講師: 松田 能文 氏 (東京大学大学院数理科学研究科)
演題: 群の相対的双曲構造について
概要:
双曲群や幾何学的有限なクライン群などの一般化として, 部分群の族に関
する群の相対的双曲性の概念がグロモフにより導入された. 群が共役不変な部分
群の族に関して相対的に双曲的であるとき, その部分群の族を群の相対的双曲構
造という. 与えられた群に対して, 個々の相対的双曲構造だけでなく相対的双曲
構造全体のなす集合も興味深い研究対象であると思われる. この講演では, 可算
群の上の相対的双曲構造全体のなす集合に自然な半順序を与え, その半順序に関
する最大元の特徴付けおよび具体例について述べる. この講演は愛媛大学の尾國
新一氏, 明石工業高等専門学校の山形紗恵子氏との間で進行中の共同研究に基づ
くものである.