卒論発表会要旨|'96夏休み成果報告|富士川活断層見学
[卒論発表会要旨]
鹿児島県出水断層系の活動履歴調査


Paleoseismological study of the Izumi fault system,Kagoshima Prefecture, Southern Kyushu, Japan


鹿児島県北西部に位置する出水山地と出水平野の地形境界およびその北方延長には,北東−南西ないし北北東−南南西方向の明瞭なリニアメントが総延長約22kmにわたって認められる.このリニアメントの成因には,「活断層による変位地形」,「白亜紀の衝上断層による断層組織地形」,「岩質の違いによる組織地形」の3つの異なる見解がある.そこで本研究ではこのリニアメントの成因を明らかにすることを目的とし,さらに,これが活断層であった場合にはその活動性を評価することを試みた.
リニアメント周辺の地形・地質調査およびその中央部の精査の結果,北東−南西ないし北北東−南南西方向に卓越したリニアメントは,右横ずれで北西側低下の断層変位をもつ活断層(きわめて近い時代に活動を繰り返した証拠を持ち,今後も活動する可能性の高い断層)を反映していることが以下のようなことからわかった.

・ 空中写真判読の結果,リニアメント中央部では断層崖や谷線および尾根線の屈曲などの特徴的な断層変位地形が認められた.
・ 高位扇状地段丘堆積物の最下部を約1m変位させている副断層が認められ,さらにこの堆積物中には阿多鳥浜火砕流堆積物(230~250ka)が挟まれている.これらのことは約23~25万年前に断層活動があったことを示す.
・ 入戸火砕流堆積物(約25ka)を切る比高約10mの低断層崖がみられることや,入戸火砕流堆積物を覆う厚い崖錐堆積物がリニアメント沿いに多く認められることは,約2.5万年前以降に断層活動が複数回あった可能性を示唆している.
・ 推定される起震断層の長さ(22.1km)から松田(1975)の経験式を用いて算出した起こりうる最大限のマグニチュードは,7.07である.また,この時の地表地震断層の最大変位量は約1.74mである.これは,高位扇状地段丘堆積物の最下部を変位させている副断層の垂直変位量約1mとほぼ一致する値である.
・ 河谷の屈曲量から松田(1966)の経験式を用いて算出した出水断層系中央部の横ずれ平均変位速度は,0.44m/103年である.また,出水断層系中央部でみられる入戸火砕流堆積物を切る断層崖の比高約10mから求めた縦ずれ平均変位速度は0.4m/103年である.これらのことから,出水断層系中央部の活動度はB級に分類される.
・ これらの結果を松田(1975)の経験式にあてはめて算出した活動周期は,約4,000~4,350年である.
・ 以上のことから,出水断層系は総延長22.1kmを起震断層として活動している可能性が高い.

[1996年夏休み研究成果報告]

出水断層系の活断層調査

1.はじめに

 鹿児島県北西部に位置する紫尾山地と出水平野との地形境界およびその北方延長には、北東−南西および北北東−南南西走向の明瞭なリニアメントが総延長約23kmにわたって認められる。このリニアメントを千田(1972)や九州活構造研究会(1989)は、右横ずれで北西側低下の断層変位をもつ活断層(出水断層系)による断層崖と考えた。これに対し西山他(1995)は、このリニアメントは四万十層群の砂岩と頁岩の地質境界に相当することに加え、四万十層群の上面標高がなだらかに北傾斜していることを示し、岩質の違いによる組織地形と考えた。このように、このリニアメントをめぐって両者の意見には食い違いがみられる。そこで今回、このリニアメントの成因を明らかにし、さらに活断層であればその活動度を評価することを目的として、リニアメント周辺の地形地質調査を行っている。

2.これまでの成果

 はじめに、本調査地域周辺の空中写真判読による地形分類および地形調査を行った。その結果、本地域の地形は山地・丘陵地・平野に大きく分類され、その中で地形面として火砕流堆積面・扇状地段丘面・河岸段丘面が認められた。また、リニアメントに沿って断層崖や谷線及び尾根線の屈曲、三角末端面などの特徴的な断層変位地形も認められた。次に、内木場断層沿いの地質調査を行った結果(下図)、四万十層群の砂岩と頁岩の地質境界は、空中写真判読によるリニアメントの位置より約30~230m南に位置することがわかった。また、川頭川支流沿いの四万十層群頁岩中の露頭ではリニアメント直下で断層破砕帯を確認できた。これは四万十層群砂岩との地質境界より約150m北方に認められ、高破砕度帯は15m以上、断層粘土は1.5m以上と考えられる。この露頭の確認により、少なくとも内木場地域で見られるリニアメントの成因は組織地形ではなく、断層によるものと判断できる(詳細については現在調査中)。

3. 今後の課題

 今後はさらに地質調査を進め、断層露頭の調査やテフラによる地形面の年代を明らかにして最終活動時期を推定し、最終的には、最も活動度が高いと考えられる君名川断層および内木場断層沿いのストリップマップを作成しようと考えている。

富士川活断層トレンチ掘削現場見学記

 1996年1月15日に地質調査所が実施している富士川断層系大宮断層のトレンチ現場を見学に行きました。岩松先生と院生の福田さんも一緒でした。この時、4月から鹿大の講師になられる地質調査所の井村さんに初めてお会いしました。その第一印象は……?
大宮断層の断面


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連絡先:gse-akan@sci.kagoshima-u.ac.jp
更新日:1997年3月3日