研究成果報道発表
K-Lab
2016年11月11日(金)
「磁場で焼酎酵母菌が居眠り!〜磁場による焼酎酵母菌増殖抑制〜」 公式ホームページ

本学理工学研究科、農学研究科と東北大学金属材料研究所と共同で、①磁場によって焼酎酵母菌の増殖が抑制されること、②磁場を取り除くと焼酎酵母菌の増殖が回復すること、③焼酎酵母菌の種類によって磁場の感受性が異なることを見出しました。これは、まるで磁場で焼酎酵母菌が居眠りしているように見えます。

◎共同発表者の氏名(所属)
小山佳一(鹿児島大学大学院理工学研究科 教授)
髙峯和則(鹿児島大学農学部附属焼酎・発酵学教育研究センター・大学院連合農学研究科 教授)
小林領太(鹿児島大学大学院理工学研究科 大学院生)
三井好古(鹿児島大学大学院理工学研究科 准教授)
伊藤昌和(鹿児島大学大学院理工学研究科 准教授)
高橋弘紀(東北大学金属材料研究所附属強磁場超伝導材料研究センター 助教)

◎研究のポイント
1.焼酎酵母菌に対し、強磁場(注1,2)を与えると、その増殖が抑制されることが分かりました。
2.磁場の発生をやめると酵母菌(注3)の数が回復することが分かりました。
3.酵母菌の増殖における磁場の影響には個体差があることが分かりました。
4. 磁場による増殖抑制効果は死滅効果ではなく、増殖速度の抑制であることが分かりました。
5.この「磁場による酵母菌増殖抑制効果」を利用することで、アルコール発酵を制御できることが期待されます。

◎研究助成
 本件は、鹿児島大学理学部理数教育特別プログラム(サイエンスクラブ活動)において、学部学生の4年間の自主研究の成果です。本研究は、理工学研究科地域コトづくりセンターと公益財団法人米盛誠心育成会の支援を受けて行いました。http://www.sci.kagoshima-u.ac.jp/~koyama/files/161111pr.pdfhttps://www.kagoshima-u.ac.jp/about/release/newsH28.html#11shapeimage_2_link_0shapeimage_2_link_1
2014年8月11日(金)
「磁場を利用した新しい磁石合成法を開発」        公式ホームページ
◎共同研究者の氏名(所属)
三井好古(鹿児島大学大学院理工学研究科 准教授)
小山佳一(鹿児島大学大学院理工学研究科 教授)
梅津理恵(東北大学金属材料研究所 特任准教授)
渡辺和雄 (東北大学金属材料研究所 教授)
 
◎研究のポイント
1. 通常では磁石の合成できない温度においても、強磁場(注1)を印加することで磁石の合成反応が著しく促進され、かつ磁石の結晶が一方向に揃って成長する、新しい磁場効果を発見しました。
2. この「磁場による磁石合成促進効果」を利用することで、従来の磁石合成プロセスの簡略化や新たな高性能磁石の合成につながると期待されます。

◎研究グループ
 鹿児島大学大学院理工学研究科(三井好古准教授及び小山佳一教授)、東北大学金属材料研究所(梅津理恵准教授及び渡辺和雄教授)の共同研究として実施しました。磁場中合成では、東北大学金属材料研究所附属強磁場超伝導材料研究センターの強磁場中で長時間の高温熱処理が可能な無冷媒超伝導マグネットを共同利用しました。
 
◎研究助成
 本研究は日本学術振興会科学研究費「Mn基機能磁性体の相変化に対する磁場効果と磁場中合成の最適化に関する研究」の助成を受けて進められています。また、本研究の一部は、日本学術振興会科学研究費「機能性発現を目指した磁性金属合金の強磁場中状態図」の助成を受けて進めました。
http://www.sci.kagoshima-u.ac.jp/~koyama/files/140811pr.pdfhttps://www.kagoshima-u.ac.jp/about/release/newsH26.html#08shapeimage_3_link_0shapeimage_3_link_1
2017年1月19日
 2017年1月20日付け南日本新聞28年で紹介されました。
 
