福井克樹発表論文集


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日本地質学会第103年学術大会

薩摩半島,四万十層群風化砂岩中にみられる球状剥離の形態
Spheroidal Exfoliation in Weathered Sandstone of the Shimanto Group, in Satsuma Peninsula

福井克樹・岩松 暉(鹿児島大・理)

 岩石の一つの風化形態である球状剥離は花崗岩だけでなく様々な岩石においてもみられる.薩摩半島の四万十層群中でも風化砂岩の球状剥離が特徴的にみられることから,剥離面の形態および間隔を強度変化との関係から検討した.
 当地域では塊状砂岩が広く分布しているが,山稜部は砂状に著しく風化し,谷部は比較的新鮮である.球状剥離は分布からみると,両者の中間に位置するゾーンに多い.ここでの球状剥離の断面形態は円形もしくは楕円形をなしており,外周部は節理面により支配されている.また,コア部分は灰色であるのに対し,外側の剥離面の部分は褐色〜黄褐色を呈している.さらに,剥離面(微小クラック)の間隔,強度変化との関係については以下のような特徴がみられる.
i) 微小クラックの間隔はコア部分から外縁部にいくにつれて狭くなっている.また,間隔が著しく狭いところでは構成粒子も分離している.
ii) 著しく風化している節理面沿いでは,微小クラックの間隔はコア中心部より徐々に狭くなり,節理面と接する部分においては砂状をなしている.比較的新鮮な部分が多く残されている節理面沿いでは,微小クラックの間隔は前者ほど密にはなっていない.
iii) 微小クラックの間隔が広い部分(コア部分など)では一般に強度は大きく,微小クラックの間隔が狭い剥離面の部分ではコア部分に比べて強度は小さい.すなわち,微小クラックの分布密度(単位長さあたりの微小クラックの数)と強度(山中式土壌硬度計による指標硬度)との間には負の相関が認められる(図1、2参照).

図1 四万十層群の風化砂岩中にみられる球状剥離(A-A', B-B'は断面線)

図2 A-A', B-B'のそれぞれの断面上での単位長さあたりに含まれる微小クラックの数n(本/2cm)と山中式土壌硬度計による指標硬度S(mm)との変化

(日本地質学会第103年学術大会講演要旨,p.348,1996)

日本地質学会第102年学術大会

四万十帯強風化砂岩地帯における斜面崩壊の分布とその特性
Distribution and Characteristics of Slope Collapses in Weathered Sandstones Area of the Shimanto Group

福井克樹・岩松 暉・横田修一郎(鹿児島大・理)

 1993年,薩摩半島の金峰町扇山地域では台風13号による豪雨で大規模な斜面崩壊が発生した。この地域の山腹斜面は四万十層群の塊状砂岩によって構成されている。これらの砂岩は概して風化が著しく,四万十帯地域としては特異である。
 崩壊した斜面はいずれも30度前後の緩斜面をなしている。大規模な崩壊が多発した山腹斜面の表層部では崖錐堆積物が広く分布しており,これには砂岩のブロックが多く含まれている。
 この地域は全体的にも緩傾斜であり,右上図に示すように河谷の多くは後期更新世の火砕流堆積物(阿多火砕流,入戸火砕流など)によって埋積されている。崩壊斜面付近でも以前の崩積土(崖錐堆積物)の下位に著しく赤色風化した砂礫層が確認され,これは,旧河床堆積物とその上位の火砕流堆積物がかつて砂岩の上を広く覆っていたことを示している。
 四万十層群の砂岩は塊状で,新鮮なものは極めて硬質であるが,全般的に風化が進んでいる。山稜部では構成粒子が完全に分離し砂状を呈している。その下位では節理面に沿って風化が進行し,岩盤はそれに沿ってゆるみ,ブロック化している。崩壊面にわずかに現れている砂岩もこれと同様で,山体を構成する砂岩岩盤の大部分はこのような風化状態と推定される。
 右下図に示すように,崩壊は上記の砂岩のブロックを含んだ崖錐堆積物が主体と考えられる。その際,下位の風化砂岩も一部崩壊した可能性がある。砂岩中の層理面は斜面に対して流れ盤に近く,一部はすべり面になっているようである。
 以上のような風化した砂岩の存在は,四万十層群の河谷を覆っていた火砕流堆積物も一因となっていると考えられ,風化した砂岩が削剥されることなく残ったためと思われる。
金峰町扇山地域の地質断面図と斜面崩壊

(日本地質学会第102年学術大会講演要旨,p.303,1995)


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更新日:1996年2月9日