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2006年度の最新情報
第七高等学校造士館 第14回紀年祭歌
北辰斜に

「北辰斜めに差すところ」とは?


「北辰斜めに差すところ」とは?

「北辰ななめにさすところ」の意味が判らないとの声も聞きます。この言葉は、旧制第七高等学校造士館の寮歌の一つで、全国的にも最も有名な「北辰斜めに」の歌詞1番の最初のフレーズです。

北辰とは北極星のことです。鹿児島市では北極星が北天の仰角31度36分の方向に見えます。つまり、「北辰斜めにさすところ」とは、鹿児島市は北極星が「斜め」の方向に見える場所である、という意味です。地理的に鹿児島市がそれだけ南の位置にある、という隠喩として歌詞の中で歌い込められている訳です。

同じ北極星でも、札幌市では、北極星は仰角43度11分の方向に見えるため、やや頭を上げて仰ぎ見ることになります。ですから、同じ寮歌でも、北海道大学予科寮歌では、歌詞2番の最後の部分で「おごそかに北極星を仰ぐ哉」という言い回しが出てきます。

このように、寮歌の歌詞の何気ない言葉も自然科学的に読み下してみると面白い事例が時々見あたります。   2006年7月18日(月)


 上記で書いた北極星の位置と寮歌の歌詞の関連は、私のオリジナルな論説ではありません。

 これは、1977年の1月頃、高等学校(もちろん、新制高等学校)1年生時の地学の授業で習った内容をそのまま紹介したものです。

 私が高校時代に地学を教わった先生は、砥川隆二先生といって、旧制東京高等師範学校を卒業後、旧制東京文理大学を卒業、その後、新制なった東京教育大学の大学院を卒業された後、大学には残らずに、新制高校の理科の教員になったという変わり種でした。砥川先生は、寮歌が大好きで、在学時には男声合唱部に所属されておられたとかで、バリトンの美声で時々寮歌を聴かせてもらえることがありました。

 私の出た高校は、学園祭の前夜祭でファイアーストームと言って校庭で火を焚いてその周りで寮歌を歌う伝統があり、男子生徒には参加が義務づけられていました。母校の高校ではファイアーストームの伝統は今でも続いているそです。ファイヤーストームでは、校歌・応援歌の他に、旧制高校の寮歌も多数歌われ、その中には、北海道大学寮歌都ぞ弥生♪や七高造士館寮歌北辰斜に♪もありました。それで、私の高校の男子生徒は全員、「北辰斜に」と「都ぞ弥生」は歌うことが出来ました。

 砥川先生の地学の授業で、緯度と北極星の仰角の関連について教わっていた際、

 「野郎共は、北辰斜に♪の一番を歌ってみろ。」

 と、やおら言われて男子生徒は、 北辰斜に♪の一番を教室で歌わされました。砥川先生曰く。

 「出だしの”北辰斜めにさすところ”の意味は、解るか? 北辰とは北極星のこどだ.....」

 と、鹿児島市の緯度が低くて、北極星もななめ方向に見えることを説明されました。次に、

 「では、都ぞ弥生♪の2番を歌ってみろ。」

 と、男子生徒は北大寮歌の2番を地学教室で歌いました。砥川先生曰く。

 「最後の、”おごそかに北極星を仰ぐ哉”、とは北極星の仰角が高いことを意味している。鹿児島と札幌の緯度の違いはそのまま北極星の位置の違いとして観察され.....」

 まさか教室で、地学の授業中に寮歌を歌わさせられるとは思っていませんでしたから、この日の授業のエピソードは今でも鮮明に覚えています。

 このような高校時代の強烈な思い出があったもので、砥川先生の解説法を是非とも紹介したく、上記のような解説文を書いてみました。

 昨年の夏に、この文章をホームページで紹介してみたら、多少は影響があったと見えて、各種のホームページで、砥川先生式の解説が掲載されるようになったのは、実に愉快なことです。

2007年12月28日 冨山記述.


巻頭言

流星落ちて住む處
橄攬の實の熟る
あくがれの南の國に
つどひにし三年の夢短しと
結びも終へぬこの幸を
或ひは饗宴の庭に
或ひは星夜の窓の下に
若い高らう感情の旋律をもて 
思ひのまに歌ひ給え
歌は悲しき時の母ともなり
うれしき時の友ともなれば
いざや歌わんかな北辰斜め

りゅうせいおちてすむところ
かんらんのみのうるるさと
あくがれのみんなみのくにに
つどいにしみとせのゆめみじかしと
むすびもおえぬこのさちを
あるいはうたげのにわに
あるいはせいやのまどのもとに
わかいたかろうかんじょうのせんりつをもて
おもいのままにうたいたまえ
うたはかなしきときのははともなり
うれしきときのともともなれば
いざやうたわんかなほくしんななめ

北辰斜に
一、
 北辰斜にさすところ
 大瀛の水洋々乎
 春花かをる~州の
 正氣はこもる白鶴城
 芳英とはにくちせねば 
 歴史もふりぬ四百年

一、
 ほくしんななめにさすところ
 たいえいのみずようようこ
 はるはなかおるしんしゅうの
 せいきはこもるはっかくじょう
 ほうえいとわにくちせねば 
 れきしもふりぬしひゃくねん

二、
 紫さむる黎明の
 靜けき波に星かぞへ
 荒涼の氣に咽ぶとき
 微吟消えゆくさつまがた 
 不屈の色もおごそかに
 東火をはく桜島

二、
 むらさきさむるしののめの
 しずけきなみにほしかぞえ
 こうりょうのきにむせぶとき
 びぎんきえゆくさつまがた
 ふくつのいろもおごそかに
 ひがしひをはくさくらじま

三、
 悲歌に耳藉す人もなく
 沈み濁れる末の世の
 驂鸞の夢よそにして
 疾風迅雨に色さびし
 古城の風に嘯ける
 健兒七百意氣高し

三、
 ひいかにみみかすひともなく
 しずみにごれるすえのよの
 さんらんのゆめよそにして
 しっぷうじんうにいろさびし
 こじょうのかぜにうそぶける
 けんじななひゃくいきたかし

四、
 南の翼この郷に
 三年とゞまる鵬の影
 行途は萬里雲わきて
 雄圖もゆる天つ日や
 かどでの昔叫びにし
 理想の空に長駆せん

四、
 みなみのつばさこのさとに
 みとせとどまるほうのかげ
 ゆくてはばんりくもわきて
 ゆうともゆるあまつひや
 かどでのむかしさけびにし
 りそうのそらにちょうくせん

五、
 あ
若き日の光榮は 
 今年十四の記念祭
 祝ふもうれし向上の
 旅の衣に散りか

 樟の下露Cらけく
 けふ南明の秋にして

五、
 ああわかきひのこうえいは
 ことしじゅうしのきねんさい
 いわうもうれしこうじょうの
 たびのころもにちりかかる
 くすのしたつゆきよらけく
 きょうなんめいのあきにして


【参考文献・引用文献】


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