◎共同発表者の氏名(所属)
三井好古(鹿児島大学大学院理工学研究科 准教授)
小林領太 (鹿児島大学大学院理工学研究科 大学院生)
小山佳一(鹿児島大学大学院理工学研究科 教授)
梅津理恵(東北大学金属材料研究所 准教授)
水口将輝 (東北大学金属材料研究所 准教授)
高橋弘紀 (東北大学金属材料研究所 助教)
 
◎研究のポイント
磁場によってMn-Al磁石の合成が飛躍的に促進(磁場を利用した選択的な磁石合成効果)します。この「磁場を利用した選択的な磁石合成効果」を利用することで、新規の高性能磁石合成法につながると期待されます。
 
◎研究成果の概要
 「磁場が選択的に強磁性磁石を合成する」効果を見出しました。本研究によって、非磁性(磁石にならない)のMnとAlを原料とする合金でも、磁場中で熱処理することで、強磁性磁石になる化合物が選択的に作り出せる(磁場を利用した選択的な磁石合成効果)ことが分かりました。この効果を利用することで、新しい強磁性磁石の発見が期待できます。
 
◎ 研究成果の内容
 従来、非磁性Mnと非磁性Alで構成されるMn-Al合金(ε型:イプシロン型)は、溶かして固めただけでは磁石になりません。Mn-Al合金で強磁性磁石(τ型:タウ型)にするためには、複雑な熱処理を行うか、微量の炭素を加えたMn-Al-C合金にするしかありませんでした。
  私たち、鹿児島大・東北大の共同研究グループは、棒磁石の発生する磁場が砂鉄を吸い寄せることをヒントに、「磁場が合金の磁石の性質を安定化させる」ことに着目しました。東北大学金属材料研究所強磁場センターの強磁場超伝導磁石を使い、磁石の性質のないMn-Al合金(ε型)を、350℃で地磁気の30万倍の強い磁場を与えることで、強磁性Mn-Al磁石(τ型)へ転換させることに、成功しました。これは、磁場によって、非磁性の合金が自ら磁石になることを選択しています。
 以上のように、磁場を利用することで、強磁性Mn-Al磁石を選択的に合成できることが明らかになりました。
 
◎ 今後の展開
 ここまでの成果では、Mn-Al磁石が磁場によって選択的に合成できることを示す結果が得られました。しかし、まだ磁場の効果があることを実証した段階であるため、今後熱処理条件や、磁場強度を最適化することが必要です。また、本成果は「磁場が磁石を選択的に合成する」ということを示しています。そのため、磁場中で磁石を合成するという新しい合成法や、その合成法を利用した新たな強磁性磁石の探索といった展開の可能性があります。
 
◎発表論文
タイトル:Annealing temperature and magnetic field effects on the  transformation in Mn-Al alloys
著者:Ryota Kobayashi, Yoshifuru Mitsui, Rie Y. Umetsu, Kohki Takahashi, Masaki Mizuguchi, and Keiichi Koyama
発表雑誌:IEEE Magnetics Letters Vol.8, 144704  オンライン版 
 
◎研究グループ
 鹿児島大学大学院理工学研究科(大学院生 小林領太氏、三井好古准教授及び小山佳一教授)、東北大学金属材料研究所(梅津理恵准教授、水口将輝准教授及び高橋弘紀助教)の共同研究として実施しました。磁場中合成では、東北大学金属材料研究所附属強磁場超伝導材料研究センターの無冷媒型強磁場超伝導マグネットを共同利用し、磁気特性評価には、同研究所新素材共同研究開発センターの振動試料型磁力計を共同利用しました。
 
◎研究助成
 本研究は日本学術振興会科学研究費「Mn基機能磁性体の相変化に対する磁場効果と磁場中合成の最適化に関する研究」の助成を受けて進められています。また、本研究の一部は、日本学術振興会科学研究費「磁場中状態図と強磁場反応促進効果を利用した強磁性材料の創出」の助成を受けて進めました。