働きもある。シャコガイも褐虫藻から光合成の生産物をもらって呼吸や成長にあてているが、褐虫藻がいなくても生きていける。サンゴと同じ相利共生の関係を持っているといえる。

ホシズナ

それはナマコにくっちていた。有孔虫という単細胞生物で、礁原の岩の上などに偽足をのばしてくっついている。ナマコにくっついていたホシズナは、タイヨウノスナといって、まるっこい形をしている。一般に丸い形のものは、浅海に、ひらべったいものは深海に生息する。有孔虫も褐虫藻を共生させている。深いところにすむものほど、体積あたりの受光量を大きくしている。


与論島のシロオビアゲハとその擬態

杉原恵美子

目的:

与論島のシロオビアゲハの非擬態型(白帯型)とベニモンアゲハへの擬態型(赤斑型)の個体数を調べ、それらがどれくらいの比率でいるのかを調べる。

考察:

採集していた時には、白帯型のほうが赤斑型よるたくさんいるように感じたが、実際には、1:1という結果だったのでおどろいた。シロオビアゲハが擬態しているベニモンアゲハは、与論島にはいないのに、なぜ擬態型が存在するのか考えてみる。それはおそらく擬態している赤斑型のチョウが風にのって北上してきたのかあるいは突然変異がおこったかして最初の赤斑型があらわれたのであろう。そして赤斑型が遺伝的に優性であることから増えていきここまで増えてしまったのだろう。しかし、ここ最近は1:1を保っているのはなぜだろうか。また、1:1以上に赤斑型の割合がふえないのはどうしてだろう。(最後が考察ではなく疑問点になってしまいました)。


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